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【イベントレポート】リバネス主催!超異分野学会2018のリアルテック・ベンチャー・オブ・ザ・イヤー2018表彰式にてベンチャー8社が受賞!

【イベントレポート】リバネス主催!超異分野学会2018のリアルテック・ベンチャー・オブ・ザ・イヤー2018表彰式にてベンチャー8社が受賞!

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「科学技術の発展と地球貢献を実現する」という理念のもと、そこに集まる専門知識や技術・人などつなぎ、組み合わせることによって社会に新たな価値を創出する、研究者集団・株式会社リバネス。同社は、2018年3月2日(金)、3日(土)、TEPIA先端技術館にて第7回超異分野学会本大会を開催した。

小学生から研究者、ベンチャー、大企業、町工場、さらには海外のスタートアップやアクセラレーターまで総勢859名の人々が国内外から集結。計24のセッションと国内99演題のポスター、40のベンチャー・町工場ブース、海外のスタートアップ12チームのブースが集まり、大いに盛り上がった。今回は初日に行われた『リアルテック・ベンチャー・オブ・ザ・イヤー2018表彰式』にて受賞した8社のベンチャーを紹介したい。

リアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤーとは?

「これから成長しそうなベンチャー」を大成功する前に認定する、未来志向の表彰制度。

2015年より、株式会社リバネスは「リアルテック領域における独自性・新規性・成長性の高い事業を手掛けるベンチャー企業」を「リアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤー」として表彰。次世代の起業化へのロールモデルを提示し、社会全体としてリアルテックベンチャーを生み出す意識の高揚を図ることを目的にしている。

表彰式の冒頭に、株式会社リバネス 投資育成研究センター所長 篠澤 裕介氏が登壇。表彰の趣旨や選定の視点が伝えられた。

選定の視点

・世界を変えうるQuestionとPassionを持つこと

・独自性・新規性・成長性を有するリアルテック領域の事業

・実行力を伴った推進体制

リアルテックとは、地球と人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーを指す。創業3年以内の場合はスタートアップ部門、3年以上の場合はグロース部門として表彰される。

スタートアップ部門受賞企業(5社)

・アイ・イート株式会社

・株式会社クァンタリオン

・インテグリカルチャー株式会社

・株式会社セルファイバ

・シンクサイト株式会社

グロース部門受賞企業(3社)

・レキオ・パワー・テクノロジーズ株式会社

・株式会社夏目綜合研究所

・エルピクセル株式会社

 

 

〜スタートアップ部門受賞企業(以下5社)〜

■アイ・イート株式会社 高橋 庸平 氏  https://www.ieat-fresh.com/

アイ・イート株式会社は「食と農の新たなスタイルの文化発信」をビジョンに掲げ、日本産果実のブランディングと農業用ロボットの開発を行う、宇都宮大学発ベンチャーである。日本産果実のブランディングにおける同社のコア技術はイチゴ用個別包装容器『フレシェル』の開発だ。この技術により、最高品質の日本のイチゴを、最高品質のまま、世界中の食卓へ届けることが可能となる。今まで完熟の大粒イチゴは痛みやすく、通常のイチゴのパックにも入らないので、なかなか店に流通していなかった。

しかし同社では、宇都宮大学独自開発の特殊技術でイチゴ果柄を固定。さらにイチゴがどこにも触れない容器を使用し、輸送時のイチゴの損傷を防止することができる。現在ではベルギーで行われている国際味覚審査機構による優秀味覚賞を受賞し、日本産生鮮食品として初の最高評価三ツ星を二年連続受賞している。

もう一つの事業である農業用ロボットの開発事業においては、人と協働するロボットの開発を進めており、マルチエージェント協働型農業支援ロボットシステムを開発している。高橋氏は今度、仲間も増やしながら、 日本と世界の農業を変えていきたいと熱く語った。

