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【ICTスタートアップリーグ特集 #8:polyfit】コミュニティ・スクールの運営をサポートする新プロダクト「polyfit for CS」の実証実験を推進中。国策に則ったプロダクトの将来性に迫る

【ICTスタートアップリーグ特集 #8:polyfit】コミュニティ・スクールの運営をサポートする新プロダクト「polyfit for CS」の実証実験を推進中。国策に則ったプロダクトの将来性に迫る

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「共創の場」を提供するプログラムだ。

このプログラムでは総務省事業による研究開発費の支援や伴走支援に加え、メディアとも連携を行い、スタートアップを応援する人を増やすことで、事業の成長加速と地域活性にもつなげるエコシステムとしても展開していく。

そこでTOMORUBAでは、ICTスタートアップリーグの採択スタートアップにフォーカスした特集記事を掲載している。今回は、地域と学校をつなぐ領域のソフトウェアを開発しているpolyfit株式会社を取り上げる。同社が展開するプロダクトの状況や、「地域とともにある学校づくり」に関するデジタルインフラのイメージ、今後の事業の展望について、代表の大薮氏に話を聞いた。

▲polyfit株式会社 代表取締役兼CEO 大薮聡史 氏

ーーーー

<スタートアップ解説員の「ココに注目!」>

■眞田幸剛(株式会社eiicon TOMORUBA編集長)

・2023年7月に設立された地域と学校をつなぐ領域のプロダクトを開発しているスタートアップです。

・リリース済のPTA活動向け名簿管理ツール「polyfit」が、多くのユーザーから支持されています。また、文部科学省が推進するコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を円滑に運営するためのツール「polyfit for CS」を開発中であり、現在は広島県三原市、大阪府摂津市など、各地の地方自治体・教育委員会との実証実験を進めているなど、リリース後の急成長に期待感が高まります。

・現在展開中・開発中のプロダクトで得られたデータをもとに、将来的には「地域社会における信頼のデータベース」の構築を目指しているなど、地域のインフラを担うポテンシャルを秘めた注目のスタートアップとして、目が離せない存在になりそうです!

ITの先端基盤を学校や地域を持ち込むことで社会課題を解決できると確信

ーーまずは起業の経緯について教えてください。

大薮氏 : 新卒で資産運用会社に入り、先端セクターのアナリストとして3年ほどリサーチ業務を担当しました。その後、ITスタートアップだった株式会社プレイドへ入社し、IPOの準備メンバーとして、代表と共に国内外の投資家に事業の成長性を説明するなど、幅広い経験を積みました。

上場後もプレイドに留まってCFOなどファイナンシングの知見を活かしたキャリアを歩む選択肢もありましたが、プレイドでIPOを経験したことで「自分で新しい会社や事業を生み出してみたい」という思いが強くなり、2023年にpolyfitを立ち上げました。

また、機関投資家の立場で様々な企業の株式売買を担当していた当時から、日本には大きく成長するスタートアップが生まれにくい構造があると感じていました。しかし、そのようなチャレンジングな環境だからこそ「大きな事業を生み出す価値がある」と考えたことも、起業を決意する理由のひとつになったと思います。

ーー地域と学校をつなぐ領域のソフトウェア開発事業にフォーカスしようと考えた理由も聞かせてください。

大薮氏 : 前職のプレイドは、大手企業向けのマーケティングシステム基盤を開発する会社でしたが、そのようなITの先端基盤を地域に持ち込むことで、地域や学校を取り巻く社会課題を解決できる確信がありました。

また、昨今では地域の方々にまで幅広くスマートフォンが普及しています。そのようなマクロトレンドもあって、自分たちが持っている技術や知見を活かすことで地域の課題を解決できると考えたことが大きいですね。

コミュニティ・スクール運営における様々な課題を解決する「polyfit for CS」

ーー現在リリースされているプロダクト、もしくは開発中のプロダクトについて教えてください。

大薮氏 : 現在、当社ではPTA活動向けの名簿管理ツール「polyfit」、さらにはコミュニティ・スクールを円滑に運営するツールとなる「polyfit for CS」という2つのプロダクトを開発しています。

まずはPTA活動向けの「polyfit」をご紹介します。これは、一般消費者向け・BtoCのツールであり、すでに多くのユーザーを獲得しています。問い合わせの件数も増えていますし、ユーザー間の情報交換も活発に行われているようです。また、「隣の学校が使っているのでウチでも使ってみたい」といった具合に、実際に使っているユーザーの話を聞いて導入の意思決定をされたという事例も増えてきています。

▲2022年7⽉に「polyfit」のβ版を提供、同年10月に正式版をリリースした。(画像出典:ニュースリリース

ーーもうひとつのプロダクトである「polyfit for CS」についても教えてください。

大薮氏 : コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)は、学校が地域と一体となって特色ある学校づくりを進めていくことを目指す制度・取り組みであり、文部科学省が中心となって進めている国策です。

