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【インタビュー/コニカミノルタ・細木氏】 「3Dレーザーレーダー」を活用したセンサーフュージョンで“動き”を見える化。オープンイノベーションで、労働力不足など社会課題の解決に貢献する。

【インタビュー/コニカミノルタ・細木氏】 「3Dレーザーレーダー」を活用したセンサーフュージョンで“動き”を見える化。オープンイノベーションで、労働力不足など社会課題の解決に貢献する。

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犯罪やテロといった脅威から人々を守る警備・セキュリティ業界。リスクの高い現場作業が発生する建設・建築業界。――日々、“危険”と隣り合わせでビジネスを展開している各業界に、光明がさす技術が開発された。それが、コニカミノルタによる「3Dレーザーレーダー」だ。リアルタイム空間の人物や車両などの情報を通常のカメラや2Dのレーザーレーダーではできない正確さで測定し、デジタルで解析処理。状態監視からリスク予知までを可能にする。

1873年の創業以来、光学やセンシング、画像処理技術をコア技術として多くのプロダクトを生み出してきたコニカミノルタの技術が、「3Dレーザーレーダー」には集約されている。光の反射により距離を正確に測定できるレーザー技術に光学技術を活用し、検出可能領域は水平画角最大120度の広画角を実現。50m先の人物、車両であれば100m先まで検知でき、最大検出距離は約200mの広範囲をカバーしている。さらに、形状や物体の識別だけではなく動体認識もでき、真上からなど3D空間で自由に視点を変え、情報を見ることができるのも特徴となっている。

▲「3Dレーザーレーダー」と、可視カメラ・サーマルカメラを組み合わせた『行動モニタリングシステム』

また、2016年にコニカミノルタは、ドイツの監視カメラメーカー・MOBOTIX社の株式の過半数を取得した。これにより、撮影と同時に自ら解析して異常を検知する機能を持つMOBOTIXの可視カメラ・サーマルカメラと、「3Dレーザーレーダー」を組み合わせた『行動モニタリングシステム』が実現。――こうした機能を駆使し、警備現場やイベントでの人流解析の実証実験などが行われている。

今後、「3Dレーザーレーダー」を社会実装し、労働力不足などの課題解決やワークフロー変革に貢献していくためには、さらに精度の高い動画像解析技術が必要となる。そのために、動画像データを高速に処理・分析できる技術を外部に求めているコニカミノルタ。社外との協業・共創によって、どのような世界を実現しようと考えているのか。そこで、「3Dレーザーレーダー」の開発から戦略までを担う細木哲氏に話を伺った。

▲コニカミノルタ株式会社 産業光学システム事業本部 状態監視ソリューション事業部 マネジャー 細木哲氏

新卒で国内大手電機メーカーに入社し、デジタル家電向けプロセッサの開発に従事。2012年、コニカミノルタエムジー(のちコニカミノルタに吸収合併)に転職し、医療機器のシステム開発を担当。2017年1月に自ら手を挙げて新規事業を手がける現部門に異動。「3Dレーザーレーダー」の技術開発から戦略立案・実行まで、マネジャーとして幅広く手がけている。

「顧客を知りつくして、顧客の課題解決に貢献しよう」ーーそのための準備は整った。

――今回フォーカスする技術「3Dレーザーレーダー」の開発は、2014年頃からスタートしたと伺いました。

細木氏 : はい。状態監視のニーズが社会に広がっていることを背景に、当社の光学技術・先進技術を結集させて開発が進められていきました。そのような中で、私が当部門に異動したのが2017年1月。もともとデジタル回路を手がけていた私にとって、光学技術は専門領域ではなかったのですが、「面白いセンシングができそうだ」と興味を持っていました。2017年は、1年を丸々費やして組織の基盤を固め、2018年は本格的に「3Dレーザーレーダー」を使ったソリューションを社会に展開するフェーズに入りました。

――組織の基盤を固めた、というと?

