共創事例インタビュー


誰かを助けたいと思う気持ちをITの力で後押しする。

ーーまずはお二人の会社と事業について紹介をお願いします。

アジラ 木村:当社はAIサービスとAIソリューションの2つを軸に事業を展開しています。研究開発拠点がベトナムにあることが一つの特徴となっています。

富士通 黒瀬:当部門はクラウドとネットワークを中心とした分野のIoTを専門に扱っています。私の本業としてはクルマのネットワーク化ですが、これとは別に新領域の事業へのチャレンジも行っています。テーマは高齢社会向けやスポーツファン向けで、今回アジラさんと組ませていただいたのは、私が高齢社会向けの新事業を模索しているということが大きいです。

ーー お二人が知り合ったのは、アクセラレータプログラムを通じてですね。

そうです。富士通さんのアクセラレータプログラムは、eiiconの仲介で紹介いただきました。マッチングや事業展開などについて、たくさんのサポートをいただいて、本当にありがたいです。

ーーオープンイノベーションを活性化させるのはeiiconの使命です。共創が生まれることは、私たちにとってもとても大きな喜びです。では、協業されている事業についてご紹介ください。

富士通 黒瀬:高齢者の認知症の課題解決に取り組んでいます。現在、外出した高齢者が帰宅できずに困るということが多くなっています。いわゆる徘徊老人、私たちはご本人やご家族の要望で帰宅困難者と言っているのですが、この課題の解決を図っています。
対処法として、現在は高齢者に無線バッチをつけるという試みも行われていますが、私たちは、高齢者に何かを負わせるのではなく、周りの人が助ける社会を実現したいと考えています。困っている人を助けたいと思うのは、当たり前の感情だと思うのですが、行動につなげるのは簡単ではないでしょう。助けたいと思う気持ちを、どうITの力で後押しするかを考えたのです。

アジラ 木村:その解決策として生み出したのが、AIによる画像認識アプリです。スマホで帰宅困難者の写真を撮ることで、家族や保護者に情報が伝えられます。写真は顔を写す必要はなく、服装などから識別可能です。日本には帰宅困難者をサポートする認知症サポーターが900万人いるのですが、その方たちにアプリを活用頂きたいと考えております。

帰宅困難の課題を本気で解決したいという思いが、2社を結びつけた。

ーーこの共創はどのようにして生まれたのでしょうか。

アジラ 木村:当社はAIの技術を持っており、この技術で高齢社会の課題を解決したいという思いを持っていました。そうした思いをアクセラレータプログラムでプレゼンさせてもらったところ、黒瀬さんからお声がけいただいたのです。

富士通 黒瀬:私は帰宅困難の課題解決について3年ほど取り組んでいますが、なかなかビジネスとして成立させられませんでした。しかし、今回アジラさんにビジョンを共感していただき、一緒にやりましょうという言葉をもらえたんですね。これまで良いビジョンだ、と言われることは多々ありましたが、一緒にやりましょうと言ってくれたのは、アジラさんが初めてです。

アジラ 木村:一緒にやりましょうとなって、その翌週には富士通さんを訪問させてもらいました。

富士通 黒瀬:ただ、予算がなかったんですね。そこで当社の戦略投資部門に投資の応募をしました。アジラさんと組んでいることも効果があったのか、幸いにも予算がおりて、共創が本格始動したのです。

ーー大手とスタートアップの協業ということで、壁などはありませんでしたか。

富士通 黒瀬:ビジョンは共感できて事業を進めるのには何の問題もなかったのですが、取引口座開設など契約上の決まりなどで、アジラさんにはご足労いただいた面もあります。

アジラ 木村:当社には独立した管理部門がなかったので、事務的な手続きなどは大変なところはありました。ただ、基本的にどの方も協力的で、多くのバックアップをいただいています。特に富士通のクラウドサービスK5(※)の提供を受けたのは、非常にありがたかったですね。
※FUJITSU Cloud Service K5 / http://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/k5/

富士通 黒瀬:木村さんの持つ人脈に助けられたところも多くあります。今回、町田市で実証実験を行っているのですが(※)、それは木村さんが町田市のトップとつながっていたということが大きいのです。先ほど、認知症サポーターにアプリを使っていただいたと話しましたが、それが実現できたのは町田市と共創できたからです。

ーー高齢社会向けサービスはビジネスとして成立させるのは難しいという話もありましたが、その点は解消できそうですか。

富士通 黒瀬: 簡単ではありませんが、マネタイズについても歩みを進めています。認知症サポーターは全国に900万人いるのです。マーケットとして決して小さくはないでしょう。全国の皆様に利用していただき、その対価をいただく。ビジネスとして成立させるのが、一つの使命でもあります。

ーー技術的には「ここを改善したい」などありますか。

アジラ 木村: 認識率の精度をより高めるが、当面の課題です。例えば、太陽の強さによって服装の色味が変わります。それをどう正確に認識するかなど、技術的に解決すべきことはいくつかあります。まだまだ道半ばのところもありますので、ぜひ黒瀬さんたちと力を合わせ、高齢社会の課題解決を図っていきたいと思っています。

成功事例


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ICTを活用した帰宅困難者を見守るサービスの実証実験へ

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