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【イベントレポート/YOKOGUSHI VOL.2】 <味の素×サントリー×ハウス食品×森永製菓>食品メーカー各社が仕掛けるオープンイノベーションを徹底討論!

【イベントレポート/YOKOGUSHI VOL.2】 <味の素×サントリー×ハウス食品×森永製菓>食品メーカー各社が仕掛けるオープンイノベーションを徹底討論!

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オープンイノベーションプラットフォーム・eiiconは、「YOKOGUSHI VOL.2~食品メーカー各社が仕掛けるオープンイノベーションを徹底討論!~」と題したイベントを8月22日に開催した。「YOKOGUSHI」(ヨコグシ)とは、同業界の中でオープンイノベーションに取り組むイノベーターたちが集い、それぞれの仕掛けや狙いを文字通り“横串”でディスカッション形式で紹介するイベントだ。 

初回のテーマは『交通インフラ』だったが、今回開催された第二回目のテーマは『食品業界』。味の素株式会社、サントリーホールディングス株式会社、ハウス食品グループ本社株式会社、森永製菓株式会社、この4社にて新規事業担当者としてオープンイノベーションに取り組む錚々たる顔ぶれが登壇した。

会場は、東京・大手町の「SPACES」。企業のイノベーション担当者やスタートアップなどで超満員となった。イベント開始にあたり、eiiconのco-founder田中みどりが挨拶。「ノウハウを学ぶことにとどまらず、業界全体のイノベーション創造について議論し、この場の出会いや繋がりを今後の一歩にしていきたい」と、イベント開催の目的について語った。続いて、eiicon founder 中村亜由子がモデレーターをつとめ、食品メーカー4社とのパネルディスカッションが行われた。

【登壇者紹介】

▲味の素株式会社 研究開発企画部 シニアマネジャー 農学博士 野口泰志氏

1998年に入社、生産技術の開発に従事。2000年よりヘルスケア分野の研究開発部門に異動し、2006年から2008年までマサチューセッツ工科大学にて客員研究員として、がんや生活習慣病の研究に携わる。帰国後、「アミノインデックス事業」の立ち上げなど、食や健康分野の新事業開発やオープンイノベーションを推進している。

▲サントリーホールディングス株式会社 経営企画・財経本部 事業開発部 ベンチャーコネクティングチーム 課長 鈴木雄一氏

設備エンジニアとしてビール工場での設備導入等のプロジェクトを担当した後、生産部門の企画部署を経て、研究所で研究戦略の立案・推進を担う。その後、サントリーホールディングス(株)にて、経営企画部と研究企画部を兼務し、新事業開発の戦略立案・推進と事業開発プロジェクトのリーダーを担う。

▲ハウス食品グループ本社株式会社 研究開発本部 イノベーション企画部 グループ長 上野正一氏

2001年入社。レトルト関連の製品開発を担当した後に、機能性食品のエビデンス取得などを担当する部署へ異動。現在はイノベーション企画部でグループR&Dの中長期戦略の策定を担う。イノベーションを創出できる研究所とすべく、組織のイノベーションマインドの醸成、技術起点の新規事業創出の仕組み作りに取り組む中で、新価値創造を目指したオープンイノベーションの窓口も担う。研究課題の解決に向けた外部技術の導入や本年度より立ち上げたCVCの活用を通じて、弊社単独では成し遂げられないイノベーション創出を目指し、外部との共創を推進。

▲森永製菓株式会社 新領域創造事業部 マネージャー 渡辺 啓太氏

2009年森永製菓株式会社に入社。3年半、名古屋支店にて営業を経験。2012年10月~2015年3月、アンテナショップの運営・店舗の立ち上げ・商品開発・PR担当。JAXAとの商品開発等を実施。 2015年4月より現在まで新規事業担当。起業意欲にあふれたベンチャー企業と共に、当社の経営資源を活用したアイディアから事業立上げを目指し「アクセラレータープログラム」の運営責任者として新規事業の創造を目指す。

