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【特集インタビュー】三井金属・機能材料事業が、市場共創型へシフトする理由とは?

「創造と前進」を経営理念に掲げ、創業以来140年にわたって非鉄金属素材分野のフロンティアであり続けてきた三井金属。その歴史は新規事業開発の連続であったという同社にとって、オープンイノベーションは生まれながらのDNAに組み込まれた宿命とも言える。その担い手となる「機能材料事業」が今、「『市場共創型』事業体への変革」をスローガンに掲げ、これまでより以上に幅広いパートナーシップを求めて動きだした。「初めから見事なマッチングができるとは思っていない。ひとつでも多くの出会いを重ねることから始めたい」と話す、山本拓也・新規事業担当部長に話を聞いた。

山本拓也 機能材料事業本部企画部
新規事業担当部長
1995年三井金属鉱業株式会社入社。エレクトロニクス市場向けの新商品開発と市場開拓に10年以上従事し、数々の新商品の商品化に携わってきた。2016年より、機能材料事業本部の中期経営計画策定(16中計)に参画し、2016年4月より現職。


■「市場共創型」事業への変革を起こす新しい出会い

――御社にとって「機能材料」の分野におけるオープンイノベーションとはどのようなものでしょう?

山本:当社では、電池材料や触媒、機能粉、銅箔、薄膜材料、セラミックス、光学結晶材料といった、用途が多岐に亘る機能材料を扱っています。三井金属グループには創業140年を超える長い歴史がありますが、そのなかでもこの機能材料の分野が中心となって、いくつもの新商品や新規事業を生み出してきたという伝統があります。 その中には、同じ業界の、あるいは異業種のパートナーとの偶然の出会いがきっかけとなって、新たなビジネスへと結びつきましたものが数多くあります。古くは海外の技術とのマッチングで生まれた銅箔事業がそうですし、最近では偶然知り合ったお客様の「強い拘り」がきっかけで新商品に結び付いた例があります。 ですから、まだ見ぬパートナーとの協業で「新しい何かを創り出す」ことは、私たちにとって当然のミッションなのです。

――昨年発表された中期経営計画でも、今後の核となる事業のひとつに機能材料を挙げておられますね。

山本:はい。〝10年後のありたい姿〟として機能材料事業は、「市場共創型」の事業体へと変革することを明記しました。先進的な素材技術を持ったスタートアップ企業、あるいは大学などの研究機関も含めて、多種多様なパートナーと手を結び、新しい市場を共に創り上げていきます、という意欲の表れです。 これに伴い、機能材料事業本部の中に、新規事業の創出に向けて活動するチームを立ち上げました。それが、オープンイノベーションの窓口となってお話を進めさせていただく私たちのセクションです。「共創」の可能性を秘めたあらゆるチャンネルに対して、今までより以上に積極的に働きかけて、もっともっと多くの「偶然の出会い」を見つけていきたいと思っています。


■同じ目線で語り合える「夢」のある協業を

――パートナーシップの具体的なイメージがあればお聞かせください。

山本:私たちがある特定の技術を求めている、ということはありません。機能材料にかかわる技術であれば、あるいはそこから逸脱してもかまわない、とにかくいろいろな技術を互いに持ち寄り、持てる強みやリソースを最大限に生かしながら、それらのシーズをどのように商品化・事業化できるのかを、フランクに対話を重ねながら共に考えていきたいですね。 たとえば、私たちは金属素材の会社ですが、繊維素材の会社との出会いがあってもいい。無機技術と有機技術の結びつきで何かが生まれるとしたら、非常に面白いと思いませんか? そうした異なる業種や領域はもちろんのこと、規模の大小や産学官民の壁もありません。我々とはまったく異なる視点や技術、アプローチを持つ相手とであれば、無数の組み合わせが生まれ、無限の可能性が広がるに違いないと信じています。

――パートナーに望むこと、期待することはありますか?

山本:オンリーワンの尖った素材技術を持ち、その技術の可能性を信じて、「新しい事業を創りたい」という強い熱意のあるパートナーと出会いたいですね。そして、可能性に向かってフットワークよく挑戦し、たとえつまづいても立ち止まらず、その結果を真摯に受け止めて改善策に取り組める仲間を求めています。


■世界に拡がる「人」と「市場」のネットワーク

――御社からはどのようなリソースを提供できますか。

山本:まず挙げられるのは、多種多様な市場とのつながりです。自動車、エレクトロニクス、環境、医療などフィールドは多岐にわたりますし、取引先は世界中に拡がっています。そうした縦横無尽のネットワークを活用して、新しい技術や製品を世に送り出すための道筋をつけることができます。 そして、それを生かすことができる豊富な人材がいます。開発職であれ営業職であれ、課題となる案件をもとに違う角度から新しいアイデアを発想したり、異なる部門や人材をつなげて別の展開を触発したりできるだけの、層の厚いスタッフがプロジェクトを支えます。 もう1つ、これは新事業を軌道に乗せるまでの避けては通れない壁を乗り越えるのに有効ですが、新しい商品を量産化して利益を上げるためのあらゆる手立てとノウハウを有しています。全国各地に散らばる事業所や製造拠点、評価検証のための設備などを利用することができますし、品質やコストの管理といったソフト面・マネジメント面でのバックアップ体制も万全です。

――最後にオープンイノベーションの目標をお聞かせください。

山本:どれだけ多くのパートナーと出会い、対話を重ね、どんなに小さくてもいい、どれだけ面白い事業への萌芽を見出すことができるか、これに尽きます。意欲あるたくさんの方々との出会いを楽しみにしています。