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【特集インタビュー】「食のバリアフリー」を実現する。フレンバシー代表・播氏が語る、その具体的な戦略とは?

“日本における「食のバリアフリー」を実現すること”をビジョンに掲げる株式会社フレンバシー。ベジタリアンが必要とする日本のレストラン情報を多言語で提供する「Vegewel(ベジウェル)」というWebサイトの運営だけにとどまらず、訪日外国人を受け入れるためのベジタリアン対応やヘルシーメニューの開発など、多岐にわたる事業を展開し、注目を集めている。なぜ上記のような事業に着目したのかーーその理由と背景に加え、今後の事業展開、さらにオープンイノベーションに大切なことなど、代表取締役・播氏に話を聞いた。

株式会社フレンバシー 代表取締役 播 太樹
大阪市出身。関西の大学を在学中に、アメリカへ留学(交換留学)して広告学を学ぶ。また、バックパッカーとして単独で20カ国以上を訪問し、多種多様な文化に触れる。帰国後、メガバンクに入行。中小企業の融資、海外事業支援に携わり、政府系シンクタンクへ出向。エコノミストとして、欧州・北アフリカのカントリーリスク調査に携わる。メガバンク退職後、2015年に株式会社フレンバシーを立ち上げる。


■インタビューを繰り返し、そこから見えてきた社会課題を解決する。

――まずは、フレンバシーを創業した経緯を教えてください。

もともと、学生時代から起業したいという思いがありました。しかし、どんなビジネスを手がけるのか具体的なイメージが持てなかったのです。それであれば、まず、さまざまなビジネスが見れることができる環境に身を置いて勉強したいと考え、メガバンクに就職しました。入行後は、法人営業で融資を担当したり、政府系シンクタンクに出向したりと貴重な経験をさせてもらいましたね。

——播さんはその後に起業するわけですが、どのようなコンセプトを据えて、ビジネスプランを描いたのでしょうか?

最初は、どのような事業にフォーカスをするか、かなり迷走していました(笑)。ただ、学生時代に留学の経験があったり、バックパッカーとして20カ国以上を旅した経験を踏まえて、自分の中で一番しっくりきたのが、海外事業。特に、訪日外国人向けインバウンド事業だったのです。

——なるほど。

その中でも「食」に関しては、訪日外国人の不自由度が高く、競合するプレイヤーも少なかった。そこで、外国人向けに飲食店情報を発信する「東京ディナーチケット」というWebサイトを作りました。しかし、このWebサイトは順調とは言えず、ビジネス改善のために在日外国人の方々に協力してもらい、数々のインタビューを行いました。そこから出てきたのが、ベジタリアン向けの「食」に関する情報が少ないという社会課題だったのです。海外には、ベジタリアンやヴィーガン(動物性食物を一切摂取しない)の方などが多いですからね。そこで、日本における「食のバリアフリー」を実現すべく、ベジタリアン向けのレストラン情報サイト「Vegewel(ベジウェル)」を立ち上げました。

——現在のメイン事業である「Vegewel」にたどり着くまでに紆余曲折あったんですね。

現在、「Vegewel」は、世界最大のベジタリアンコミュニティである「HappyCow」との連携がスタートしました。また、当社では「食のバリアフリー」を実現するという観点から、ベジタリアン対応のメニュー開発といったサービスも提供しています。「食」にまつわる情報を発信したい企業はもちろん、インバウンド向けに新しいメニューを開発したいという企業・飲食店とも手を組んできたいですね。


■課題を明確にすること。それが、オープンイノベーションを加速させる。

——今後の事業ビジョンについてお聞かせください。

現在日本では、マクロビオティック、グルテンフリーなど、ヘルシーな食を求めるニーズが高まっています。そこで、当社がこれまでに培ってきた知識・経験を活かしながら、ベジタリアン向けに限らず、日本人の「健康志向」に応えられるメニュー提案・開発なども手がけていきます。実際、都内のイタリアンレストランに向けて、大豆ミートを使ったサラダやグルテンフリーのパスタなどを提案していて、導入も決まっています。当社には、メニュー開発の知見を持ったメンバーがいるので、こうした提案・開発も可能なのです。さらに、食材の卸も私たちが手がけています。

——食材の卸も?

実は当社は、大豆製品を取り扱っている上場企業・不二製油さんと提携を進めています。不二製油さんは50年近く大豆製品を扱っている中で、イノベーションを起こしたいという思いがあり、当社に声をかけてくれました。まだ提携の話をしてから数ヶ月しか経っていませんが、大豆などの食材の仕入れはもちろん、レシピの提供やメニュー開発など、具体的な協業がスタートしていますね。

——大企業とのオープンイノベーションが始まっていますね。

もともと不二製油さんは、大豆製品をもっと世に広めたいという明確な課題がありました。私たちは、新しい切り口のメニュー開発に加えて、「Vegewel」というメディアを持っているため、その課題に対するソリューションがあったのです。ですので、当社と不二製油さんは非常に組みやすい関係でした。

——なるほど。それでは最後に、オープンイノベーションを進めていく上で大切だと実感されることを教えてください。

オープンイノベーションを進めるにあたっては、課題を明確にすることが大事だと思いますね。そうすることによって、共創する相手も自ずと明確になってくると思います。

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:加藤武俊)