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オープンイノベーションを「オープン」にする――共創を当たり前にするために困難な道のりを乗り越えてきたeiicon 中村の原体験とは?

オープンイノベーションを「オープン」にする――共創を当たり前にするために困難な道のりを乗り越えてきたeiicon 中村の原体験とは?

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学生、ビジネスパーソン、インバウンド観光客など年齢や国籍を問わず、さまざまな人々が行き交う渋谷〜原宿〜表参道エリア。特に渋谷駅周辺では再開発も急ピッチで進み、国内外の大手IT企業が集いながら最先端のビジネスが生まれる場として盛り上がりを見せている。

――そうした渋谷区エリアを舞台とし、新しい自分を発見するカンファレンスや体験プログラムを集めた都市回遊型イベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2019」が9月11日(水)〜22日(日)までの12日間、開催された。 

今年のテーマは『NEW RULES. 〜新しい価値観〜』。あらゆる産業が加速度的な進化や変化を求められる時代。そんな時代の“新しい価値観”とは何か?を問いかける本イベントには、ボクシング界から村田諒太氏や昨年渋谷ダイバーシティエバンジェリストとして就任したタレントのりゅうちぇる氏が登壇、さらには、各界で活躍するビジネスパーソンやイノベーターなどトップランナーたちも集結し、持論を展開した。

そんな本イベントの大きなコンテンツの一つが、「DIVE DIVERSITY SESSION」だ。これは、“本質”をテーマにあらゆる分野のトップランナーが活動の意義、信念を⾒つめ直し、未来へのヒントを探るというもの。――9月21日(土)夕方には、【市場の創り方、大企業内ベンチャー経営の歩み】と題し、eiicon company代表/founderである中村亜由子が登壇。

大手人材サービス企業であるパーソルグループの新規事業として、オープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」(エイコン)をどのように立ち上げ、市場を創っていったのか?そもそも、なぜ“オープンイノベーション”に着眼したのか?といったポイントを含め、その内に秘めた想いを語った。

eiicon company 代表 中村亜由子

2008年インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。2015年、eiicon事業を起案・推進。全国約8,000社以上が活用する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」を運営するeiicon companyの代表/founder。

多くの懐疑の眼差しのなか、事業をスタートさせる

パーソルキャリアの既存事業である人材紹介事業などでキャリアを積み上げていた中村が、eiiconを起案したのは2015年にさかのぼる。育休のタイミングに、パーソルグループ社内で実施されていた新規事業制度を利用し、起案したのだ。

「オープンイノベーションをオープンに始めることができる、企業同士の出会いの場」という事業アイデアを提案したものの、企業の戦略に近い部分を「オープン」にするなんて「馬鹿げている」「絶対に浸透しない」……。否定的な意見も集まり、周囲からは多くの懐疑の眼差しを向けられた中で、eiiconという新規事業はスタートを切ったという。

2016年から事業化の準備が進められ、eiiconのサービスローンチは2017年2月。それからおよそ2年半が過ぎ、スタートアップから大手企業まで全国約8000社が登録するサービスにまで拡大。プラットフォーム上では、1万以上もの企業間のやり取りがされており、上場企業の7社に1社が利用。eiiconは、日本最大級のオープンイノベーションプラットフォームとして認知されるまでに成長を遂げた。

――ではなぜ逆風が吹くなか、中村は果敢にオープンイノベーションにフォーカスした新規事業を立ち上げたのか。それは、中村自身が身近に感じた“原体験”にあったという。

知人の姿を見て、感じた「課題」

ある地方都市で働く中村の知人は、提携先企業を探していた。そのために、半日以上かけて上京したり、地元のゴルフコンペに参加してコネクションを作ったりと、きわめてアナログな方法で、地道に時間をかけながらパートナー企業を探していたのだ。

――中村は、そんな知人の姿を見て「ネット社会の今、他に提携先企業を探す方法はないの?」と大きな課題感を抱いた。それを解決したいという原体験が、企業同士が情報をオープンにして出会うことができるeiiconというビジネスアイデアへと発展したと、中村は話す。

しかし、eiiconは決して順風満帆に事業化できたわけではなかった。中村はもともと人材紹介という既存事業の出身であり、Webプラットフォームを立ち上げた経験はない。しかも、新規事業の予算がなかなかおりないなど、危機的な状況も少なくなかった。

煙たがれながらも、周囲に助言を求めながらそれらを一つひとつクリアにしていった中村は、2017年2月についにeiiconのサービスをローンチした。また、その前段階としてオウンドメディアを先行リリース。あわせてFacebookなどのSNSやNewsPicksなども積極活用してバズらせることで認知拡大に努めた。以後は上記のように利用企業が拡大しており、小さな波紋が大きくなるような実感を得るまでになったと中村は言う。

新規事業をスピーディーに生み出せる社会に

現在eiiconは、ニュースメディアやテレビ番組でも取材を受けるなど、注目を集めるサービスへと成長しつつある。そうしたなか、eiiconを通してオープンイノベーションの成功事例を生み出し、それを発信することに注力するフェーズを迎えているという。

例えば、日本郵便×オプティマインドの「AIによる配送最適化」、コーセー×MDRの「量子コンピューターによる化粧品づくりの変革」といった大企業とスタートアップによるオープンイノベーションから、宮崎県の浅野水産とスタートアップ・FACTORIUMによる「漁師の勘と経験のAI化」という地方企業/一次産業のオープンイノベーションなど、多くの事例がeiiconを通じて実際に生まれてきている。

ときには大きな壁にぶち当たりながらも、中村が突き進んで来れたのは、知人の姿を見て感じた大きな課題を「絶対に解決したい」というブレない想いがあったから。さらに、日本にオープンイノベーションという手法を取り入れ定着させることで、新規事業をスピーディーに生み出すなければならない、という使命感があったからだと中村は話す。

――2019年内には登録社数が10,000社に達する見込みだというeiiconは、オープンイノベーションを「オープン」にすることが“当たり前”という世界観を、徐々に現実なものとしてきていると言えるだろう。

なお、「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」は、2020年10月に開催することが決定している。次回のテーマは、「THINK CULTURE. -文化、どうする?-」とのことだ。多くのトップランナーたちが登壇するイベントも開催されるはずなので、気になる方はぜひ足を運んで欲しい。

(取材・文:eiicon編集部、撮影:古林洋平)

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