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【イベントレポート】OKIが初のアイデアソンを開催。27時間のプログラムで、社会実装されるアイデアを創出!

【イベントレポート】OKIが初のアイデアソンを開催。27時間のプログラムで、社会実装されるアイデアを創出!

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創業事業の電話事業から発展し、情報通信事業などで実績を残す沖電気工業(OKI)は11月22日から2日間、計27時間の日程で、同社史上初となるアイデアソンを実施した。狙いは「開始から終了まで27時間のプログラムで社会実装されるアイデアを創出」すること。リソースとして、国内シェアNo.1のATMの監視ネットワークや端末、交通プローブデータなどが提供される。

審査基準はコンセプト、実現可能性、市場性、新規性の4点。今回は、最終プレゼンの模様に加え、各界から招聘されたメンター(以下参照)による講評と、各賞の結果を取材した。それぞれの内容は以下の通り。

<メンター陣>

▲沖電気工業株式会社 常務執行役員 情報通信事業本部長 坪井 正志氏

▲沖電気工業株式会社 経営企画本部政策調査部、主幹 (兼)イノベーション推進プロジェクトチーム、情報通信事業本部事業管理室(IP電話普及推進センターOKI代表) 千村保文氏

▲三井住友フィナンシャルグループ ITイノベーション推進部 部長代理 天野麻依子氏

▲株式会社みずほフィナンシャルグループ IoT・ビジネスチーム 次長 多治見和彦氏

▲東京急行電鉄株式会社 都市創造本部 開発事業部 事業計画部 都市政策担当 加藤由将氏

▲三井不動産株式会社 ベンチャー共創事業部 事業グループ 主事 光村圭一郎氏

計10チームによる最終プレゼンを実施!

アイデアソンに参加したA〜Jの計10チームによる最終プレゼンテーションが行われた。創出されたアイデアは、金融領域が中心。工夫された事業案を発表順にレポートしていく。

■チームH

同チームはATMで心療診断を行うことを提案。精神疾患の早期発見をIoTの活用で目指す。現在、国内ではうつ病の患者が506万人いるとされ、このほかにも自覚症状のない予備軍が多くいると推測できる。日常的にATMを利用するだけで診断できるのはもちろん、結果を必要に応じて家族などに送信し、周囲のサポートも促したいとした。診療のデータは多いほど正確さが増すため、同チームでは先行者利益を享受したいと強調。診断は1回100円を設定、データはマーケティングとして活用したいと話した。

■チームJ

 同チームは「移動する金融機関(ATM)、水先案内人」を提案。現在、国内では金融機関の省人化、店舗閉鎖が進んでおり、その一方で、高齢者や体の不自由な人といった、金融機関に行こうにも行けない人が少なからずいる。そこで、ATMと担当者たちがそれらの人たちの近隣に向かい、金融やその周辺にあるニーズを拾う。これにより、店舗がなくなっても顧客満足度は高めるという逆転の発想を目指す。運用法としては、セキュリティ会社や自治体、観光会社と連携し、アウトソーシングを実施したいと説明した。

■チームE

同チームは「コンパクトシティ関するサービス」を提案。具体的には行政サービスマシンの設置を試みる。現在、地方都市には多くの公民館や市民センターなどがあるものの、人手不足などにより、十分な利用ができていない。そこで、OKIが持つ技術力やコールセンターを活用して各種サービスを集約。安心・安全のサービスを提供したいと話した。従来のマシンとの違いについては、カメラがついており24時間人が対応できることと強調。また、コンパクトシティの構想については、アウトソーシングで実施したいと話した。

■チームB

同チームは「ゴールドカードの保有者でITリテラシーが高くない人を対象に海外旅行をサポートすること」を提案。病院や金融機関の利用など、現地で起こりうるちょっとした困りごとの解決を図る。具体的には、カード会社、航空会社、旅行代理店、保険会社、ホテルなど、バラバラに提供されているサービスをOKIのリソースを活かし、一括で提供。特にコールセンターの活用を図りたいと話した。従来のゴールドカードのサービスとの違いは、異なる企業のサービスを一括で提供することと強調した。

■チームD

同チームは「ATMデータを用いたヘルスケア事業」を提案。OKIのコンビニATM設置率の強みを活かし、お金をおろすという日常行動の中でのヘルスケアチェックを促す。同時に、POSデータや美容・ヘルスケア企業と連携し、利用者に美容や化粧品など、ヘルスケア関連商品を紹介する仕組みだ。利用者にとっては簡単に健康診断ができ、提携企業にとっては商品のレコメンドが可能となる。主なユーザーとしては男性を想定。さらに商品を手に取りたくなる仕掛けを考え、事業化を目指す。

■チームI

 同チームは「安心安全の仮想デスクトップを提供し、ワークスタイルを変え、生活を豊かにする」ことを提案。社会課題として人手不足と働き方の多様性があり、いつでもどこでも働きたいという人が増えている。一方で、セキュリティなどの問題があり、インターネットを気軽に利用できない。そこで、サーバを秘匿化するなど特異性のある技術を提供。これにより、70%のコストカットができ、さらには異なるオペレーションシステムを乗せることができるという。まずは中小企業にテレワーク向けサービスを提供することを視野に入れる。

■チームA

同チームは「人間センサー」を提案。現在、国内では行動に関するビッグデータは、そのほとんどの場合が受動的な収集だ。つまり、データの提供者には提供している意識はない。その結果、集められたデータを使いにくいという事情が生じている。これを受け、喜んでデータを提供する世の中にし、データの積極的な活用を目指す。データの自主的な提供を促すため、ポイントや称賛(いいね)などのインセンティブを想定。また、集められてデータは複数の企業の活用を促し、共創を後押しする。

