イノベーターやテクノロジーにフォーカスしたニュースメディア「TECHWAVE」とeiiconによるコラボレーション企画がスタート。国内外のオープンイノベーションにまつわるトピックを紹介していきます。


【技術シーズ】……このシリーズでは、研究機関や企業内で培われたさまざまな技術および技術ライセンス事業を担う組織を発掘し紹介していく。ここで紹介する技術シーズが、さまざまな業界業種に取り入れられることを期待する。


(写真:超高輝度蓄光ステッカーシート)

蓄光顔料の専門商社として「ブリッジウェル」社は2019年11月に創業された。蓄光といえば、光を蓄積し、発光する物体。古くからある枯れた技術だというイメージが強いがそうではない。なぜ、今、蓄光でスタートアップするのだろうか?

「長年、蓄光は世界中で基本特許が抑えられ、技術革新があまり進んでいない状況にありました。しかしながら、3〜4年前に特許が切れ、市場が活発化し始めており、目下では技術革新や値崩れが起こっています」(ブリッジウェル社 代表取締役社長 石橋真彦 氏)

現在、ブリッジウェルは、LEDライトよりも約46倍明るい蓄光顔料(完全励起から2分後の明るさ(残光輝度)2314mcd/㎡と一般的なLEDライトの明るさ50mcd/㎡を比較した表現)を、小ロットで提供開始している。

人が視認できる明るさと比較すれば、一目瞭然。昔ながらの蓄光をイメージすると「明るすぎる」と表現しても過言ではないほどだ。

こうした技術進歩を遂げている蓄光顔料に、さらに防水処理が施されたり、有害物質が排除され、さまざまな用途で導入できる機会が生まれている。

(写真:【耐水タイプ】高輝度蓄光顔料ブルー発色(粒径30μm))

(写真:【耐水タイプ】高輝度蓄光顔料グリーン発色(粒径25μm))

(写真:上記顔料をマニキュア用のトップコートに使用したケース)


電力不要の光源「蓄光顔料」

蓄光顔料の最大のポイントは、「電力不要で強く発光」することができるということ。環境や加工の状態などに左右されるものの、最大12時間は視認が可能。

「過去の蓄光顔料は水に弱く、加水分解してしまう特性があり、水回りや屋外で使用が限定されていました。顔料をガラスなどで覆い、水に触れないような処理が一般的でしたが光量が落ちてしまう問題がありました。しかし、現在当社で扱っている顔料にはすべて耐水処理が施されたものになっており、そのまま屋外で使用できます」(石橋氏)

蓄光顔料は、ここにきて避難誘導標識など防災面での導入が進んでいる。最大の理由は、電源設備などを構築する必要なく高輝度の照明を導入することができるようになったからだ。

蓄光は太陽光のようなUV光のみならず家庭内の光源やスマートフォンのLEDライトでも蓄光することができるため、その可用性の高さも評価された結果といえるだろう

蓄光顔料の主原料は「アルミナ」と「レアアース(ユーロピウムとジスプロピウム)」が使われ、その純度や添加量などによって性能とコストが大きく変わる。

高輝度を目指すには、高い純度の実現する高度な技術と、焼成の工程における窒素ガスを充満させる技術とノウハウが必要。ここに各メーカーの技術競争が生まれている状態だという。


蓄光でイノベーションは生まれるか

過去の蓄光顔料は、ロットが大きく価格も高く手にいれにくいものだった。

「業界では通常25kgが納入ロットで、価格は安いものでも数千円/kgから数万円/kgとなっていました。これに対し、まず弊社では蓄光顔料を50g単位で販売することにしました」(石橋氏)

これに加えてブリッジウェル社は防水加工処理を施した科学メーカーの高輝度蓄光顔料を活用し、独自の技術とノウハウを詰め込んだシートタイプなどさまざまな製品を世に送り出そうとしている。

技術と価格、そして使いやすさを備えた高輝度蓄光顔料は、これまで想像もしなかった使途が生まれるかもしれない。

ところで、ブリッジウェルは、高輝度蓄光技術の経験を活かし「Glow HOTARU(商標出願中)」という再利用可能なサイリュウム(ケミカルライト)を開発。メーカーとしてこれを販売を予定だ。2020年3月にクラウドファンディングプロジェクトを公開(現在は終了)。枯れた技術と思われた蓄光だが、新しい波が起こる可能性が垣間見れた。


※参考URL:ブリッジウェル

https://bridge-well.jp


僕はこう思ったッス by 増田(maskin)真樹 @TechWave

建築物の密閉度・遮光性が高まる現代、意外と身近なところに暗闇があるように感じる。個人的に蓄光シートなどを購入し、生活エリアのさまざまなところに貼り付けていた。が、しかし、高輝度のものが少なく、防水面でも問題があったりする。ブリッジウェルの蓄光シートは、むしろ明るすぎて困るレベル。課題は充分クリアできる。


■増田(maskin)真樹 / Editor In Chief at TechWave.jp

1990年代初頭から記者としてまた起業家として30年以上にわたりIT業界のハードウェアからソフトウェアの事業創出に関わる。シリコンバレーやEU等でのスタートアップを経験。日本ではネットエイジに所属、大手企業の新規事業創出に協力。ブログやSNS、LINEなどの誕生から普及成長までを最前線で見てきた生き字引として注目される。通信キャリアのニュースポータルの創業デスクとして数億PV事業に。世界最大IT系メディア(スペイン)の元日本編集長を経て現在に至る。