▲モデレーター eiicon founder 中村 亜由子

2008年インテリジェンスに入社。正社員の転職支援領域における営業を経験する。最速で営業マネージャーに昇進、約1000名の転職をサポート、MVP他社内表彰受賞歴多数。2015年育休中にeiiconを単独起案。0to1という社内新規事業制度第1回目で単独&唯一通過。2016年4月に育休から復職後、予算取りに駆け回り7月から本格的に立ち上げを開始。地の利に関係なく地方含めた日本企業のオープンイノベーション実践をアシストするオープンイノベーションのための企業検索プラットフォームeiicon(エイコン)を担う。

【パネル1】 食品業界を取り巻く外部環境について

〜〜今必要だと思っている技術・エッセンス、気になるキーワードは?〜〜

まずは、モデレーターの中村から、パネルディスカッション1つ目のテーマが提示された。

eiicon・中村 : 「食」は絶対になくならない領域ですが、時代によりどんどん変わっていく業界でもあると思います。今、国内では超高齢化社会で、ヘルスケアと食品が注目されています。一方でグローバル見ると人口増加と食糧問題が大きな課題です。そういった国内外での状況を踏まえて、技術エッセンスや気になるキーワードを伺えたらと思います。

ハウス食品・上野氏 : 食品業界を取り巻く環境について、現在は小売店が強い状況です。しかし今後も小売店がそのまま力を持つかというと、どうかな?と。なぜなら今、amazonさんなどECが力を付けているから。そんな中で、お客様との接点をどう作っていくのか、それが重要だと思っています。

当社はCVCを立ち上げ、第一号案件でプラネット・テーブルさん(https://planet-table.com/)に出資を行いました。プラネット・テーブルさんは、先端テクノロジーを活用した生産流通支援プラットフォームを運営するスタートアップ。同社との協業により、お客様との新たな接点作りを模索しようとしているところです。

森永製菓・渡辺氏 : やはりお客様との接点作りは、当社でも大きなテーマですね。当社も今年4月にダイレクトマーケティング事業部を新設し、EC強化に取り組んでいます。私が手掛けているお菓子のノベルティサービスのおかしプリント(https://okashiprint.com/)もダイレクトでやっています。また、当社からスピンアウトしたSEE THE SUN株式会社(https://seethesun.jp/)という子会社は、従来のチャネルにとらわれず、自分たちで新たなチャネルを開拓しています。

eiicon・中村 : 顧客との直接的な接点を重視するようになっているのですね。他のエッセンスとしてはいかがでしょうか?

味の素・野口氏 : ライフスタイルの変化によって食がどうなるのかということが気になりますね。私が子供の頃は専業主婦が多く、毎日スーパーで食材を買って料理をすることが当たり前でした。しかし80年代に男女雇用機会均等法の施行、そして90年代にバブルがはじけて、現在では7割が夫婦共働き世帯です。料理の時間は以前より短く、加工食品は今や高齢者も購入しています。

では、これから10年後20年後のライフスタイルはどうなる?と考えた時、求められるビジネスとは何か?食品だけ売って儲かるのではなくなってくると思います。デジタルと食の融合など、従来と異なる新たな感性が必要となるでしょう。そういった意味でも、異業種・異分野との協業が欠かせないと思います。

サントリー・鈴木氏 : ライフスタイルの変化というお話しと通じるところがあるのですが、当社は健康の領域で新しいことができないかと考えています。しかしながら、健康状態の変化というのは、体重以外では計測しにくいですよね。そんな状態で、トクホ飲料や健康食品を継続していただくのは、少し難しい。そこで、何かリアルタイムに健康状態が見える化できるような技術やサービスが必要だと考え、技術探索を進めています。

eiicon・中村 : 顧客のニーズが多様化して、それが分かるようになってきているからこそ、どう対応していくか。それが気になるエッセンスということですね。

味の素・野口氏 : まったくその通りですね。「高齢者」と一口にいっても多様ですし、戦後生まれは戦前生まれと体格も大きく違います。現在の高齢者と、10年後の高齢者を同じように捉えてはいけない。ですから、今の高齢者をベースにサービス設計をしても、10年後20年後には通用しない可能性が高いんです。

【パネル2】 食品業界2030

〜〜今後食品業界はどのように動いていくのか?そのためにしていることとは?〜〜

eiicon・中村 : 10年後20年後というお話しで野口さんがいい流れを作ってくださったので、次のテーマに行きたいと思います。これから食品業界はどう動いていくのか。そのためにしていることは何かありますでしょうか?

