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【イベントレポート】「OpenInnovation Strategy 2017」〜近年のスタートアップ×大企業連携のカタチ〜

「できるできないでなく、やるかやらないかで世界を変える!」をコンセプトに、シード期のスタートアップに対して支援を行うインキュベーター、サムライインキュベート。同社が運営するコワーキングスペース「Samurai Startup Island (SSI)」にて、1/24(火)「OpenInnovation Strategy 2017〜近年のスタートアップ×大企業連携のカタチ〜」と題したイベントが開催された。


大企業内でも大きな注目を集めるオープンイノベーションの事例が紹介されることもあり、座席数を急遽増やして100名以上のビジネスパーソン・起業家たちが集い、会場は熱気で包まれた。

 

■新規事業創出の手法として、オープンイノベーションが有用。




▲インテリジェンス eiicon founder 中村亜由子

イベント冒頭、「オープンイノベーション最先端」と題した基調講演を行ったのは、本サービス「eiicon」のfounderである株式会社インテリジェンスの中村亜由子。アメリカと比較し、日本は新規事業を創出する力が弱い点を指摘。その課題を払拭するためには、スピーディーかつコストを抑えて事業を創出できるオープンイノベーションが有用であると話した。

また、国内でオープンイノベーションに取り組んでいる企業に関しても、その83%が社外に対して発信できていないというデータを提示。その打開策として、オープンイノベーションを網羅したプラットフォーム「eiicon」を立ち上げたと語った。なお、「eiicon」は2月末にローンチする。

 

■大企業3社によるオープンイノベーション事例


次に大企業によるオープンイノベーションの取り組み事例として、以下3名が登壇しプレゼンテーションを行った。

・TBSホールディングス 次世代ビジネス企画室投資戦略部 担当部長 片岡正光氏

・ソフトバンク株式会社 マーケティング戦略本部 イノベーション推進課課長 原勲氏

・森永製菓株式会社 執行役員 新領域創造事業部長 大橋啓祐氏


▲TBSホールディングス 片岡氏

TBSホールディングスの片岡氏は、業界内で感じる危機感から新規事業への取り組みを開始したと説明。ファンドを作ってベンチャー投資を展開しており、現在では12社への投資実績がある。その中でも特に注力している領域がドローンだ。ドローン専門企業であるブルーイノベーションへ投資を行い、TBSの緑山スタジオでドローンパイロットを養成。ドローンを活用した撮影ノウハウなどを蓄積していると語った。

▲ソフトバンク 原氏

ソフトバンクの原氏は、オープンイノベーションによるビジネス創出を加速させるために開催している「ソフトバンクイノベーションプログラム」の事例を発表。国内だけではなく、海外企業も対象にした同プログラム(第一回)では、日本企業76社、海外企業98社(20カ国)がエントリー。そこで採択されたリノベるとソフトバンクがスマートハウス専用アプリ「Connectly App」を共同開発したという事例を語った。「ソフトバンクイノベーションプログラム」は現在、第二回が進行している。

▲森永製菓 大橋氏

森永製菓の大橋氏は、「アイデアより実行〜スタートアップに学ぶ森永製菓の新規事業」と題したプレゼンテーションを実施。創業から100年以上の歴史を歩んできた同社の取り巻く外部環境(消費者のライフスタイルや流通等)が大きく変化しているのにも関わらず、その変化に対応できていない危機感から新規事業創出に注力し始めたという背景を語った。同社が主催する「森永アクセラレータープログラム」はすでに2回開催。スタートアップと自社社員との協働により、社内活性化も図れているという。新規事業創出やアクセラレータープログラムなど、当初は全く知識・経験も無かったが、一歩を踏み出すことで知らない世界が見えてくるーー「とにかく実行あるのみ」と大橋氏は力強く話した。

 

■オープンイノベーション成功のために、社内に味方を作ることが重要。




大企業事例をプレゼンテーションした3名に加え、株式会社サムライインキュベート アライアンス担当の寺久保氏とeiicon founderの中村が参加し、パネルディスカッションが行われた。

【新たな取り組みを始める上での社内の巻き込み方】というテーマにおいて、森永製菓の大橋氏は「社内アイデアソンを開催し、そこに経理や法務のメンバーを巻き込んだことが功を奏している」を語った。アイデアソンを通じて、経理や法務といったバックオフィスメンバーとの距離が短くなり、例えば外部とのNDAを巻く対応も、よりスピーディーになったという。

また、TBSホールディングスの片岡氏も、「社内でベンチャーピッチイベントを開催し、多くの社員に注目してもらった」と話した。報道担当の社員が、そのピッチで紹介された技術を取り込んだことで、報道局長賞を獲得に至ったという事例も実際にあったそうだ。一方、広報セクションとのパイプを密にし、新聞やWebなどメディアに取り上げられることで、社内の理解を得るといった興味深い話も出た。

最後に、スタートアップの見つけた方・見極め方として、「事前のリサーチはもちろん大事だが、結局は“人”。直感も大事」とソフトバンク・原氏が語ったのも印象的だった。

 

■取材後記


大企業の代表として登壇した3名に共通しているのは、「強い危機感」と「実行力」という2点だ。ビジネス環境は日々刻々と変化を続けており、大企業としても現状に甘んじているわけにはいかない。そんな危機感を主体的に感じ取り、行動・実行に移したことが、オープンイノベーションを成功へと導いている。森永製菓の大橋氏のプレゼンタイトルにあるように「アイデアよりも実行」が重要だと、改めて感じ取れるイベントとなった。

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:加藤武俊)