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【特集インタビュー】ビジョンの共有があれば、共創が生まれる。「幸せな提携」が生まれた背景にあったものとは。(前編)

iOSアプリの課金プラットフォームサービス「SMART GAME(スマートゲーム)」を運営するSmarprise(スマープライズ)は、アドテク事業とスマホコンテンツ事業を展開するユナイテッド株式会社と資本提携し、2016年2月に同社にグループ入りした。資本提携後すぐにSmarpriseは、積極的な投資を行いSMART GAMEを大きく成長させている。同社はどのような観点で共創相手を探し、どのように新たなグループに溶け込んでいったのだろうか。代表を務める五十嵐氏に話を聞いた。 

株式会社Smarprise

代表取締役社長 五十嵐  健 (Takeshi Igarashi) 

立教大学文学部卒。2005年株式会社サイバーエージェントに入社。大手生命保険会社や大手エンターテインメント企業など数多くのインターネットマーケティングに従事した。 2010年に当時同社の投資先だったトレンダーズ株式会社に出向。2011年に転籍し、2012年には東証マザーズ上場に貢献。2014年には取締役に就任を果たす。その後2015年4月に社内起業で株式会社Smarpriseを設立。代表取締役に就任し現在に至る。  

■一緒に走れる仲間を探した。

――Smarpriseは、トレンダーズ株式会社の社内起業で生まれたのですよね。資金調達に当たり、外部から出資を募った理由を教えてください。 

五十嵐:そうですね、当時の親会社であるトレンダーズから追加で資金調達を受けるという手段はもちろんありました。しかし、外部の会社と組んだほうがこの事業は伸びると判断したんです。調達を視野に入れ出したのは、SMART GAMEが「イケル」という手応えをつかんだ頃。具体的に言えば、創業から約半年後の2015年10月〜11月でした。 調達の手法としてはVCの力を借りるという手もあると思いますが、ほとんど迷わず事業会社との資本提携を選択しました。単に資金を調達するのではなく、スマートフォンマーケティングのノウハウをもっている会社と資本提携をすることで、事業シナジーを図りたかったんです。 

――数ある企業の中から、ユナイテッドを選んだのはなぜでしょうか。 

五十嵐:同社の持つスマートフォンマーケティングのノウハウに興味を抱いたというのが、大きな理由の一つです。当社の展開するSMART GAMEが、ユナイテッドとの融合で、さらに大きくなると考えました。事業シナジーだけではなく、もっと根本的な話をすると、志やビジョンを共有できると思ったんですね。一緒に走れる会社なのではないか、と。 そういった総合的な判断のもと資本提携の話を持ちかけました。話をしてから意思決定して頂くまでのスピードはとてもかったですよ。2015年11月の末日にお会いして、2016年2月3日には提携した旨のニュースリリースを配信しました。 ネット業界は変化がとても速いので、スピーディーな対応ができるという点も、当社にとって非常に魅力のひとつでした。 

――出資を募るには、出資先へのプレゼンテーションはとても大事な要素だと思います。具体的にはどのようなPRをしたのでしょうか。 

五十嵐:私はもともと営業出身なので、基本的にいつも行っていたことと大差ありません。それは、「最も伝えたいことをしっかりと伝えきる」ということです。 今回の場合で言えば、当社が目指しているのは世の中にインパクトを与えるぐらいにサービスを大きくすることだと明示しました。その実現のためには、ユナイテッドが最適なパートナーであり、互いにとって大きなメリットがあると強調したんです。  

■事業運営の自由度が高く、利害関係を抜きにした意見がありがたい。


出資を受け、ユナイテッドグループに参画されましたが、どのような感想をお持ちですか。仕事の仕方や社内の雰囲気は変わりましたか。 

五十嵐:とても自由にやらせてもらっているので、やりにくいと思ったことは本当にないです。普通は、グループ会社になったんだから管理部門は統一しなければいけない、出向者を何人受け入れなければいけない、予算についてもトップダウンで降ってくる、という話も出てくるでしょう。 しかし、ユナイテッドグループには「何々しなければいけない」という強制的なルールは全くないんです。加えて、ありがたいのは、客観的な意見をもらえること。グループの一員になったために利害関係が生まれてくることもあるはずですが、あくまでSmarprise社としての方向性やサービスの成長について的確にアドバイスしてくれることに徹してくれています。 

――幸せな提携と言えますね。 

五十嵐:本当にそうなんです。ユナイテッドのリソースを使って新しいことを始められるんなら始めていいよとも言われています。お伺い立てて決済をとらなければいけないということもありません。 実際、少し話をしただけなのに、「いいね、やってみようか」と合意が取れて、プロジェクトが動き出している例もあるほどです。 

――ビジョンを共有することで、信頼関係が構築できたのでしょうか。 

五十嵐:そうですね。ビジョンの共有と、そのビジョンを絶対に実現したいという強い意志でしょうか。 

――事業は今後、どのような展開を考えていますか。 

五十嵐:まずは現状のSMART GAMEに注力します。サービスをスタートさせてから1年が経ち、競合の参入も増えています。これから1年が本当の勝負になると考えています。この分野で圧倒的No.1になることを目指します。 もちろん、その次の展開も考えていますよ。新しいことを仕掛けていかないと、成長は止まってしまいますからね。  


オープンイノベーションを生み出すパートナーを探す上で重要なのは、志やビジョンといった定性的な要素にあると語る五十嵐氏。 もちろん、目先にある実利も重要な要素ではあるが、その先に「どんな未来を描けるのか」を同じ価値観で考えられる相手と手を組むことーーそれが、「幸せな提携」を生む秘訣といえるだろう。明日公開の後編記事では、五十嵐氏がなぜこうした思いを持つのか、その源泉について話を伺った。 (構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:佐藤淳一)

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