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商いと地場インフラが共存する、大阪の“日本屈指”のオープンイノベーション事情

商いと地場インフラが共存する、大阪の“日本屈指”のオープンイノベーション事情

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日本第二の都市・大阪は「商人の町」として知られていますが、言い換えれば「ビジネスの町」でもあります。商人とは個人事業主もしくは起業家ですから、スモールビジネスが栄えている自治体としては日本屈指と言えるでしょう。 

スモールビジネスだけでなく、言うまでもなく強力な地場企業や大手企業も多数輩出しているため、オープンイノベーションを検討する上で見込めるリソース・アセットは豊富にあります。

さらに、大阪都構想が推進されている影響によって、大阪府と大阪市の二重構造がなくなりつつあります。そんな大阪はどのようにオープンイノベーションを推進しているのでしょうか。今回の「CLOSEUP OI」では大阪府(市)の取り組みと、有力なオープンイノベーション事例を紹介します。

土台骨となる卸・小売業と2025年の万博開催

大阪で「商い」と言えば船場地域を中心として戦後から栄えている卸売業や小売業です。特に、繊維品に限って言えばシェアが東京よりも上回っています。卸・小売の分野で高度経済成長によって大きく発展した大阪の企業は伊藤忠商事、丸紅、日商岩井、トーメン、日綿実業、兼松江商など枚挙にいとまがありません。

また、2025年に開催予定の大阪万博では、2025日本万国博覧会誘致委員会事務局の試算によると経済効果は約2兆円とも言われています。卸・小売業という産業の屋台骨があり、さらに巨額の経済効果が見込めるイベントを控えているのが大阪の現状です。

参考ページ:多様な産業集積の強み

参考ページ:万博概要情報 | OSAKA,KANSAI EXPO 2025 | 2025日本万国博覧会誘致委員会 -大阪・関西-

日本屈指の共創拠点「大阪イノベーションハブ(OIH)」

大阪イノベーションハブ(OIH)は、大阪市から委託を受けた公益財団法人大阪産業局が運営している、大阪のスタートアップエコシステムを象徴する施設です。2013年に大型商業施設「グランフロント大阪」の中に設置されました。

主に起業家の支援とイベント開催が行われていますが、起業家支援は特に手厚い内容となっています。OIHで行われるピッチイベントの案内、メディア向けプレスリリース支援、メンタリングがメインですが、スポットで外部機関と連携したアクセラレータプログラムを支援するケースもあります。例えば、JR東日本がシンガポールに構えるオープンイノベーション拠点「One&Co」でのアクセラレーションパートナーとしてOIHも参画しています。

OIHはForbesが選ぶ「日本国内で注目すべき、イノベーションハブ5選」にも選ばれていおり、大阪だけでなく日本国内でも屈指のオープンイノベーション拠点として地位を確立しました。

関連記事:JR東日本|シンガポールにオープンイノベーションを加速するコワーキングスペース「One&Co」を開設

関連ページ:起業家のまち・大阪

関連ページ:大阪イノベーションハブ(OIH)が日本国内で注目すべきイノベーションハブ5選に選出!!

大阪におけるインフラ系の共創事例

大阪における共創事例は数多くありますが、特筆すべきはインフラまわりです。大阪は大都市ですでに強固なインフラが整備されていますが、最新のテクノロジーやトレンドを取り入れた共創を積極的に取り入れています。

【住友商事×Osaka Metro】鉄道トンネル内の5G基地局シェアリング

次世代通信技術として稼働が始まりつつある5Gの基地局を大阪の地下鉄Osaka Metroのトンネル内に設置し、各携帯電話事業者向けに基地局シェアリングする試みが3月から開始しました。

Osaka Metroはこの共創パートナーに住友商事を迎えています。住友商事は5G共用アンテナシステムなどの開発と調達を行っており、4Gと比べて多くの基地局が必要な5Gのインフラ整備を勧めます。

電波の通じにくい地下鉄トンネル内でも快適に5Gを利用するために、Osaka Metroは先んじて手を打っています。

関連記事:【住友商事×Osaka Metro】 鉄道トンネル内5G基地局シェアリングの実証実験を開始

【大阪府住宅供給公社×堺市】「HELLO CYCLING」活用のシェアサイクル

⼤阪府内で賃貸住宅の提供などの事業を⾏う大阪府住宅供給公社は、堺市と連携し公社が所有している大型商業施設「フレスポしんかな」の敷地の一部に「シェアサイクル・ポート」を設置し、公共交通の機能補完や地域活性化など社会的課題の解決に向けた「堺市シェアサイクル実証実験」を3月から開始しています。

シェアサイクルに用いられるのはOpenStreet(オープンストリート)株式会社が提供しているIoTを活用した自転車シェアリングシステム「HELLO CYCLING(ハローサイクリング)」です。

堺市は百舌鳥・古市古墳群が世界遺産登録されたこともあり、人々の周遊を促進させたい狙いがあります。市内の各所にシェアサイクルポートを設置して回遊性にどう影響が出るか、実証実験で検証します。

関連記事:大阪府住宅供給公社×堺市 | IoTを活用した「堺市シェアサイクル実証実験」を開始

【ハカルス×大阪ガス】AIIoTソリューション共同開発

独自の機械学習AIを開発するハカルスと大阪ガスは、2019年9月よりAI・IoTソリューションの共同開発の検討を開始しました。

検証する内容は主に2つで、大阪ガスの社内業務の効率化・省人化を行うAIシステムの共同開発と、大阪ガスが利用者に提供するAI・IoTソリューションの共同開発です。

ハカルスのAIは少量のデータでもデータの規則性を発見できることが特徴となっており、将来的には外部向けのAI・IoT関連システムの開発も視野に入れています。
関連記事:ハカルス×大阪ガス | AI・IoTソリューション共同開発の検討開始

【編集後記】商いと大規模インフラが共栄関係

大阪は今も商いの町でありながら現在は大都市でもあるため、特色の強い共創が多い印象です。さらに大阪府知事も大阪市長も都構想推進派なので、これまでよりも産官学が一体となった共創がドラスティックに行われていきそうです。前述のOIHは大阪市が母体となっているものの、ホームページに寄せられたメッセージは府知事と市長が連名となっていて、現在の大阪の勢いが見て取れます。

オープンイノベーションの実績を見ると、交通機関やガスなどの地場のインフラ企業が有力なベンチャーと手を組むケースが目立ちます。商いの町は現代風にアップデートされ、共創の町になりつつあるのかもしれません。

(eiicon編集部)

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