eiicon

【イベントレポート】「地域の数だけチャンスがある。発想の転換で生み出す6次産業のカタチ」/福岡市スタートアップカフェ

福岡市が運営する「スタートアップカフェ」(http://startupcafe.jp/)にて、3/1(水)に「地域の数だけチャンスがある。発想の転換で生み出す6次産業のカタチ~Agricultural forestry industries and fishers × Change in thinking~」と題したイベントが開催された。

普段はスタートアップの支援ブースとして活用されている「スタートアップカフェ」。当日は定員数をはるかに上回り、今後の6次産業(※)に夢を描く人々で埋め尽くされていた。

(※6次産業とは……農業・水産業などの第一次産業が、食品加工や流通販売にも業務展開している経営形態)


■6次産業発展の鍵は、それぞれの地域産業に焦点を当てること

今回のイベントには独自の視点で地域産業を盛り上げる、以下3名が登壇。

・モデレータ 津屋崎ブランチ 代表 山口 覚氏

・瀬戸内ジャムズガーデン 代表取締役 松嶋 匡史氏

・ドリームファーマーズ 代表取締役 宮田 宗武氏


▲津屋崎ブランチ 山口氏

福岡県福津市津屋崎にて移住者支援や新しい働き方の提案などをおこなう団体「津屋崎ブランチ」 (http://1000gen.com) を運営し、過去3回のイベントでもモデレータを務めた山口氏。冒頭の挨拶では「今回のイベントでも、”ここで出会ったことで、何か新しい現実が生まれたよね!”というような事例が、1つでも2つでも生まれるといいなと思っています。」と語り、登壇者と参加者を繋ぐ架け橋的存在を担った。

▲瀬戸内ジャムズガーデン 松嶋氏

松嶋氏は、瀬戸内に浮かぶ周防大島で、手作りジャムの専門店「瀬戸内ジャムズガーデン」(http://www.jams-garden.com)をオープンさせ、現在は約30名の社員とともに、年間約170種類・13万本のジャムを生産。最近ではジャム店の枠を超え、自身の妻の実家である寺が中心となって、自社の社員と空き家をリノベーション・再生する活動もスタートさせている。松嶋氏は、地域の産業と雇用を創出することを主眼に、地域を巻き込んだ6次産業を実践中だと話す。

▲ドリームファーマーズ 宮田氏

宮田氏は、東京農業大学博士前期課程終了後、農学の日々の進歩と農業現場の衰退に一石を投じるべく、地元大分県宇佐市にUターン。安心院にてぶどうの栽培をおこなっている生産者3名で、「株式会社ドリームファーマーズ」(http://dreamfarmers.jp) を起業。農作物を作る「作り手」、商品を購入する「支え手」、食べた感想をSNSで情報発信する「伝え手」が三位一体となって地域の「担い手」になって欲しいと自身の想いを語った。


今後福岡市の市街化調整区域の活性化を行うためのヒントとは

自己紹介が終わると、モデレータの山口氏の進行のもと、【地域の数だけチャンスがある。発想の転換で生み出す6次産業のカタチ】をテーマに、福岡市の現状である「人口増加」と「周辺の市街化調整化区域における人口減」を打破すべく、いかに人を呼び、経済を生むかということに焦点を当て、両者独自の視点でトークが展開された。

どう売るか、どう動くかよりも、どう来てもらうかという発想に重きを置き、「売らないという売り方」にたどり着いたと話す宮田氏。「ドライフルーツのマーケットは120〜140億、そのうち99%が輸入だとしたら、大規模な広告がなくても、国産だとわかるだけで感度の高い人の目に止まり購入してもらえる。農業していると売りにいく時間がないので、農場や工房を見に来てくれる人にしか売らない。美味しいと本当に思ってくれた方が購入して、口コミで広げてくれる」とし、自分たちだけが儲かるのではなく、「いかに地域が潤うか」という考え方が6次産業の発展に繋がっていくのではないかと語った。

また松嶋氏は「大企業ではなく、小さい会社ゆえにうまくいくこともある。」と語る。移住者と地域の人を繋ぐきっかけを用意し、顔が見える環境を作り「この人が作っているのだから」という関係性を築くことが小さなコミュニティーではより重要だと話す。この意見は移住経験者である松嶋氏だからこそ。「何もない」と思っている地域こそ、実は「なんでもある」という可能性と多様性を秘めていると信じて、できることに貪欲にチャレンジして欲しいと参加者に向けメッセージを送った。

トークイベント終了後は、「瀬戸内ジャムズガーデン」のジャムと「ドリームファーマーズ」のドライフルーツを囲んだ交流会もおこなわれ、登壇者と参加者が交流できる満足度の高いひとときとなったようだ。


■取材後記

前半・後半ともに参加者同士、意見交換からスタートする和やかな雰囲気のイベントは、登壇者の両名の地域を想う気持ちにあふれていた。「いかに地域を盛り上げ、いかに他エリアの人々に自分たちのことを知ってもらえるか」に注力した結果が、それぞれの事業をモデルケース的成功へと導いたというストーリーを聞き、6次産業の今後に期待が高まるイベントとなった。

(取材・文:ワタナベ ユウミ 撮影:三橋 雅志)