TOMORUBA

事業を活性化させる情報を共有する
コミュニティに参加しませんか?

AUBA
  1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. 【特集インタビュー】1885年創業のフジクラが「2030年」を見据え、オープンイノベーションに取り組む理由とは?
【特集インタビュー】1885年創業のフジクラが「2030年」を見据え、オープンイノベーションに取り組む理由とは?

【特集インタビュー】1885年創業のフジクラが「2030年」を見据え、オープンイノベーションに取り組む理由とは?

  • 4462
1人がチェック!

電線や光ファイバ、携帯電話等電子機器に使われるフレキシブルプリント配線板など、いくつもの製品で世界トップクラスのシェアを誇るフジクラ。同社ではこの春、「2030年ビジョン」を掲げ、オープンイノベーションを通じて新しい価値を生み出す挑戦に一歩を踏み出す。ビジョン策定の背景や、パートナー企業への期待を、新規事業推進センターの今井隆之・シリコンバレーオフィス所長(旧つなぐみらい戦略室長)と、平船さやか・つなぐみらいイノベーション推進室長の両氏に話を聞いた。

今井 隆之/新規事業推進センター シリコンバレーオフィス所長
2015年7月、つなぐみらい戦略室長に就任し、同社の2030年ビジョン策定を牽引する。2017年4月から現職。シリコンバレーを拠点にグローバルな情報収集を通じて、新規事業創出を加速する。

平船 さやか/新規事業推進センター つなぐみらいイノベーション推進室長
2013年4月から、新規事業推進センターにて、新規事業推進や企画に従事。2017年4月から現職。新規事業創出・推進全般にわたりグループ全体をリードする。

■“みらい”社会の課題解決に向けて多様性が必要

――オープンイノベーションという手法を取ろうと考えた背景をお教えください。

今井:当社では先頃、「2030年ビジョン」を発表しました。その中では、「“みらい”社会の課題解決」をスローガンとして掲げています。これを実現していく上で、課題解決のプロセスと、その前段階である課題発見のプロセスのどちらにおいても、当社1社だけでは、視点や考え方、リソースの多様性が不十分だと考えたんですね。そこで、社外にも目を向け、ビジョンを共有していただける方々と私たちとで共に課題を発見し、解決していくエコシステムをつくる必要があると考えたことが、オープンイノベーションに着目した背景にあります。

――多様性が必要だと考えられたのはなぜですか。

今井:私たちは、これまでは、優良顧客との間で培われたパートナーシップをもとに、その顧客企業と共にさまざまな社会課題を解決してきました。世界は今、かつてない規模とスピードで変化を遂げようとしています。そんな時代に、当社が価値を発揮し続けるためには、私たち自身がより主体となって、さまざまな社会課題をダイレクトに解決していくことが必要だと考えたんですね。でも、いきなり「コンシューマ向けのプロダクトをつくろう」と言っても、当社にそうした経験は不足しているのが実情です。

平船:さらにこれからは、既存の中核事業の取り組みでも消費者を見据えた視点や考え方はより必要になってくると思うんですね。経験がないからと言ってアクションが遅れてしまえば、いずれ時代に取り残されてしまう、そんな危機感を持っています。これからはBtoB・BtoCにかかわらず、自分たちで課題を見いだし、解決策を考え、それを発信していくことが必要なのではないかと。

今井:そこで、社会の中に課題を見いだし、創意工夫と横のつながりを通じて解決を図ろうとしている企業と共に、ビジネスを創っていきたいと考えたのです。私たちには、これまで培ってきた世界トップクラスの技術とネットワークがあると自負しています。お互いの強みを持ちよれば、きっと“みらい”社会の課題解決はできると考えています。

■私たち自身も変化を遂げたい

――「2030年ビジョン」はどのようなプロセスで描かれていったのですか。

今井:これからのフジクラを考えた時に、「2030年」を見据えたビジョンを描こうということで、経営陣主導で2014年5月につなぐみらい戦略室が発足しました。それから私は、社外に目を向けて、いわゆる“放浪”をしていたんですけれども(笑)、要は、いろいろなスタートアップの方に、国内外問わず会いに行ったり、イベントに参加したりしていたんですね。そこで、オープンにつながっていくアントレプレナーの方々を目の当たりにして、そのエコシステムの中に私たちも入って行きたいという思いを強くしました。それが、2030年ビジョンにも大きく反映されています。

そのためには、私たち自身が内部から変わっていく必要もありました。そこで、社内で有志を募ってワークショップを開き、現状の課題認識と、フジクラとして目指すべき解決の方向性を議論しながら、2030年ビジョンを整理していきました。

平船:その一方で、私は新規事業推進センターのビジネスイノべーション室で実際に新規事業を推進していました。また社内でワーキンググループをつくって、新規事業を創出するために何が必要かというところを模索していました。そこで、新しいことへのチャレンジを尊ぶ風土も必要という結論に至ったんですね。そのためにも、組織に外からの新しい風を吹き込んで、多様な考え方に触れることが有効だと考えたのです。

そういう私たちの活動と、今井を中心に進めてきた活動が今回結びついて、2017年4月から「つなぐみらいイノベーション推進室」として、より社内の体制を強化し社外の様々な方々と共に社会課題解決をしていく土台を整えました。

▲フジクラのショールーム

■フジクラが見据える“つなぐ”みらい

――「2030年ビジョン」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

今井:私たちの、2030年時点でのあるべき姿として、「フジクラグループは、“つなぐ”ソリューションの提供により、快適で持続可能な“みらい”社会の課題を解決し、継続的に企業価値を高めている」ということを、ビジョンとして定義しました。具体的には、「Advanced Communication」「Energy & Industry」「Life-Assistance」「Vehicle」という、当社がもともと持っているリソースに関連性の高い4つの市場分野を想定しています。そして、これらの市場分野において、様々な企業・組織の皆さんとの協業を通じて、新たな事業を創出していきたいと考えています。

また、新規事業推進センター内にシリコンバレーオフィスを設置しまして、私はそこの所長に就任しました。テクノロジー、マーケット、スタートアップ企業の情報収集を、日本に限らずグローバルな視点で行い、協業の検討から事業構想を進めていきます。


――なぜ「2030年」というタイミングだったのでしょう。

平船:2030年は、遠いようで近いです。結構先かと思うと、よくよく考えてみたらあと10年ちょっとしかない。「2030年ビジョン」では、現状からの積み上げだけでは決して到達できない未来が描かれています。でも、2030年のタイミングで何かを大きく花開かせるには今すぐにでも着手しなければならないという、現実味のある活動をする上で絶妙なマイルストーンの設定だと思います。

新しい事業は、考えたことがすべて形になって上手くいくわけではないでしょう。でも、そういう中で、“みらい”の社会課題を見据えて、一緒に解決の可能性を探っていける、そういうパートナーに出会えたらと考えています。

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント1件

  • 谷口直孝

    谷口直孝

    • ユニチカ株式会社
    0いいね
    チェックしました