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【イベントレポート】 みずほ証券、およびあずさ監査法人共催 「Innovation Field 2016イノベーション先進企業・コマツの事例について」

【イベントレポート】 みずほ証券、およびあずさ監査法人共催 「Innovation Field 2016イノベーション先進企業・コマツの事例について」

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みずほ証券、あずさ監査法人が共催するInnovation Field 2016に参加して参りました!

●Innovation Field 2016とは?

2016年12月7日(水)に東京駅すぐのJPタワーにてで実施された「 Innovation Field 2016 夢を現実に~成長への羅針盤 」。 

オープンイノベーション推進による産業支援のために要素技術、事業構想、政策支援はどうあるべきか。 産業競争力強化のためには、ベンチャー企業、大手企業、ベンチャーキャピタル、アクセラレーター相互のコミュニケーションが不可欠である…という思想のもと開催された本フォーラム。先端技術を有するベンチャー企業と大手企業がビジネスマッチング・情報交換の場として集まりました。 

eiicon labでは2回に渡って今回のフォーラムをレポートします。前編では、『イノベーションによる成長戦略』と題された KeyNote1についてお送りします。

■顧客の新しい価値を創造することがイノベーションである。

KeyNote1はコマツ取締役会長 野路國夫氏によるコマツのイノベーション戦略について。コマツは従来の強みを活かした商品開発(エンジン・油圧精機・キャブ)を自社で行い、そこに最先端技術の取り込みと活用(センサ・レーダー)を実現させる、と言った具合に、自社のコア技術と外部技術の掛け合わせを行うオープンイノベーションをすでに実践してきている企業です。 

「社会的課題を解決できるコト」がすなわち“イノベーション」であり、自社の私腹を肥やす新ビジネスはイノベーションではなく、持続性はない。——このように強く語る野路氏の姿が印象的でした。  

■ダントツ戦略

「建機需要推移は2004年頃までは、日米欧が80〜90%、2004年以降は新興国が60%を占める状況である。」と、まずは世界の景況から講演がスタート。「ゆえに、5年〜10年後を見据えると、新興国に向いている事業を推進した」と『ダントツ戦略』のお話を伺いました。 

(※コマツの成長戦略:社長が語るイノベーションによる成長戦略
http://www.komatsu.co.jp/CompanyInfo/ir/annual/html/2015/strategies/message/) 

▲コマツ 取締役会長 野路 國夫氏   

フェーズ1『ダントツ商品』

「まずはとにかく、自社のコア技術を磨く(キーコンポーネント技術・生産技術)こと。」

「自社の核となるコア技術は、自社で磨くことが大切である。コマツの場合、機械本体の商品力の向上が叶ったところで、フェーズ2が初めて見えてきた。」 コマツで言うと、自社の『ダントツ商品』は他社が追いつけない特徴を有するハイブリットコンポーネントを製作することでした。   

フェーズ2『ダントツサービス』「バリューチェーンで事業を拡大していくのがダントツサービスの真髄。」 

コアが他社と比較して差別化できるほどの十分な『ダントツ商品』となると、次のフェーズへ進めます。それが、バリューチェーンで稼ごうというサービスを展開することだそうです。 

コマツにおけるこのダントツサービスの事例は、「建設機械にGPSを一つずつつけ、盗難防止として開始した」こと。新興国での一番の課題はお金の回収(与信管理ができない)だということが手伝って、このGPSが予測していた以上に有効に活用され始めたと、野路氏は話します。 

さらに、一つこのような仕掛けを取り付けるだけでビジネスチャンスが大幅に拡大したのを実感したと言います。2016年9月末時点で、全世界でのレンタルの稼働が43万台になりました。   

フェーズ3『ダントツソリューション』

 バリューチェーンで新たなビジネスモデルを構築したら、今度は顧客の価値(事業領域の拡大)をしていく。それがすなわち、「ダントツソリューション」です。 

コマツにおける、ダントツソリューションは完全無人運転でした。常時7つの衛星を見て、無人運転を確認し、実走に成功。 そこに至るまでに対象と成る顧客を選び、その顧客向けに商材を開発していく方針を決定(リードカスタマイズ)、その上でコアとなるハードの作りこみながら、社会インフラの整備タイミングをしっかり見定めソリューションの導入タイミングの見極めたといいます。技術研究開発10年、実用トライアル20年を経て本格導入に至ったとのこと。