細木氏 : 私がこの部署に着任した当初は「3Dレーザーレーダー」の技術で、何かできるに違いないという漠然とした期待感がありました。しかし、その「何か」が分からない。どんなお客様にどのような使い方を提案できるのか、技術メンバーと事業メンバーの意見が平行線をたどっていました。特に技術メンバーはセンサーと、センサーを用いたデモシステムとを作ることに終始していて、お客様の顔が見えていない。そんな状況だったのです。

――なるほど。

細木氏 : 技術メンバーからはアイデアも出てくるのですが、結局、「検知性能を上げる」といった技術的な話に着地してしまうことが多々ありました。しかし、私たちがお客様に提供したいのは“ソリューション”です。足元の技術論ではなく、お客様を見ながら視点を上げた話をしなければならない。2017年はこの意識改革に、特に時間を費やしました。当社の社長である山名もよく話している「顧客を知りつくして、顧客の課題解決に貢献しよう」――これを実践するために技術メンバー自身がマーケティング活動に同行し、お客様の生の声を知ることで、視座の高いディスカッションができるようになってきました。

センサーフュージョンで、社会課題の解決を。

――お客様と近い距離で話すことで、最適なソリューションを提供できる業界も見定まってきたと思います。今後、特に注力している業界や領域といったものはありますか?

細木氏 : はい。“危険なことが起こり得る現場”でビジネスを展開している業界・領域に提案していきたいと考えています。具体的には、警備・セキュリティ、道路・鉄道などの交通インフラ、鉄鋼、建設といった領域です。これらの現場では、人の努力でリスクを封じ込めているのが実情です。今後、少子高齢化が進み、労働人口が減っていく中、私たちの「3Dレーザーレーダー」が熟練者の“目”の代わりとなってリスクを低減。当社の各種センサーを融合させたセンサーフュージョンを生み出して、お客様に安心・安全を提供し、ワークフローも変革していきます。

――今、お話しいただいたビジョンを実現するために、どんな技術を有したベンチャー企業と共創していきたいとお考えでしょうか。

細木氏 : 「3Dレーザーレーダー」は、形状や物体の識別だけではなく動体認識も可能です。そこで、動画像解析技術に優れたスタートアップさんとぜひ、お会いしたいと思います。私たちは独自の技術で、世界で誰も見たことのないソリューションを提供していきたい。ですので、私たちから提供したデータを、単にディープラーニングを使ってモデルを提供するという表面的なものではなく、もっとソリューションの根本から共に考えてくれるようなスタートアップさんを求めています。

▲コニカミノルタ「東京サイト八王子」に2014年誕生した研究開発拠点の2階には「3Dレーザーレーダー」のデモスペースが完備されている。

グローバルで200万の顧客を抱える。可能性は、世界に。

――少し現実的な話になりますが、限られた資金・リソースで事業を展開しているスタートアップの視点から見ると、ソリューション検討レベルからがっちりと手を組む、というのも限界があるかと思います。それについてはどのようにお考えでしょうか?

細木氏 : もちろん、仰る通りです。まずは1~3か月程度を目安に、協業をさせていただく中で、期間と成果物を設定し、次ステップへの移行を判断することを想定しています。必要な費用に関してはお支払いをします。無償でデモを作っていただく、ということはありませんのでその点は安心してもらいたいですね。もちろん、資金面に加えて、当社が有している高度な光学技術やセンシング技術といった独自のリソースも提供が可能です。

――最後に、スタートアップに向けたメッセージをお願いします。

細木氏 : 当社とお付き合いのあるお客様は、およそ200万社。そのうちの約80%が海外のお客様です。さらに、グループ会社の拠点は世界50カ国にあります(2017年3月現在)。――こうした事実からもお分かりいただけるように、新しいソリューションに確固たる価値を見いだせればワールドワイドへと展開する可能性もあります。特に当社の場合は、国内でのビジネスが軌道に乗れば、グローバルに展開するスピードがはやいです。世界を見据えて、大きくビジネスを展開し、社会課題を解決したいと思っているスタートアップさんとはぜひ、お話しをさせていただきたいですね。

※本件に関する詳細・問い合わせについては右記URLをご確認ください。 https://eiicon.net/companies/516

 (構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:古林洋平)

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