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【イベントレポート】第20回NEDOピッチ~「ライフサイエンス・ヘルスケア」分野の有望ベンチャー5社が登壇!

民間事業者の「オープンイノベーション」の取組を推進し、国内産業のイノベーションの創出と競争力強化への寄与を目指し設立されたJOIC(オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会)。

9月26日(火)、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)とJOICの共催で、イノベーション及び具体的な事業提携事例の創出を目指すイベント「第20回NEDOピッチ」が実施された。テーマは、『ライフサイエンス・ヘルスケア』である。そこで、同分野における有望技術を有するベンチャー企業5社が、自社の研究開発の成果と事業提携ニーズについて、大企業やベンチャーキャピタル等の事業担当者に対し、創造性の高いプレゼンテーションを行った。


株式会社サイキンソー

https://cykinso.co.jp/

代表取締役 沢井 悠氏

株式会社サイキンソーは、「腸内細菌叢の情報で人々を健康に」をミッションに腸内細菌叢(腸内フローラ)解析とデータを活用し、ヘルスケア事業に応用する、理化学研究所認定ベンチャーである。

腸内細菌のDNAを抽出し、ゲノム解析を行う技術を基に、腸内にどのような菌がいるのかを特定する。同社はこの検査技術から、個人や医療機関に対して、簡単な検便の要領で個人の腸内細菌叢を把握できる郵送型腸内細菌叢検査サービス”Mykinso”を提供している。検査により、主要な細菌の割合や菌構成などの情報が把握できるほか、今後は専門家によるおなかの悩み・生活習慣のアドバイスがオンライン上でやりとりができるサービスとなる。

現在、膨大なデータベースが蓄積されてきたことから、日本人標準データベースを保持している。沢井氏はこのデータベースから、検査結果+その後のフォローアップまで提供できるサービスを目指していると話す。今後、内科・消化器科などの医療機関の販路を持つ企業やPHR等のヘルスログ系の事業、あるいはデータ活用型事業を展開している企業との提携し、更なる事業拡大を目指したいとアピールした。


ロボティック・バイオロジー・インスティテュート株式会社

https://rbi.co.jp/

代表取締役 社長 髙木 英二氏

ロボティック・バイオロジー・インスティテュート株式会社は産総研技術移転ベンチャーで、ライフサイエンス研究に特化したロボットと周辺機器及びソフトウェアの開発・販売を行っている。

同社が開発した「LabDroidまほろ」は、実験者の様々な手技の実行だけでなく、自動化が困難だった作業を高精度に何度でも再現でき、研究開発の流れを一変させる可能性を持つ汎用ヒト型ロボットである。また、操作は専用端末ではなく、PCやタブレットから操作する。なお、すべてのプロトコルを簡単に作成できる、直感的なUIを持つソフトウェアを同時に開発している。

将来的には研究者が実験を「プログラミング」し、ロボット集団がその実験を実施する「ラボレス研究」の実現を目指す。その実現に向け、クラウドを含めたデータビジネスインフラの構築ができるソフト開発している事業会社、また、実験機器・分析機器メーカーとの提携を積極的に求めているとアピールした。


株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ

http://www.on-chip.co.jp/

代表取締役/CEO 小林 雅之氏

株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズは、世界初のマイクロ流路チップ・セルソーターを開発・製品化しているベンチャーである。装置小型化の実現により既存の安全キャビネットに設置し、ダメージの無い細胞分離はもちろん、コンタミネーションフリーで、極少数な血中の循環癌細胞を検出・分離ができる。これまで癌の診断は手術によって癌組織を入手し、組織染色や遺伝子解析で行われていた。これに対して、採血による癌の診断が現在注目を浴びている。要するに、血液検査でがんの検診ができるのである。

しかし、この診断方法には課題がある。血中にある膨大な血球細胞から少数のがん細胞を分離することは非常に困難であった。そこで、同社製品によりこの課題を解決できるのというのである。血中の循環癌細胞を評価することによって、癌治療の効果や再発のモニター、薬の効果など様々な癌治療ニーズに応えることができると小林氏は語る。今後、臨床検査機器メーカーやバイオ系機器メーカーとの提携により、医療機器化や新規装置の共同開発を求めている。


サスメド株式会社

http://susmed.co.jp

代表取締役 医師 

日本睡眠学会 評議員 医学博士 上野 太郎氏

デジタル睡眠医療の社会実装を目指す同社は、不眠症治療アプリケーションを開発している。日本で年間3.5兆円の経済損失を生む不眠症に対し、サスメドが開発した不眠症治療アプリケーションは、投薬をせずに安全で手軽に認知行動療法を提供、現在では臨床試験を実施している。開発時からデザイナーが入りUI/UXのこだわったLINEのチャットのような形でカウンセリングを行えるようなシステムになっている。

また、デジタル医療により、セキュアで且つ効率的な臨床実験ができる利点もある。上野氏は今後、医療機関との協業はもちろん、医薬品開発の臨床試験については、製薬会社・CROとの協業を検討している。また、健康組合、企業人事など健康経営の部分で提携を組めるのではないかとアピールした。


株式会社マイオリッジ

http://myoridge.co.jp

代表取締役社長 牧田 直大氏

株式会社マイオリッジはヒトiPS細胞から、安定・低コストかつ高い成熟度で心筋細胞に分化誘導し、良質な心筋細胞を製造している京都大学発ベンチャーである。心筋細胞の応用分野として再生医療、創薬分野と大きく2分野に分かれ、再生医療分野では「移植治療」、創薬分野では「安全性試験」や「薬効スクリーニング」に貢献できると期待されている。

同社では創薬分野に特化した事業を展開している。その一つが、iPS-心筋細胞を使った薬剤評価である。これまで新薬の効果が発見された後、薬効を3〜5年の動物試験、5〜7年の臨床試験の順に試験が行われいた。しかし、動物に副作用が無いからといって人間にも副作用が無いとは限らず、多くの新薬が審査に落とされ、長期の研究時間と費用が無駄になるケースが多い。そこでヒトiPS-心筋細胞を使用することで、動物試験より前に、試験が行うことができ効率的な新薬研究ができる。

また、同社の強みは、独自の培養方法により安定・低コストかつ成熟度の高い心筋細胞を分化できることだ。さらに細胞生存率の高い新規の凍結保存法を用いているため、安定的な供給が可能となる。代表の牧田氏は今後も良質な心筋細胞の大量生産を続けるために機械メーカーとの提携、そして海外進出にも視野に入れるため、商社との提携を求め事業の拡大を目指す。


取材後記

大胆な進化が求められている一方で様々な制約・ルールのため、変化が起こりにくいと言われているライフサイエンス・ヘルスケア業界。しかし、今回のピッチに登場した5社は、それぞれが市場の課題や危機感を持って独自の視点と技術力でこの微動の業界に激震を与えるような新事業を創造していた。ピッチ終了後はラウンドテーブル形式で参加者がピッチ登壇者を囲みながら質問していく新しい試みにより、会場は終始活発な質疑が飛び交い、熱気に包まれた。ライフサイエンス・ヘルスケア業界こそ、オープンイノベーションにより、急速かつ飛躍的にスケールする分野である。そんな期待と想像が膨らむイベントであった。

(構成:眞田幸剛、取材・文:保美和子)