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【海外事例】テレビ業界のパラダイムシフトに、オープンイノベーションで対応するディズニー

■動画コンテンツ配給プラットフォームのパラダイムシフト


Hulu、Netflix、Amazonプライムといった動画配信サービスの著しい台頭を見せており、日本国内においても「動画コンテンツ」への接し方が大きな変化を見せている。メディア環境研究所が実施した「メディア定点調査・2016」によれば、メディア総接触時間は「携帯・スマホ」と「タブレット」の合計が、全体のシェアの3割に迫った(※)。ひと昔前であれば、テレビという無料で視聴できる「箱」が動画コンテンツに触れる絶対的なメディアであったが、テレビ視聴率の緩やかな下降に見て取れるように、その権威は静かに崩れ始めてきている。

一方、メディア先進国であるアメリカでは、有料のケーブルテレビと契約してテレビを視聴するスタイルが一般的。しかし、日本に先駆けてサービスをスタートしている同上の動画配信サービスの影響も大きく、米国の視聴スタイルも劇的な変化を見せている。――このように、動画コンテンツ配給のプラットフォームが「テレビ」から「ネット」へ移行するというパラダイムシフトを迎えている中、それにオープンイノベーションで対応しているのが、あのディズニーだ。

 

■ディズニーによる、動画ストリーミング会社への戦略的投資


ディズニーがMLBのストリーミング事業に投資、ケーブルテレビの「危うい未来」に備え

http://forbesjapan.com/articles/detail/13371/1/1/1

上記のForbes JAPANの記事によると、2016年8月、ディズニーは米国のプロ野球「メジャーリーグ(MLB)」が創設したストリーミング会社、バムテック(BAMTech)への戦略的投資を発表。10億ドル(約1,003億円)を投入し、同社の株式の33%を取得している。さらに、今後4~7年間で過半数の株を取得するオプションも獲得しており、新しいスポーツ・ストリーミング事業の構築を計画しているという。

なお、バムテック社は何百万人もの契約者にMLBの全試合のストリーミングを提供しているが、同時に有料チャンネルHBOのアップル端末向けストリーミングサービス「HBOナウ(HBO Now)」への技術提供も行っている。

 

■業界の地殻変動に、オープンイノベーションで先手を打つ。


ディズニーがバムテックへの戦略的投資を行い、タッグを組んだ背景には、各ケーブルテレビが導入している「スキニーハンドル方式」の普及が影響している。この方式は、端的に言うと“必要な番組だけ選ぶ”というのもの。つまり、チャンネルパックからコストのかかるチャンネルを取り除き、月々の視聴料を値下げする方式である。その際、最初にパックから外されるのがディズニー傘下のスポーツ専門チャンネルESPNスポーツだった。

実は、ESPNは、テレビ業界に蔓延する「デジタルディスラプション(デジタル時代の創造的破壊)」の影響を受けない放送局だと多くの人に認識されていた。しかしながら、上記の通り、パックから外されることで加入者数は減少を続けている。そうした事態を見越して、ディズニーは今回の投資、新規事業戦略へ乗り出した。

今や、ソフトウェア(動画コンテンツ)の多くがデジタル化されており、それをいかに先進的なテクノロジーによって流通させるかに注目が寄せられている。動画ストリーミング技術を持ったバムテックへの投資を行い、オープンイノベーションを起こすことで、布石を打ったディズニー。テレビ業界における大きな地殻変動の中を、オープンイノベーションで先手を打った事例と言えるだろう。

 

※「メディア定点調査・2016」時系列分析 ~メディア環境の10年変化~

http://www.media-kankyo.jp/news/media/20160620_3420.html