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【弁理士・深澤氏に聞く】「知的財産」を活かしながら「共創」を生み出すためのノウハウとは?

【弁理士・深澤氏に聞く】「知的財産」を活かしながら「共創」を生み出すためのノウハウとは?

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新しいビジネスモデルや、これまでにない技術。スタートアップや大企業が創出したそれらのアイデアやテクノロジーを独自の価値として活かすためにも、特許や商標といった「知的財産」を保護することは重要な成長戦略といえる。

そこで、弁理士・技術士、そしてイノベーションパートナーとして、10年以上にわたり300社以上を「知的財産」の観点から支援してきた明立特許事務所の深澤潔氏に、「知的財産」を活かしながら「共創」を生み出すためのノウハウを伺った。

▲明立特許事務所 所長弁理士 深澤潔氏 http://www.meiritsu-patent.com/

京都大学工学部卒業後、石川島播磨重工業(現:IHI)入社。国内最大手国際特許事務所へと転職し、弁理士資格を取得。その後、独立を果たし、明立特許事務所を立ち上げる。

宇宙に関わるエンジニアから、弁理士へ転身

——現在、深澤さんは「知的財産」のプロフェッショナルとして、中小企業・ベンチャーから大企業まで、さまざまなご支援を実践されています。しかし、もともとはメーカーのエンジニアからキャリアをスタートされたと伺いました。

はい。仰るように、新卒で石川島播磨重工業(現:IHI)に入社しました。学生時代に流行っていたSF作品などの影響も大きく、宇宙に憧れていたんです。宇宙飛行士を目指すのはハードルが高いので、それであれば、エンジニアとして宇宙に関連する機器の開発や設計に携わりたい。そのような思いから石川島播磨重工業に入社しました。同社では、小型ロケットや宇宙ステーションなど、宇宙環境を利用する機器の研究・技術開発・設計に携わっていました。

——エンジニアとして貴重な経験を積んでこられたかと思いますが、そこから大きなキャリアチェンジをされたのですね。

そうですね。エンジニアを経験する中で技術士の資格も取得しましたが、特許に触れる機会もありました。入社して10年ほど経ち、仕事がひと段落したときにふと次のキャリアを考えたのです。その時に、特許を含めた知的財産に携わる仕事に挑戦してみたいという新たな好奇心が湧き、大手国際特許事務所に転職しました。5〜6年勤務する中で、弁理士の資格も取得し、独立。特許事務所を立ち上げたのです。

知的財産を持つことが、企業のPR効果に結びつく

——弁理士・技術士として、多くの企業をご支援されてきたと思いますが、「知的財産」を事業成長に活かすためのノウハウをお聞かせください。

私の経歴からもお分かりの通り、担当するお客様の多くは機械系メーカーで、特に中小企業がメインです。優れた技術やビジネスアイデアをお持ちの企業は多いのですが、どこにフォーカスを当てて、何を尖らせるかが明確になっていないことが多くあります。ですので、まずは自社の強み・弱みを分析して、どの技術・ビジネスを押し出していくのかを決めることが先決です。

——なるほど。

それを決めた上で、特許や商標などの取得の検討を進めていきます。特許や商標といった知的財産を持つことで、中小企業は大きなPR効果を生み出すことができます。

実際、大企業は中小企業のWebサイトやパンフレット等を通して、どのような技術やビジネスモデルを保有しているかをリサーチします。中小企業は知的財産を持つことで、確かな技術・ビジネスがあるということをアピールするチャンスにもつながります。

——大企業と中小企業が手を組んで、「共創」していくことに大きな注目が寄せられています。深澤さん自身も、大企業と中小企業のマッチングにも携われた経験をお持ちだと思いますが、その際の注意点を教えてください。

「相手にどこまで情報をオープンにするか」がポイントになってくると思います。情報開示の線引きを予め決めておかないと、のちのち、大企業と中小企業に食い違いが出てきてしまうケースもあるのです。情報開示のさじ加減はとても重要になってくると思います。

知的財産が、「共創」への不安払拭の一助となる

——大企業と中小企業の「共創」は、一種のビジネストレンドとなっている印象もあります。最後に、深澤さんから見て「共創」すなわちオープンイノベーションの課題点はどこにあるとお考えでしょうか?

特に大企業に関して、現場レベルの意思だけでは「共創」は生まれにくいと感じます。事実、現場間では話をするものの、具体的に話が進まないというケースも目にします。やはり、現場だけではなく企業の上層部が「共創」に取り組む強い意思が必要です。

また、大企業側から見ると、中小企業の技術力やビジネスモデルに継続性があるのかという「不安感」を抱いてしまう点も、「共創」が生まれにくい一因かと思います。そのためにも中小企業は、自社の強みを特許や商標として明確化し、知的財産として保護していくことは重要な戦略だと思いますね。

取材後記

「日本企業は発信力が弱い」と指摘されることがある。独自の技術やビジネスモデルが社会に知られていないことで、多くのビジネスチャンスを失っているとも言えるだろう。そのためにも、自社のコアコンピタンスを明らかにし、知的財産を保護することで、アピール材料を作り、発信力を高めることができるはずだ。有機的で効率的な「共創」を生み出すためにも、知的財産という視点で、技術やビジネスモデルを見つめ直してみてはどうだろうか。

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:加藤武俊)

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