■株式会社クァンタリオン 代表取締役社長 露崎 典平 氏 http://quantaglion.com/

「比類なき真正乱数発生機構がIoT基盤を安全にする」をビジョンとして掲げる株式会社クァンタリオンは原子核の崩壊を用いた世界初の量子乱数チップを製造するベンチャー企業である。原子核の自然崩壊における放射線の発生は完全に不規則であり、そのバラバラに出てくる現象を応用し、自然乱数を発生させる電子チップを開発。従来の暗号化通信よりはるかに強靭な安全性を構築した。これは原子崩壊の現象を、未来のセキュリティに応用する技術となり、現在はコストダウン化を図り、セキュリティチップとなるようなプロダクトの開発を更に進めている。

また、東京理科大学・東京大学・帝京大学の協力のもと、論理構成・精度調査を共同で実施し、さらに量産化を台湾メーカーと台湾清華大学の協力を得て、進めている。そして多数の協力会社から支援を受け、最終的にはエンドユーザーが使う製品に同社のセキュリティチップが適応されるべく、動き出している。

■インテグリカルチャー株式会社 代表取締役 羽生 雄毅 氏 http://integriculture.jp/

インテグリカルチャー株式会社は「純肉の普及による、食糧生産の超省資源化」をビジョンに掲げ、「細胞培養」の技術に着目し、持続可能な肉の開発を目指している。純肉(クリーンミート)は細胞培養して作られるが、そのコストを従来の1/10000に下げる細胞培養技術が同社のコア技術である。

この技術を活用すれば、低資源で食料を生産でき、このような世界の実現を同社は目指している。単に肉をつくる技術ではなく、さまざまな細胞を大規模に培養する「汎用大規模細胞培養技術」の実現にあたり、低コスト化と大型化に挑戦している。

現在では、事業会社との提携を積極的に行い、商品開発に着手。羽生氏は、「少ない資源で食糧をつくれるようになれば、場所は地球でなくても良い。火星にプラントを建て、地産地消を実現する世界も遠くない」と語った。

■株式会社セルファイバ 代表取締役CEO 安達 亜希 氏  http://cellfiber.jp/

「細胞を使ったものづくり」で安心・安全な世界を作る」をビジョンに掲げ、ひも状の細胞「細胞ファイバ」の研究開発・製造を行っている同社。細胞は非常にデリケートで取り扱いにくく、ものづくりに用いることはこれまで非常に困難だったが、「細胞ファイバ」技術により、生きた細胞をまるで糸のように扱うことが可能となり、長期間の組織培養の実現できる。

細胞以外にも、微生物やタンパク質などを内包したファイバも作製でき、再生医療から創薬・食品・化粧品など多様な領域で同社の技術を活かすことが可能だ。安達氏は、「この技術は非常に適応できる範囲が広く、使う人の数だけ使い道がある。新しいアイデアのある企業は声をかけてほしい。そして一緒に新しい世界を作っていきたい。」とアピールした。

■シンクサイト株式会社 代表取締役 勝田 和一郎 氏

同社は「細胞から、未来を見つける」をビジョンに掲げ、機械学習駆動型の新しい細胞評価・選別システムを開発するベンチャーだ。コア技術は、新規の単一細胞光学計測解析技術であり、それを機械学習技術と融合させることで、高速・高精度の細胞評価、分析、分取を実現している。

これまでの細胞解析技術では、スループットを上げると蛍光強度のような限定的な情報しか取得できず、細胞形態情報等の高次元の情報を得ようとすると、人力で顕微鏡観察等をする必要があるため、大量細胞の高速処理は極めて困難だった。この課題を解決すべく、形態情報に基づいて、大量の細胞を高速に判別し、分取までが可能となる新規細胞評価・選別システムの実用化を進めている。

この技術の実用化により、今後、難治疾患の新しい診断法の開発や、再生医療分野における細胞の品質管理への導入を始め、病態の解明や病気の早期発見に繋がる可能性も含めて、医療・生命科学の進歩に貢献するものと期待される。

