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【連載/4コマ漫画コラム(55)】 新規事業を進めるための 自治体や官公庁との付き合い方(動かし方)

【連載/4コマ漫画コラム(55)】 新規事業を進めるための 自治体や官公庁との付き合い方(動かし方)

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官の力は必要だけど

新規事業を進めるために、自治体や官公庁の力を借りる必要が出てくることがあります。様々な助成金を活用したり、実証実験の許可をもらったり、もっと本格的なナントカ特区を作る時に必要となります。

最初に本音を吐露しておくと……勝手なイメージの部分もあるのですが、「官」とやるのは面倒くさい、という気持ちが先に立ってしまいます。

なんかやろうとすると、やたら書類が多い。時間がかかる。担当者がたらい回しになる、ルールが細かい、新しいことに抵抗がある……こういうことは、官だけのことではなくて、民間企業の中でも新規事業を進める時にぶつかる壁と一緒です。それらの壁の代表的なものが「官」であるというイメージがあるので、「お役所仕事」とか「役人根性」とかいう言葉あります。

でも、自治体や官公庁の力が必要な時は避けて通れません。

「お上と下々」の構造からの脱却を

日本文化の底流のあちこちに未だに「お上と下々」の精神構造があると感じることが多々あります。

お上は「我々お上がちゃんと責任を持って社会を作り運営する。下々は分かっていないから従わせておけばいい」と考え、下々は「お上がやってくれる。そしてなんかあればお上が悪い」と思っている、という変なパワーバランスで固定化しているのをよく感じます。お上というのは「官」だけでなく、学校の先生や、医師も含まれます。

なんかあると、下々は「政府が悪い」「先生が悪い」と思考停止で文句だけ言えばよく、自らがなんとかしてやろう、という気概がない状態があちこちで見受けられます。原発事故で「事故は起こらないとお上が言っていたので信じていたのに」なんて言うだけの人たちや、病院の先生の説明をおかしいと思いながらもセカンドオピニオンを求めずに「先生を信じていたのに」と取り返しのできない状態に陥る人たちもその典型だと思います。

この「お上と下々」の精神構造から抜け出すのが「自治体や官公庁」とつきあうために必要です。つまり、対等なパートナーとしての意識を持つこと。残念ながら、「官」の側の方にはなかなか「抜け出せない」人も確かに多い。でも、民間企業側は少なくとも「下々」だとは思わないようにして、対等に付き合うようにしましょう。

助成金を確保したり、規制の変更するためには、どうしても「官」の言うことに従わなければならないこともありますが、それが理不尽なことだったり、どうしてもイヤなことであれば、無理にやらない、という覚悟を最初から持っておくことがオススメです。

そして、言うことは言う。「なぜこんなルールがあるのか」「こんな書類は必要ないのではないか」など。もちろん、単なるお役所仕事をこなす人は「そうなっているので、お願いします」としか言わないでしょう。「役所に嫌われるとできなくなる」という恐怖感そのものが「下々」の精神に近い。「だったら別にいいです、やめます」という選択肢をいつも持っておきましょう。

無理をし続け、気が付くと「下々」の一員に押し込められてしまっては、新規事業の開発のエネルギーそのものまで低下していくという悪影響がでます。

民間ならではの経験やスキルで

また、「官」と対等になるために、「官だけではできないこと」に協力してあげると、「官」も無碍に民間を下々扱いしなくなります。例えばこのサイトのeiiconが行っているオープンイノベーションという領域。

国や産業界にとって重要なことだとの認識は定着しているので、官でのオープンイノベーション関連のプロジェクト(官の用語でいうとXX事業)も多いのですが、官自身はこの領域における実際の経験は乏しいので、民間企業での経験をベースに協力すると本当に感謝されます。そして少なくとも旧来の学校の先生と生徒の「偉い先生と、学ぶだけの生徒たち」という関係のような「お上と下々」の構造から抜け出せることができます。

ただ、官のプロジェクトは、最初から結論ありきで、そのための報告書を書くために民間のいわゆる知識人とか有識者を利用する(活用しているフリをする)場合が結構あるので、それにピタっとはまっているだけでは「立派な下々」にしかなりませんので、気をつけましょう。

官にもいる「青黒い人」

ここまで結構トゲがあることを書いてしまいました。官のみなさん、すいません。個人的な経験から来る狭い思い込みの部分も多々あると思います。そして、同じ個人的な経験から言えるもう一つのことが「官の中にも青黒い人がいる」ということです。

「青黒い人」についてはこれまでのこのコラムでも何度か書いた気もするのですが、10年以上前にリクルートワークス研究所が「大企業の中で新規事業を起こせる人材」を調査し、一言で表した言葉です。「青臭い志」と「腹黒い社内政治力」の両方を併せ持つ新規事業の強力な推進者のことです。

この「青黒い人」が「官」の世界にもいます。4コマで描いた「ハミダシもん」です。個人として、世の中をこう変えたい、という一見青臭い志を失わず、官の力を交渉力で突破し利用していく人です。民間企業ですら様々な壁があり突破するのは大変なのに、官の世界のとんでもなく強固な壁をぶち破っていく「官の青黒い人」は本当にすごい人たちです。

自治体や官公庁の「青黒い人」と出会えて一緒にコトを進められるかが最大のポイントです。なかなか出会わなくても、ウロウロしているうちに必ず目の前に現れると信じて頑張りましょう。この文章を書いている私の頭の中でも数人の「官の青黒い人」の顔が浮かんでいます。

ちなみに昨年のNHKの朝ドラ「半分青い」は関係ありません。念のため。


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

▼これまでの4コマ漫画コラムがアーカイブされている特設ページも公開中!過去のコラムはこちらをご覧ください。

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