■チームC

同チームは「カラーシグナル×OKI、映像を伴うインフラ監視」を提案。「データ通信をlight(軽く、光で)に実現」をキャッチフレーズに掲げる。具体的には状況に応じて色を発光させ、光学カメラに光データを受信させる。従来の通信に比べ、専用のモービルが不要、複数同時受信が可能、他の電波の影響を受けない、狙ったところにデータを送ることができる、通信コストが削減できる、事前認証・ベアリングが不要などの特徴があると説明。この結果、非常に安価、効率的にインフラの監視が実現でると話した。

■チームF

同チームは「配送のラストワンマイル解消」を提案。特に再配達の問題に着目する。運送ルーツについて、ドライバーの暗黙知によるところが大きく、新人だと必要以上に時間がかかることが少なくない。そこでリアルタイムで交通情報を提供するほか、ビッグデータを活用するなどし、最適なルートをドライバーに示す。これにより、ドライバーの労働時間を削減すると共に、体調管理、離職防止につなげたいと話した。また、情報を蓄積し、荷物が受け取られる可能性の高い時間を算出も目指したいと説明した。

■チームG

同チームは「位置情報を利用し地方創生」を提案。観光業を突破口に課題解決を図る。最近では、体験型旅行が流行しているものの、集客やマネタイズがうまくいっているとは限りらない。観光資源を活用できていない現状もある。これを受け、観光に関わる人が自ら企画し集客する仕組みづくりが必要と強調。ゲーミフィケーションの利用を促した。具体的には、ゲームのコンテンツを体験すると同時に、観光資源も楽しんでもらうことを試みる。ゲームファンをターゲットにコアなコンテンツを企画する手法も出された。

短期間でアイデアが進化。OKIとの親和性も高く、発展性を感じられた。

各チームによるプレゼンテーションが終了し、各メンターから以下のような講評があった。まず、三井不動産・光村氏はこのように語った。「限られた時間で練り込みが難しいという側面もあったと思う。特にOKIのテクノロジーは一般にはなかなかイメージしにくいが、日常生活につながるアイデアが多く出ていた。面白いと感じたのはチームD。ターゲット設定が明確で、マーケティングの隙間をついているところがあり、可能性を感じた」。

続いて三井住友フィナンシャルグループ・天野氏は以下のように講評した。「限られた時間の中だったが、アイデアやサービスがブラッシュアップされていったのが印象的だった。印象に残るのはチームD。金融機関はアジアにどう進出するかという課題がある。そうした中で、ヘルスケア関連商品とうまく絡ませるなど付加価値をつければ、強みを持たせていけるのではないかと感じた」。

また、OKI・千村氏は、「OKIのメンバーがどこまで入っていくのか、ということについて懸念していた。しかし、チームの中で良いバランスを取れていたと思う。個人的に注目していたのは、チームF。メンタリングして進化していくのがはっきりわかった。短時間でここまで変わるのかと感じ、この経験は普段の仕事の中でも活かしたい」。

続いて、東京急行電鉄・加藤氏はこのように話した。「時間の短いアイデアソンはチームアップで決まってしまうところがある。突出したクリエーターの世界観を補完すればエッジがきく。反対に時間が長い場合は、協調して総花的にしたほうがうまくいくことが多い。注目したのはチームF。社会的に課題のある分野で、また、東急グループとのシナジーが見込めそうだと思った」。

そして、みずほフィナンシャルグループ・多治見氏は次のように講評した。「アイデアを聞く前は、銀行ネタが少ないのではないかと心配していた。しかし、半分以上のチームがATMなど金融に関することで、発表を聞きながら考えさせられた。ATMへの信頼の高さも改めて感じられた。深く話を聞き入ったのはチームJ。人が運ぶという発想は時代に逆行するが、ニーズがあることには柔軟に対応すべきだと感じた」。

メンターによる講評後は結果発表となった。まず、「Blue Lab賞」が発表され、チームAが受賞した。受賞理由として、多治見氏は、「キャッシュレスになればデータが集まって、マネタイズする機会が生まれるだろうと考えている。さまざまな切り口を見せてもらったので、継続して議論したい」と語った。

最後に、沖電気工業 常務執行役員・坪井氏から「最優秀賞」が発表された。受賞したのはなんと2チーム。チームCとチームGとなった。坪井氏は、「テクニカルなおもしろさがあり、OKIの事業との継続性があった」とチームCを評価。さらに、チームGに関しては、「展開しようとする事業にとてもエッジがあった」と語った。

チームCの代表者は、「チームのアイデアが尖っていたのかわからず、不安があった。自分の中では尖っていないと結論づけていたので、受賞して驚いている」とコメント。また、チームGの代表者は、「受賞はとても意外。多くの人のお話を聞きながらコラボできそうなアイデアもあった。これからも協業を図りたい」とコメントした。なお、最優秀賞を受賞した2チームは、年度内製品化目標を目指し、その後のOKIとの共創も見据えてサービス開発を進めていく。

取材後記

発表された案はいずれも高い水準のものだったと思う。プレゼンを聞きながら、原案が練り込まれ、形を変えていく様子もうかがえた。講評にもあったが、2日間27時間という短い時間でも、アイデアは飛躍的な進化を遂げられる。たったの2日間で事業につながる提案も出されるアイデアソンは事業を作る手段として非常に有効なのではないか。ぜひ積極的な活用を促したい。

(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:佐々木智雅)

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