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【連載/4コマ漫画コラム(7)】お金の調達法①:社内は『しゃーない』で

■「どうせ」は禁句

企業内で新規事業を始めるためにも、ベンチャーを始めるためにも、まずは先立つものとしてお金が必要です。 

ベンチャーを起業し、前進していくための資金獲得の王道は、ベンチャーキャピタルからの投資。そちらは、良書がありますのでそちらに譲ります。(シリコンバレーで起業し、最後はあのスティーブ・ジョブズに会社を売却した曽我 弘さんの「シリコンバレー流起業入門」) 

本コラムでは2回にわたり、「新規事業のための社内でのお金の調達法」のコツをお伝えしましょう。

 今回は「(若手の)アナタがお金を獲得する方法」です。(次回は「他の社員が新規事業などをやりたくてお金を求めてきた時に、(管理職の)アナタがお金を用意してあげる方法」です。) 


 アナタは、仲間と色々議論したり、一人で考えたりして、とても素晴らしい(と思える)新規事業のアイデアを思いつきました。

しかし、それを実行するためには「お金」が必要です。 しかし、「毎日のように『経費を削減しろ!』と叫んでいる上司に、『このアイデアのためにお金を下さい』なんて、とても言えないな…」という考えが先に頭に浮かび「どうせ無理だ」と諦めがちです。 

新規事業を志すアナタが(心の中でも)使ってはいけない禁句は『どうせ』。 

『どうせ』は「結局何もしない人が自分に言い訳をするための接頭語」です。 

このコラムでも書いてきましたが、新規事業は不確実性の塊です。「やらずして分からない」「やったからと言ってうまくいくとは限らない」の繰り返しで、紆余曲折しながら何が何でも成功させるという気合でちょっとずつでも前進していくしかありません。 

「新規事業のためのお金の獲得」も同じです。「言わずして分からない」「言ったからといってうまくいかない」を「どうせ」とは思わずに「ダメ元」で繰り返すのが肝要です。いちいち落ち込まずに、カラッと「しゃーないな」と笑顔で。 

どう考えても「即」否決されると思う上司にも話してみましょう。どんな上司でも「だめだ」の一言だけで終わることはないはずです。なんらかのダメな理由とかを言ってくれます。9割以上が単なる愚痴のような理由でも、5%くらいは「なるほどな」と思える「ダメなところ=改善点」の指摘が紛れ込んでいます。そこに気が付けば儲けもの。次の提案の内容に即反映しましょう。

そして、これも「ダメ元」で、「他の方で本件に興味を持ちそうな部長とかいますか?」って聞いてみましょう。もし、ポロっと言ってくれれば、次はその人に当たってみましょう。そして、また喜んで玉砕しましょう。「改善点」や「他の人の紹介」の情報を得て。

実際、私の知っている方は、最初はA4一枚に荒く書いた提案書を説明して、強烈な「ダメ」を喰らい、そして、その「『ダメだ』コメント」を素直に生かして、提案を改善し、2回目にはA4が2枚になり、…それを繰り返しているうちに数十枚もの立派な提案書になって、最後はお金を獲得できたそうです。

もちろん、同じエライ人にだけ向かっていって玉砕を続けていては埒があきません。 

斜め上の上司や、全く別部門の様々なおエライさんにも当たってみましょう。誰に会えばいいのかは、気の置けない仲間に相談して、「噂だけど、あの部長だったらとりあえず話を聞いてくれると思うよ」という人を見つけましょう。こういう「噂」は探す気になれば結構あって、かつ、割と確率が高く正確な情報です。 

会社全体で見れば、必ずアナタが提案するくらいのお金はあるはずです。パトロンというか「社内エンジェル」を諦めずに探しましょう。  


「自分のお金だったら」の考え方

また、どうしても「どうせ」と思ってしまうのは「こんな高額のお金は無理だろうな」という無意識の気持も原因です。そう思って提案を「自粛」してしまいます。「もし自分の金だったら、こんなことに投資するか!?」という声が聞こえたりしています。実際にこのセリフを言って、若い人たちの提案を潰す人もよくいます。 

もちろん、提案額が超高額で、海のモノとも山のモノとも分からないアナタの提案に凄いお金をつぎ込んで、会社が潰れてしまっては困ります…が、そんなことはありえません。会社もアナタもそこまでバカではありません(新規事業をやっていくためには、いい意味での「バカ」度合は必要ですが)。 

まだアイデアを具現化する最初の一歩の状態であれば、百万円もあれば十分な場合が多いでしょう。 

「百万円?もしそれがお前の金だったら…」という例の声が聞こえてきたら、大リーグの田中将大投手を思い浮かべましょう。年棒23億円です。アナタの年収が(計算を簡単にするために)1000万円としたら、230倍です。つまり、アナタにとっての230万円は田中投手にとっては1万円。アナタがやりたいことにアナタは数千円~1万円くらいは出しますよね?ましてや大会社であれば、売上や経費が何千億という規模です。つまり、あなたのお金感覚で言うと数十円~数百円くらい。それで「会社の未来の可能性が創れる(かも)」と思えば、自粛する必要は全くありません。  


最初の一歩に金をかけすぎるとろくなことはない

「いやいや、百万円じゃ何もできない」と思われるかもしれません。それは、「見せられるモノ」ができてから言いましょう。モノは、原理的な試作品や、具体的な顧客候補のデータです。それまでは、「とにかくお金がかからない方法で工夫する」のです。企業に勤めていれば、お金を払わずに使える資産(他の人の協力、余っている材料、実験室の機器…)が沢山あります。活用しましょう。そして「見せるだけ」のものは100円ショップや秋葉原の電気パーツの中古屋さんで手に入るもので、結構作れます。(ソフトだったら、完全に無料でいくらでもできますしね)。頭を使って、最初の山を百万円以下で登りましょう!   

まだ「どうせ」と思っていますか?もしかしたらアナタの会社ではいくら回ってもお金を出してくれるエライ人が残念ながら今はいないのかもしれません。そうだとしたら、その会社はもう結構危ういかもしれません。早めに転職するか、ご自身が将来「お金を出す」エライ人の側になるようにじっくりと日々の仕事を頑張ってください。そのコツは次回。((注)エラくなれる方法ではなくて、ある程度エラくなってからのお金の準備の方法です(^o^;))。  


■漫画・コラム/瀬川 秀樹

 

32年半リコーで勤めた後、新規事業のコンサルティングや若手育成などを行うCreable(クリエイブル)を設立。新エネルギーや技術開発を推進する国立研究開発法人「NEDO」などでメンターやゲストスピーカーを務めるなど、オープンイノベーションの先駆的存在として知られる。

瀬川秀樹先生連載/4コマ漫画コラム