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【イベントレポート/i-common × GMO VP】 CVCを成功に導くためには?業界の先駆者がノウハウを紹介!

「新規事業創出における日本の潮流~コーポレートベンチャーキャピタルを成功させるには~」と題したイベントが、7月27日に「リージャス丸の内パシフィックセンチュリープレイス」で開かれ、業界の先駆者がCVCを成功へと導く秘訣を紹介したほか、新規事業を立ち上げる際のアドバイスを送りました。来場者はCVCの設立をはじめ、新規事業の立ち上げの成功法などについて、理解を深めました。


CVCや新規事業の立ち上げの動向に理解を深める

冒頭、イベント会場を運営する日本リージャスの上保政幸氏が挨拶。同社はレンタルルーム、プロジェクトルームを世界で約3000拠点運営していることに触れながら、スタートアップや新規事業の立ち上げを施設の面からバックアップしていることを述べました。続いて、eiicon founderの中村亜由子が挨拶。eiiconが日本リージャスと連携していることを話し、施設を活用したい場合はリーズナブルに提供できると伝えました。

講演の概要は以下の通りです。


新規事業の立ち上げに、外部人材の活用が進む。

まず登壇したのは、i-commonの荒井氏。自身の手がける事業について解説をしながら、国内における新規事業の成功例を紹介しました。

▲荒井 雅人 パーソルキャリア株式会社 i-common ゼネラルマネジャー

2008年、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。金融機関向けの人材紹介を担当した後、企業の課題解決の支援を行うi-commonに異動する。コンサルタント及び事業企画マネジャーを歴任後、現在は東日本コンサルティング部ゼネラルマネジャーとしてi-commonのコンサルティング部隊を統括。

i-commonでは専門性を持つ外部人材を業務委託などの形態で紹介するサービスを展開しています。近年は新規事業や新サービス開発で専門家が求められていることを強調。特にヘルスケア、バイオメディカル、IoT、AI、ビッグデータなどでニーズが伸びていることを伝えました。

外部人材の活用例として、従業員1000人以上の規模を持つ電気機器メーカー(上場企業)をピックアップ。同社は、自社のシーズ技術を活かし、アグリ分野に進出を図っていました。一方、同分野の知見はなく、アイデアがない状態だったのです。これを受けi-commonを通じて、総合商社でベンチャー支援などに携わっていた60代前半の専門家を紹介。アイデアの創発からビジネスプラン策定、マーケットリサーチ、販売先の探索、販売モデルの構築までを担当しました。この結果、7カ月で海外での販売モデルが構築され、新規立ち上げが成功したとのことです。


投資会社の設立には段階を踏むことが必要。

続いて登壇したのは、GMO VenturePartnersの宮坂氏。CVC設立における注意点や国内投資の動向、成功の秘訣などが解説されました。

▲宮坂 友大 GMO VenturePartners 株式会社 取締役パートナー

ネット総合金融グループの金融持株会社SBIホールディングスを経て、2006年に住友信託銀行とSBIグループの出資による現住信SBIネット銀行の立ち上げに従事。2008年からGMO VenturePartnersに参画、多くの投資を実行すると共に投資先の代表取締役、投資先の取締役を歴任する。モットーは「歴史に学び、大胆に機を捉え、胆力をもって行動し、社会に貢献する」

同社は2005年に設立されたCVCで、業界で古い歴史を持ちます。これまでに99社に出資し(現在保有は49社)、うち25社が2倍、16社が3倍以上に成長し、最大50倍のリターンを獲得しています。また、IPOが実現されるなど有力なベンチャーを育てるなど大きな成果を残してきました。

現在のCVC・投資を取り巻く状況として、資金はコモディティ化しており、将来を有望視されるスタートアップには投資が集中。その結果、CVCは選ばれる立場となり、資金のほかに付加価値を提供することが求められると強調しました。

同社ではインターネット事業を得意としていることから、営業やWeb広告・マーケティング、決済プラットフォームの面で支援を行っていることを伝えました。このほか、CVCを成功させるコツとして、10年は活動を継続すると経営陣が決意する「長期のコミット」、10年は同じ担当者を据え置き、必要に応じてキャピタルゲインの報酬体系を導入する「人・報酬」、取締役会から「投資委員会の独立」を提示。一方、敬遠される事柄として、「度重なる面談・面接」「膨大な資料のリクエスト」「長期にわたる法務・会計のデューデリジェンス」などが挙げられました。

設立するにあたっては、上位の有力なスタートアップで形成されるコミュニティに入るための手段として、先行するVCに有限責任で行うLP出資を推奨。その間に投資をしないかと声がかかることも増え、直接投資を視野に入れます。次のステップとして、投資会社の設立・ファンドの形成、買収活動と段階的に上位のステージに登る重要性が説明されました。

i-common荒井氏、GMO VenturePartners宮坂氏による講演終了後、ネットワーキングが行われ、登壇者や参加者同士で交流を深めました。


取材後記

新規事業の立ち上げにオープンイノベーションが注目される中、CVC設立という手段を検討する企業も多くあると思う。しかし、GMO VenturePartners宮坂氏の解説にあった通り、成功を導くのは容易なことではない。何より、資金だけあればいいというものではないことが印象に残る。特に優良なスタートアップには「投資をしたい」というCVCが殺到する状況にあるという。だからこそ、資金以外の付加価値を提供できるかが重要になる。また、その前段として、スタートアップのコミュニティに入ることが大切だとも述べられた。業界で長い歴史を持ち、突出した実績を重ねる同社の説明には、十分な説得力があった。CVC設立を目指す場合はぜひ同社の手法を参考にしてほしい。

(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:佐々木智雅)