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【イベントレポート】福岡市スタートアップカフェにて開催「外国人の起業と外国人を雇用する際に学ぶべきこと」

福岡市が運営する「スタートアップカフェ」にて、3/10(金)に「外国人の起業と外国人を雇用する際に学ぶべきこと」と題したセミナーが開催された。近年、福岡でも外国人の起業や雇用が増加傾向にあり、日本での雇用の在り方や労務管理ポイントを学ぶため、多くの方が受講された。

会場となった「スタートアップカフェ」(http://startupcafe.jp) 内にある「FECC(福岡市雇用労働相談センター:厚生労働省委託事業)」(http://fukuoka-ecc.jp) では、11:00〜21:00の時間帯(月曜・祝日を除く)で雇用や労働問題に詳しい福岡で活動する弁護士や社会保険労務士が相談対応を行っている。これらの専門家に無料で気軽に相談できることもあり、平日も多くの相談者が訪れている。


■日本と海外の働き方の違いを知ることが、今後の雇用問題解決の鍵に

今回のセミナーには、外国人の雇用問題のエキスパートである以下2名が登壇。

●ジェイコブソン外国法事務弁護士事務所 クリス・ジェイコブソン氏 (FECC相談員)

●早田社会保険労務士事務所 早田 晋一 氏 (FECC相談員)

▲ジェイコブソン外国法事務弁護士事務所 クリス氏

2010年に外国法事務弁護士登録を行い、2013年に「ジェイコブソン外国法事務弁護士事務所」を福岡に設立。日本で弁護士登録を行う以前は、30年間国際取引顧問及び経営者として日本企業に勤め、外国人労働者として雇用されていた経験も持つクリス氏。「異国の文化をどのようにイメージしているかが重要。外国人労働者が日本で長く仕事を続けられないのは、どこかで文化的な衝突が起きているからではないかと考えている。」と自らの経験も踏まえ、雇用・労働問題を語った。

▲早田社会保険労務士事務所 早田氏

「早田社会保険労務士事務所」の代表として人事・労務に関するコンサルティングを行う早田氏。「外国人の就業規則や社会保険について〜外国人を雇用する際に注意すべき労務管理ポイント〜」と題し、外国人労働者に関する最近の状況を踏まえ、外国人を雇用する場合の心構えや、雇用の際に必要となる法律の知識や制度について詳細に説明を行った。


ビジネスにおける習慣や文化の違いを少しずつ理解し合う

【外国人の起業と外国人を雇用する際に学ぶべきこと】をテーマに、弁護士、社会保険労務士という両者独自の視点でトークが展開された。

まず、文化的な観点から今回のテーマを語ったクリス氏。正社員、契約社員、アルバイト、パートなど、日本の独特な雇用形態に対して、海外の場合は、主に「雇われているか」「雇われていないか」のシンプルな2択だと話し、以下のように続けた。

「日本は社会の輪を大切にしているが、海外、特に西洋は個人を重んじており、その違いが衝突する主な原因だと思っている。その他にも年功序列で役職が就く日本に対して、海外は自分の能力によって評価がなされ、自身のキャリアプランを考える欧米とは考え方が根本的に違う。その文化的なギャップを埋めていくべきだ。」

一方、早田氏は社会保険労務士として「人を雇用する際の注意すべき点」について、採用時の手続きや条件の決定など、過去に担当した事例を交えてより細かにポイントを説明。熱心にメモを取る参加者の姿が見られた。「雇用契約の書面を交わす際、日本人であれば当然のことでも、外国人にとっては認識が違うことも多々ある。」と話す早田氏。

給与から各種保険料などが差し引かれることが一般的とされる日本の制度に対して、額面=手取りと捉えることが多い海外諸国。このため、入金後に契約時と金額が違うと相談されることはよくあるという。「外国人労働者が理解しやすい就業規則を作ることで、習慣や文化の違いをお互いに共有していくことが、よりよい労働環境づくりの第一歩になる。」と語った。

イベントの中盤には参加者からの質疑応答の時間も設けられ、実際に日本で働く外国人労働者の声を聞ける貴重な機会となった。

▲FECC 事務責任者 香月 稔氏 (受託者:有限責任監査法人トーマツ)

イベントの最後には、「FECC」を代表して香月氏が挨拶を行った。「”攻め”のスタートアップカフェと”守り”のFECCとして、これから起業して新しいアクションを起こす方々にとって、法律面や雇用面におけるルールを気軽に相談してもらえる場所でありたい。」と話す香月氏。4月12日には旧大名小学校へ移転し、専門性の高い相談員の心強いサポートのもと、今後も福岡のスタートアップを盛り上げていくことを約束した。


■取材後記

国内初の「スタートアップビザ」をスタートした、国家戦略特区である福岡市だからこそ、率先して真摯に向き合い学ぶべき内容が、凝縮された2時間であった。グローバル化が進む昨今、日本独自のルールをすべて押し通すのではなく、海外基準にあわせる柔軟さを少し持つことで、日本人の働き方も今後変化していくのではないかと、新たな視点に気づかされるイベントとなった。

(取材・文:ワタナベ ユウミ 撮影:三橋 雅志)