〜グロース部門受賞企業(以下3社)〜

■レキオ・パワー・テクノロジー株式会社 代表取締役 河村 哲 氏 http://www.lequiopower.com/

レキオ・パワー・テクノロジーズ株式会社は世界中の必要とする人たちのためにエコー(超音波画像診断装置)を使って医療空白地に新たな医療地図を作る事業を行う沖縄発ベンチャーである。海外の発展途上国向けに開発した超音波スキャナーが同社のコア技術。日本や欧米で販売されている超音波画像診断装置の価格常識を覆し、超低価格で提供できるように製品設計されている。さらに不安定な電気事情でも対応できるように、PCにUSB接続可能。

現在では、スーダンの助産師にエコーの使用方法を教えながら、現場で活躍してもらうプロジェクトにも取り組み、教育・育成にも注力を当てている。発展途上国では、日本のような医療知識が豊富な医師は少ない。そこで3G回線でも使用出来る無償のクラウドを開発。グラウド上に診断画像を上げると、世界中の会員医師が診断画像に対して適切なアドバイスを受けられる仕組みを作り、エコーを使える人を増やす活動も行なっている。

これによって得られたデータを活用して、エコーのみではなく様々な用途に活用し、世界中の医療空白地に医療の地図を描いていきたいと河村氏は語った。

■株式会社夏目綜合研究所 代表取締役 臼倉 正 氏 http://natsumelab.co.jp/

「瞳孔解析技術で、ビジネスに新しい価値を」をビジョンに掲げる株式会社夏目綜合研究所。同社は、人間の目の瞳孔の反応を計測・解析することで、人間の内面・感情を数値化しあらゆるビジネスに新しい価値を生み出すベンチャーである。「目は口ほどに物を言う」というように、人間の瞳孔は、対象物に対して注目し、興味・関心を持つと拡張し、興味・関心が無いと収縮するように、感情によって左右される。同社技術ではこの瞳孔の反応を活用し感覚に伴う感情や無意識の情動反応などを可視化する。

昨年には科学警察研究所に同社技術が採用され、新型のウソ発見器を開発。さらには国土交通省所管の研究機関に同社技術が採用され、自動車の運転手が事故多発地域の道路標識を注目・認識しているかを可視化するための共同実験を行っている。臼倉氏は今後、「瞳孔解析の専用デバイスの開発を行い、民間事業会社との提携も積極的に行っていきたい。是非、お声掛けください」と語った。

■エルピクセル株式会社 代表取締役CEO 島原 佑基 氏 https://lpixel.net/

「研究の世界から革新とワクワクを!」をビジョンに掲げるエルピクセル株式会社は、医療・製薬・農業などのライフサイエンス研究領域の画像解析ソフトウェア・システムの研究開発を行う東大学発ベンチャーである。

現在、CT・MRI・内視鏡・顕微鏡といった病理画像などの医療画像を中心に多種多様な医療ビックデータを活用。独自の人工知能アルゴリズムで次世代医療画像診支援技術を研究開発し、EIRL(エイル)というサービス名で世界展開している。日本は脳の画像診断が非常に盛んな国である。同社技術を使って、血管の異常や治せる認知症の早期発見・見落とし防止を実現。既に共同研究先にはEIRL活用しており、実質レベルで必要不可欠な医療技術になっているという。

今後、海外展開も行政のバックアップもありながら進めており、代表の島原氏は「2・3年後にはAIが医療診断を支えているような時代を創っていきたい」と締めくくった。

※『リアルテック・ベンチャー・オブ・ザ・イヤー2018表彰式』の模様は、YouTubeの「リバネスtv」でも動画配信しています。

取材後記

受賞した全8社すべてが、驚きの技術力と世界を変える前進力を持っていた。今までSFの世界でしか想像できなかった世界がもうすぐそこまで来ている。そう感じずにはいられない表彰式であった。式の最後に株式会社リバネス代表取締役CEOの丸氏は、「賞を提供した側ではございますが、ある意味でここから一緒にやっていくという『約束』でもあります」と話した。今回受賞した8社の革新的な技術やこれからの未来も、決して自社だけで完結するのではないことを改めて感じた。

(取材・文:保美和子)

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