 この際に、テック系スタートアップ企業とタッグを組み、GNSS基盤、UIコントローラー、レーザー測距などを共創して進めたそう。スマートコンストラクションも実行しました。先端技術の活用により、誰でも操作できる高度アシスト建機(ICT建機)が誕生しました。 全体システム(車体・作業機)は日本スタートアップ、ステレオカメラはドイツ、HMI(モニタ)はオーストラリア、フランスなどの企業と共創しています。   

●オープンイノベーションのハブ人材に必要なコトはいかなる相手にも論理的に説明する力 

このフェーズ3「ダントツソリューション」が自社のみでは全くなし得なかったと野路氏は語っておられました。 

「各社との共創が前提として走ったプロジェクトである。そしてそのハブとなるコマツの担当者は何度も失敗を繰り返している人間に任せた。複数の企業と共に一つのプロダクトを創るコトは骨の折れる仕事。意思疎通の力が必要です」 

失敗すればするほど、相手に話を伝える力が向上し、プレゼンテーションの力が増す。その結果、様々な相手に合わせた話し方で論理的に説明ができるようになり、共創のハブに適していくそうです。 

「情報収集にしっかり資金を投下し、世界のスピードの加速に並走しながら基礎研究の形を変えていくこと。それは、イノベーションを起こす上でもはや不可欠である」

コマツでは年間億以上の単位で、海外の大学と契約をしており、情報収集に力を入れています。世界の技術進化の把握・分析、世界の顧客現場の課題把握・分析、そして、自社のニーズと他社のシーズのマッチングが行われ、はじめて自社のイノベーションの将来ビジョン(シナリオ)が描けるとのお話でした。

 ●何が目的なのかをしっかりセグメントすることが非常に大切 

野路氏は、今回の講演で「目的をはっきりさせよ」と繰り返しました。「課題」、「新しい価値」、そして「破壊される現状の市場」の3つを考えることが大切。

何を解決する戦略なのか、何が目的なのかを明らかにすべきである、と。破壊される市場。それはどういう事なのかという説明が続きました。 

例えば変種変量生産のニーズが高まる。そのニーズを解決しようとし、生産性を2倍にすることを目的とする。その目的が果たされるということは、工作機械が半減するということ。つまり、今現代、生まれ来る新しい価値は、既にある市場を破壊する事が少なからずあるということです。市場破壊とは、売上の毀損にダイレクトに繋がる事もままあります。大切な事はそれを見越してチャレンジに乗り出すべきかを考えて抜いているかどうか、ということ」   

●イノベーションを成功させるには世の中の変化をよく見ること 講演の最後のメッセージは、「世の中がどう変わるのかをよく見ること」でした。

技術の進化により、データ量の増加・処理性能が圧倒的に向上し、またAIの非連続的進化により想像を超えるスピードで変革が起きる可能性が日々あるとのこと。 破壊的イノベーションは異業種から生まれることが常で有り、新しい顧客価値の創造は、既存産業構造の破壊となる。そして、自社が参入してこなかった市場は、別の業界のプレイヤーが参入しているため、競争相手が今までの競争プレイヤーではなくなってきています。

野路氏は「日本は技術で進化してきた。だから日本は技術がすごいのだという考えは捨てるべきだ」、と警鐘を鳴らします。 

「では AIの分野で勝てますか?AIの技術で勝てますか?残念ながら勝てないのです。きちんと危機感を持って真摯に世の中と向き合うべきだ」「そのために、情報収集にお金を投下すること。それは、人をしっかり配置することに繋がる。日本のベンチャーキャピタル、日本の研究室、すべて人が少なすぎる。そこに人員を配置することがまず先決です」   

●最後に

大会場で行われた「 Innovation Field 2016」の講演の中で、『時価総額1000億円以下から5000億円以上に拡大した企業数(米国90年以降・日本95年以降)』はアメリカ721社、日本77社。その中で、90年以降に設立した企業はアメリカ595社 (82%)日本は5社(6.4%)(※出所みずほ証券)』というお話がありました。 この米国と日本の成長スピードと規模の差を埋めるにはイノベーション、新しい社会価値の創出が必至であり、それはオープンイノベーションという手法が有効である、と考えています。 オープンイノベーションの活性化に必要である、『場づくり』、そして『継続できるコミュニティづくり』の一助となるeiiconを目指します。

■執筆者 eiicon founder中村亜由子

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