
【研究応援特集(4)】 再生医療技術の実用化を牽引する存在へ/株式会社セルファイバ
三次元組織培養技術を軸にして誕生したセルファイバ
株式会社セルファイバは、ERATO(科学技術振興機構)の竹内バイオ融合プロジェクトを発端に生まれたファイバ型の新たな三次元組織培養技術を軸にして、2015年に設立された。
ハイドロゲルの中空ファイバ内に細胞と細胞外マトリクス(ECM)を閉じ込めることで、直径100〜数百umの繊維状組織(細胞ファイバ)を作ることができる。2013年に『Nature Materials』にこの技術が掲載されたことをきっかけに、実用化を狙う企業から数多く声がかかった。当初は、事業化をするとは思ってもいなかったが、研究を進めていくうちに可能性を強く感じるようになってきたそうだ。
「再生医療の研究は盛んになっていますが、実用化への取り組みはまだまだ事例が少ないのが現状です。これからの再生医療技術の実用化を牽引する力になれたらと思います」と意気込みを語ってくれた。
再生医療用途の製品開発を目指す
会社化の翌年には、第3回バイオテックグランプリ(※)に出場。「様々な大企業に自分たちの技術を知ってもらったところ、考えもしなかった企業から声がかかったのが驚きでした」と話す取締役CTO・尾上氏。
基盤技術はあったものの、そのサービス設計までは具体化していなかったのが実情だが、企業の抱える多様なニーズを知ったことで、美容関係、食品関係など様々な活路を見出すことができた。最終的な目標である再生医療用途の製品開発を目指して、現在は発掘した幅広いニーズに応える形で足元を固めるための事業構築に励んでいる。
研究成果の実用化に向けて果敢に走り出したセルファイバ、どのように飛躍していくのか今後も追っていきたい。
※第3回バイオテックグランプリ : https://techplanter.com/entry/bio-gp/
株式会社セルファイバは「細胞のひもで実現するバイオ機能繊維産業」をテーマしたセルファイバは、ファイナリストに選出された。
【株式会社セルファイバ 会社概要】
●理念:「細胞を使ったものづくり」で安心・安全な世界を作る
●サービス:細胞を含む生体材料およびソフトマテリアルを用いた研究、開発、生産、販売
●技術元:東京大学 生産技術研究所 竹内研究室
●設立日:2015年4月1日
●URL:http://cellfiber.jp/
●代表取締役CEO 安達亜希 Aki Adachi
2008 早稲田大学 理工学部 電気・情報生命工学科 卒業
2010 東京大学 総合文化研究科 修了(竹内昌治研究室) 修士(学術)
2010 IT企業・バイオベンチャーにて販売促進・営業、新規事業立ち上げ等に関わる
2014 ERATO竹内バイオ融合プロジェクト 研究推進主任
2015 同ERATOプロジェクトの成果を基にセルファイバを起業
●取締役CTO 尾上弘晃 Hiroaki Onoe
2001 東京大学 工学部 機械情報工学科 卒業
2006 東京大学 情報理工学系研究科 博士課程修了 博士(情報理工学)
2007 カリフォルニア大学バークレー校 化学科 客員研究員
2009 東京大学 生産技術研究所 助教
2010 ERATO竹内バイオ融合プロジェクト 研究総括補佐
2014 慶應義塾大学 理工学部 機械工学科 専任講師
2016 慶應義塾大学 理工学部 機械工学科 准教授
以上 株式会社リバネス発刊 雑誌『研究応援』より転載
株式会社リバネスは、世界中の研究者や技術ベンチャー等とのネットワークを活用した知識プラットフォームを構築しています。共同研究、共同事業の創出を通じて、科学・技術を活かした新たな価値の創造を推進していきます。
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