ただ、国策であるにも関わらず、今までは学校側が取り組みに対して消極的でした。学校や教師にとって、地域住民の方々を管理する仕事は非常に手間が掛かるものだからです。そうは言っても働き方改革の浸透に加え、教師の成り手が減りつつある現在では、これまで及び腰だった学校側も地域住民を巻き込んだ学校運営に乗り出さざるを得ない状況に立たされています。

「polyfit for CS」は、そのようなコミュニティ・スクール運営における課題を解決し、学校や教師、地域コーディネーターの方々の負担を軽減するツールとなります。「polyfit for CS」は、学校と地域が一体となって行う各種ボランティアイベントの告知や参加者の募集・採用をスムーズに行える様々な機能を搭載しているほか、ボランティア参加者の属性や過去の活動状況等をデータ化することにより、学校側が注意を払うべき住民を事前にピックアップすることも可能です。

誰もが気軽にCSコーディネーターになれる世界を作るために

ーー「polyfit for CS」の現状について教えてください。

大薮氏 : BtoCで展開している「polyfit」とは異なり、「polyfit for CS」は自治体単位で一気に導入を進めていく方針であり、実際のリリースは少し先になると考えています。

現在は広島県三原市、大阪府摂津市などを皮切りに、様々な自治体、各地域の教育委員会との間で実証実験の話を進めています。三原市とは現地のアクセラレータープログラムを通じた様々な取り組みを推進していく予定であり、摂津市に関してはYouTubeの「摂津市教育委員会チャンネル」に出演して現地の方々と協議させていただくなど、各地域の状況を把握した上で実証実験に臨んでいきたいと考えています。

ーー「polyfit for CS」を広めていくことで、どのような世界や環境を作りたいと考えていますか?

大薮氏 : コミュニティ・スクール運営に関わる地域コーディネーターや教師の方々の工数を削減することで、地域の有力者の方々だけではなく、誰もが気軽にCS(コミュニティ・スクール)コーディネーターになれるような世界を作りたいと考えています。

そのためにも現在進めている実証実験を通じて、より良い成果を生み出していかなければなりません。各地で進めている実証実験が成功し、外部に向けてしっかりとした数値データをアピールできるようになれば、その後は全国の自治体に展開していくフェーズとなります。ここでは事業として着実に数にコミットしていくつもりです。

また、今後は無償ボランティアだけではなく、有償のボランティアも増えてくると考えているので、その際のお支払いの仕組みなど、新たな業務に関する機能も盛り込んでいく必要があります。

将来的には、学校も自治体も人が減っていく傾向にあることは間違いありません。現在の学校や自治体が担っている業務の一部を、徐々に当社のデジタルツールに置き換えることで価値を生み出していきたいと考えています。

将来的には地域社会における「信頼のデータベース」を構築したい

ーー5年後、10年後の中長期的なビジョンについてはいかがですか?

大薮氏 : 将来的には学校を中心とした地域社会における信頼のデータベースを構築したいと考えています。現在の当社は、国策であるコミュニティ・スクールの推進をベースに、学校の業務を地域に移行する取り組みにフォーカスしていますが、これらの事業やプロダクトによって得られたデータを活かすことで、CtoC的な世界を生み出していきたいです。

たとえば海外の一部ではベビーシッターの活用が一般化していますが、日本ではそこまで盛り上がっていない状況があります。私たちが構築する信頼のデータベースが上手く機能すれば、日本でもコストの掛かる業者を介すことなく、近所の信頼できる方にベビーシッターを頼むことができるようになります。そんな世界を作っていけたらいいなと考えています。

ーー貴社の事業や将来性について、改めてアピールしておきたいポイントがあればお聞かせください。

大薮氏 : ほとんどのスタートアップは、自分たちの作りたい世界のために事業を行っていますが、私たちが進めている事業は国策事業に則ったものであり、コミュニティ・スクールは、法律で努力義務化されているテーマでもあります。

これまで遅々として進んでいなかったコミュニティ・スクールを、私たちの力で一気に加速させるつもりで取り組んでいますし、ここから2、3年での圧倒的な成長を目指しています。私自身、「日本で1兆円規模を目指せるスタートアップはpolyfitしかない」と思っていますし、そんな意気込みで事業をスケールさせていきたいと考えています。

取材後記

文部科学省が推進する国策であるにも関わらず、様々な要因で上手く進んでいなかったコミュニティ・スクール。同社の「polyfit for CS」は、そんなコミュニティ・スクールの運営に関する課題を解決し、学校と地域の理想的な連携を促すツールとなり得るだろう。現在、様々な自治体と進めている実証実験が成功すれば、瞬く間に全国の自治体で導入が進んでいく可能性も秘めているなど、事業の将来性についても申し分ない。「polyfit for CS」によって変わっていくコミュニティ・スクールの在り方、学校と地域の関係性の進化に期待していきたい。

※ICTスタートアップリーグの特集ページはコチラをご覧ください。

(編集:眞田幸剛、取材・文:佐藤直己)

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  • 奥田文祥

    奥田文祥

    • 神戸おくだ社労士事務所
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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「競争の場」を提供するプログラムです。TOMORUBAではICTスタートアップリーグに参加しているスタートアップ各社の事業や取り組みを特集していきます。