多くの企業が注目し、その手法を取り入れつつある「オープンイノベーション」。大企業がアクセラレータープログラムを実施することも近年増加しているが、実施の背景として語られることが多いのは人口減少・高齢化という課題だ。――この大きな課題に直面しているのは、企業だけではない。行政や自治体も同様だ。

人口減少や高齢化が進めば、労働人口・人材が不足し、極端に言えば行財政の持続も危ぶまれるケースも出てくるだろう。そのための打ち手として、オープンイノベーションや外部との共創に取り組み始める自治体も増えている。そこで本記事では、このような取り組みに積極的な日本全国の自治体を紹介していく。


関東甲信越

【東京都】

波及効果のある新たなビジネスの創出を目的とし、都内ベンチャー・中小企業が大企業等とのオープンイノベーションにより事業化する革新的なサービス・製品等を対象に、その開発、改良、実証、販路開拓に要する経費の一部を補助する「未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクト」を実施。また、創薬・医療系ベンチャー育成支援プログラム「Blockbuster TOKYO」なども開催している。

【横浜市】(神奈川県)

横浜市では、2017年4月に「オープンイノベーション推進本部」を設置。また、オープンイノベーション・プラットフォームである「LIP.横浜」、「I・TOP横浜」を立ち上げており、さらに2019年8月にはWeWork Japanとの協力・連携を発表。WeWorkのコミュニティを通じた新たなイノベーションを横浜から創出していくスタートアップを支援していくという。

【鎌倉市】(神奈川県)

鎌倉市役所、東京⼤学、地域住民とイトーキなどの企業が協働して「鎌倉リビングラボ」を推進。四者で連携しながら社会と地域の課題解決に取り組んでいる。

【柏市】(千葉県)

柏市や三井不動産などがコアメンバーとなり、「イノベーションフィールド柏の葉」を立ち上げ。新産業創造の拠点としてKOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)があり、ベンチャー企業等に対する事業化支援、実証プロジェクト支援などを推進している。

【横瀬町】(埼玉県)

民間企業や団体、個人等から新しい事業やサービス、アイデアを横瀬町に呼び込む取り組みである「横瀬町官民連携プラットフォーム(よこらぼ)」を推進。事業などを広く募集し、法的課題やコミュニティの問題などを解決するために手厚いサポートを実施している。

【つくば市】(茨城県)

つくば市では、2017年度から「世界のあしたが見えるまち」というヴィジョンのもと、革新的な技術やアイディアで社会課題を解決する、Society 5.0の社会実装に向けたトライアル(実証実験)を全国から公募。優れた提案を全面的にサポートしている。

【燕市】(新潟県)

2016年から「TSUBAME HACK!」というアイデアソン・ハッカソンをスタート。共創による新しい価値の創造や、キャリア形成支援等により、新規プロジェクトの創出を目指している。


東北

【仙台市】(宮城県)

仙台市では、Society5.0を実現する「X-TECHイノベーション都市・仙台」を目指すための施策として、オープンイノベーションによる新規事業の創出に着手。「X-TECHイノベーション推進事業」では、東北の地域産業が抱える課題等をテーマとし、市内IT企業が有する技術と大企業等の有する経営資源とのマッチングによる新事業展開を促進している。


東海

【名古屋市】(愛知県)

名古屋市と一般社団法人中部経済連合会がタッグを組み、2019年7月に栄地区にイノベーション拠点「NAGOYA INNOVATOR'S GARAGE」をオープン。起業や事業改革を進める人々を支援している。


関西・中国

【大阪市】(大阪府)

大阪市は、2013年4月にイノベーション創出支援業務を実施する組織「大阪イノベーションハブ(OIH)」を開設。OIHのテーマは、「大阪から世界へ」。大阪を中心にグローバル視点に立ったイノベーションが継続的に起きるエコシステムを構築することをミッションとしており、新しい事業の創出やスケールアップにつながるイベントを年間200回ほど開催。国内外から多様な人材をひきつけ、投資機会や大企業とのコラボレーションなどをサポートしている。

【神戸市】(兵庫県)

神戸市は、日本政策投資銀行やCrewwと連携して、地元企業とスタートアップの連携による新規事業創出を目指す「KOBE OPEN ACCELERATOR」を開催。また、スタートアップ育成プログラム「500 KOBE ACCELERATOR」なども実施している。

【岡山市】(岡山県)

ものづくり系Webマッチングサービス「Linkers」を活用して、一般には公開されていない全国の大手メーカーなどの発注案件を紹介する、オープンイノベーション支援サービスを推進している。

【広島県】

広島県では、新たなビジネスや地域づくりなどにチャレンジする多様な人が集まるイノベーション創出拠点「イノベーション・ハブ・ひろしまCamps(キャンプス)」を開設。起業家・企業の新規事業担当者やその支援者などを会員として登録し,駐在するコーディネーターを中心に,会員間の交流や新事業創造・スタートアップ支援等を行っている。

【松江市】(島根県)

松江市は、JR松江駅前に「松江オープンソース ラボ」を設置し、IT企業や技術者、研究者、学生などの交流の場を創出。さらに、起業・創業支援やIT産業とものづくり産業の連携を進めており、Ruby・OSSを活用したビジネスプランを表彰する「松江オープンソース活用ビジネスプランコンテスト」を開催し、Ruby・OSSを活用した新しいアイデアの創出やビジネス化への挑戦を支援している。


九州・四国

【福岡市】(福岡県)

福岡市は、国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」を活用し、起業家の卵を増やすためのムーブメントづくりから、起業を促進させるエコシステムの形成、福岡市にしかないメリットの提供など、起業への関心やステージに応じた多様な取り組みを整備している。2017年4月には、官民共働スタートアップ支援施設である「FUKUOKA growth next」を開設。施設ではベンチャーキャピタルおよび投資家との連携、メンタリングや交流会によるコミュニティ形成、インターネットインフラの無償提供、ヒューマンリソースの育成およびマッチングなど、スタートアップへのさまざまなサポートを行い独自のスタートアップ支援システムによって、企業が「新たな価値を生み出すこと」「グローバルマーケットへチャレンジすること」を支援している。

【佐賀市】(佐賀県)

佐賀県では、佐賀市鍋島町の佐賀県工業技術センターに「佐賀県産業スマート化センター」を設置。テクノロジーをキーワードにしたオープンイノベーションの「ハブ」として、県内企業に対するAIやIoTといった先進技術の導入支援や県内IT産業の成長支援を行い、企業の生産性向上や新たなビジネスの創出につなげている。

【大分県】

大分県版第4次産業革命「OITA 4.0」への挑戦の一環として、大分県IoT推進ラボを設置。様々な地域の課題(ニーズ)とIoT、AI、ロボット、センサーなどの革新的技術やアイデア(シーズ)をマッチングし、IoT等のプロジェクトを創出することを目指している。


以上のように、北から南まで、様々な地方自治体がオープンイノベーションや外部との共創に着手している。今後もこの流れはさらに加速していくだろう。eiiconでは、このような各地方自治体の動向などにも随時注目し、情報発信を続けていく。

(eiicon編集部)