森永製菓・渡辺氏 : 冒頭で上野さんのお話しでも出ていましたが、今の食品業界では小売業さんが大きな力を持っています。そこで私たち食品メーカーがどのような目線で商品開発をしているかというと、全国まんべんなく売れるものを作ってきたんですね。それはもちろん大きな売上があるので必要なところなのですが、今後2030年を考えた時、食品メーカーサイドがダイレクトにお客様と接点を持つようになりますし、そうしたビジネスを展開するようになると思います。

その際、大企業は細かいところが苦手で小回りが利く組織ではなにので、ベンチャーと一緒に事業を興すことが増えてくるでしょう。

eiicon・中村 : やはりベンチャーとの協業・共創は必要だということですね。野口さん、パートナーに求める条件としては?

味の素・野口氏 : 様々なベンチャーさんとお会いする中で、同じゴールやビジョンを共有して、お互いにリスクをテイクしていこうというのが、一番美しい協業の形だと思います。どちらか一方がリスクを取るというのは、うまくいかないですね。会社の規模に関わらず、対等に、同じ方向を向けるかどうかが、キモだと思います。

eiicon・中村 : 味の素さんとして、2030年を見据えて取り組んでいらっしゃることは?

味の素・野口氏 : 2030年という区切りというよりは、創業以来同じ価値で事業を展開していきます。地球の持続性と、食資源と、健康。そこであえて言うなら、このまま地球の人口が増加する中で、オルタナティブプロテインなど栄養確保の課題解決は様々なところと連携していかなければならない領域だと思います。

eiicon・中村 : サントリーさんはどうでしょうか?

サントリー・鈴木氏 : 当社は嗜好品を扱っていますが、個人的に脅威に感じているのが、それが何かにとって代わられるのではないかということです。

たとえば、お酒を化学分析して、その成分を人工的に合成してお酒を作る、といったベンチャーがアメリカで出てきました。もし、この技術が進化して、酒類メーカーと遜色ないものができるようになったら、お客様はどのような選択をするのか、酒類メーカーのものを選んでくれるのか。この技術のように、業界に対して影響を与え得る技術動向を把握して、先回りして対応できるようにしたいと考えています。

ハウス食品・上野氏 : 中長期的に見て、オーダーメイドで個人の健康状態などに合った食品を提供するようなサービスが求められると思います。また、現状では大企業としてのブランド力でスーパーの棚を確保することができますが、今後ECが強くなるとそれができなくなります。Web上の架空の棚に無数の商品が並ぶような時代には、「商品力」がすべてとなるでしょう。

そうした時代では、技術力を活かして高い商品力を持つものをつくり、お客様に提供していかなければなりません。研究所に眠っている技術を呼び起こすことも必要でしょう。当社では、技術起点の新規事業を研究所から提案できるような仕組みを整えて、ベンチャーさん含めて外部と協業し、より良いモノをつくっていこうとしています。

YOKOGUSHIだから話す、「ここだけの話」

eiicon・中村 : みなさん、ありがとうございます。少し質問の方向性変わるのですが、みなさんイノベーション担当者として、本当は内緒にしておきたいけど、今日は「YOKOGUSHI」だから特別に話しちゃおうかな、という事例はありますか?(笑)

森永製菓・渡辺氏 : 言えないな~(笑)。アクセラレータープログラムを3回やって思うのは、先ほど野口さんがおっしゃったように「互いにリスクを取って、互いに思い合える関係」で事業を進めるとうまくいきますね。ベンチャー目線だけでの提案をいただくよりは、一緒に考えていくというスタンスの方がいいと思います。

