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【イベントレポート】「海の豊かさを守ろう」がテーマに「海洋資源・研究からイノベーションを考える」ピッチと講演〜「eiicon」のマンスリーミートアップイベント第10回開催!〜

『価値ある出会いが未来を創る』オープンイノベーションのプラットフォーム「eiicon」の月一ピッチイベント「eiicon meet up!! vol.10」は11月28日、東京・日本橋のコワーキングスペース「Clipニホンバシビル」で開催され、「海の豊かさを守ろう」をテーマに 「海洋資源・研究からイノベーションを考える」1法人1大学が登壇。今回はフリーセッションも設けられました。

eiiconは国連が進める「持続可能な開発目標(SDGs)の達成」をビジネスで目指すオープンイノベーション・プラットフォーム「SHIP」の公式パートナーとなっており、本イベントはNo.14「つくる責任つかう責任」をテーマにしています。登壇企業とピッチ・講演内容は以下の通りです。


海の豊かさを守るため、エコシステムを創り上げたい

【ピッチ】株式会社リバネス 研究開発事業部 部長 西山 哲史氏

リバネスは研究について経験や実績のあるメンバーで構成され、社員の53%が博士、47%が修士号を取得しています。登壇者の西山氏自身もミトコンドリア病に関する研究を行っていました。同社の事業は研究開発が中心となり、ベンチャー企業との協業も多いと言います。

2017年春ごろから海に関するプロジェクトも活発に進められるようになりました。西山氏は「海に関わるプレイヤーは限られており、馴染みは薄い。特に若い世代にとっては震災などの影響で怖いイメージもついて回るようになった」と指摘。この状況を打破するため、同社では「マリンチャレンジプログラム」と銘打ち、中高生が手がける海洋研究について人的、資金的な支援を行っています。

また、約15%としか解明されていないとされる海底の地形について、海底地図を作り上げる革新的技術を開発しているとのことです。これを実現するために、要素技術を公募して公募者同士でチームを組んでもらうなど、これまでにない取り組みも展開しています。このほか、マリンテックに関する新規事業のシーズを発掘・育成するコンテストなども行っています。

西山氏は「海の豊かさを守るためにはエコシステムを作ることが必要。大きな視点、未来を見越しながら事業の創造に取り組んでいきたい」と強調しました。一方で、「一社だけではエコシステムを作るのは困難。少しでも興味があったら、小さくてもいいので手を組みたい」と共創を呼び掛けました。


大学は研究開発をプロモートし、産業界につなげていくことが重要

【講演】東京海洋大学 副学長 産学・地域連携推進機構長 和泉 充氏

東京海洋大学は2003年に東京商船大学と東京水産大学が統合し開学、国内の国立大学では唯一、海洋の研究・教育に特化した大学です。同大は海洋工学部、海洋生命科学部、海洋資源環境学部の3学部からなり、このうち海洋資源環境学部は2017年に新設されました。

和泉氏の専門は物理で、その経験を活かし海洋研究に携わっています。産学連携も活発に行われており、具体的には、「電池推進性の研究」「次世代型漁業、水産養殖」「海洋探査、化学センシング」「復興支援」などが進められていると紹介されました。近年は「ICT、IoT、AIをいかに水産・海洋と結びつけるが課題の一つとなっている」とのことです。

和泉氏は「大学は研究開発をするのは当たり前、それをプロモートし、産業界につなげていくことが重要だと考えている」と話し、「労働人口が減る中で、水産・海洋に関わる人材を育てるのも重要なミッション」と語りました。また、企業連携で大きな障壁となっていることに「外国籍の企業との連携」を取り上げます。海外の海洋研究は進んでいるものの、「国立大学の立場上、連携は難しい」とのことでした。

一方で、同大は「日本で最初に金融機関(信用金庫)と連携した国立大学」という実績を持ちます。中小企業に強い金融機関という特性を活かし、中小企業からの技術相談を受けるという形で連携を進めています。「これからビジネスとして発展させていくか思案している。協力を呼び掛けたい」と伝えました。


【フリーセッション】

――(会場からの質問)リバネスは海外との連携はあるのでしょうか。

西山:高校生や若手研究者の研究支援、技術ベンチャーの育成などで海外とも連携しています。海底探査技術についてはまず国内を盛り上げようということで国内チームで進めていますが、将来的には海外との連携も作っていこうと考えています。

――(会場からの質問)大学はなぜ海外と連携できないでしょうか。

和泉:海外との連携がまったくないことはありません。国益や安全保障など複雑な問題が絡みますが、技術革新のためには連携は避けられないと考えています。

――(会場からの質問)ビジネスとして伸びそうなマリンテックを教えてください。

西山:とても難しいですが、水産系は可能性があると感じています。国連でも、魚を取りながらでも減らさないためにはどうするか、という議論もされているので、直近のところでは解決すべき課題だと思います。

和泉:食の安全と流通だと思います。流通という観点では自立航行船がトレンドになっています。海外ではかなり進んでいる例もあります。


取材後記

海というと未知の多い分野である。思いつく産業も造船、漁業、養殖くらいで、正直なところ、いずれも成長しているとは言えない分野とだろう。しかし、一方で、解明されていないことが多いからこそ、ビジネスチャンスもあるのではないか。また、未来を見据えると海を守るという観点は欠かせない。国内では、一定世代以上では夢やロマンを感じる海も、若い世代になると怖いというイメージすらあるという。このギャップを埋め、海に関する事業を盛り上げるためにも、登壇いただいた株式会社リバネス、東京海洋大学をはじめ、海に関わるプレイヤーたちの活躍、共創を期待したい。

(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:加藤武俊)