今、当社では3回目のアクセラレータープログラムで、TRINUS(https://trinus.jp/)さんに出資していて、すごくうまくいっています。TRINUSさんは、日本の技術とデザインをつなぐ事業を展開し4000名ものデザイナーのネットワークを持つスタートアップです。そこで森永の技術を活用した新商品のアイデアを募ったところ、本当に様々なアイデアが集まってきたんですよ。

現在、そこから選ばれたコンセプト・デザインをクラウドファンディングで商品化を進めています。TRINUSさんとはいい関係性で、お互いに忌憚なく意見を言い合い、時々喧嘩することもあるほどですね(笑)。

eiicon・中村 : なるほど。一方的な売り込みはちょっと…ということですね。

森永製菓・渡辺氏 : もちろん、ベンチャーさんからご提案をいただくのは当社として光栄なことなのですが、「それはうちじゃなくても…」というのはあります。

味の素・野口氏 : 成功事例というか、自分が18年くらい新規事業に携わってきて思うのは、味の素みたいな会社って、同じ“色”がついている人が多いんです。同じような学校を出て、同じような格好で。今日も僕はスーツで来ましたし。そこであえて、外部企業と一緒にやる時、うちと同じような格好をしてくる人たちとは一緒に仕事をしないようにしています。

例えばスーツ着ない、茶髪といった違う文化を持っている人と組んだ方が、色んなアイデアも出てきます。まあ、最初は社内では叩かれることが多いのですが…(笑)

eiicon・中村 : 違う“色”を持った人たちと組むというのは、ポイントですね。

味の素・野口氏 : この間初めて、経営陣に提案する時に漫画で資料を作ったんですよ。最初はみんなに止められたんですけど(笑)。4コマ漫画で、「こんな生活を創ります」といった内容で。それで提案したら通りました。漫画で提案って、当社の中で同じような経験をしてきた人だけでは出てこない、チャレンジングな方法です。

eiicon・中村 : 面白いですね!鈴木さんはどうですか?

サントリー・鈴木氏 : PoCまでのハードルが低いとありがたいですね。当社の既存のビジネスプロセスの中でPoCをしようとすると、多くの部署との調整が必要となり、なかなか実施できません。しかし、既存のビジネスプロセスに影響のないところでのPoCはスムーズに実施でき、そこで多くのデータ・情報を得ることができます。

そのようにして得られたデータ・情報をもっていれば、次のPoCを既存のビジネスプロセスで実施する場合に話をしやすくなります。早いモノでは、最短2日で決まったケースもありましたが、最初のPoCで何をするのか、といった観点でアイデアを出し合うことが重要だと感じています。

eiicon・中村 : 2日で意思決定できるというのは早いですね!もう一つ「ここだけの話」を伺いたいのですが…。食品メーカーって意外にこんなところが苦手、こういうものが喉から手が出るほど欲しい、ということを聞きたいです。

森永製菓・渡辺氏 : 食品メーカー各社共通していると思うのですが、IT系には滅法弱い。「IT系」なんて言っちゃってる時点でダサいですよね(笑)。ベンチャーさんと仕事をしていると、「本当にITリテラシー低い」と言われますね。

eiicon・中村 : みなさん頷いていらっしゃいますね(笑)

サントリー・鈴木氏  :  当社が困っているのは、新製品がどれだけ売れるのか予測がつかないということ。社内での予測数値は、営業部門が積み上げた数値がベースとなりますが、極端に売れない場合があったり、また売れすぎて生産が追い付かず、お客様や小売店様にご迷惑をおかけすることがあったりします。

精度良く予測ができたらありがたいですが、そもそも因果関係が分かっておらず、データも十分ではない。色々なところに相談するのですが、「それでは難しい。」と言われてしまって。

森永製菓・渡辺氏 : 広告効果も知りたいんですよ。我々の商品は、多くは組織小売業様に販売していただいているので、広告効果が分からない(笑)。それって食品業界共通の悩みだと思います。それが見える化できるとしたら、そういうところと組みたいですね。

ハウス食品・上野氏 : まず、社内にデータを扱える人間、データサイエンティストがいないんですよね。必要性を感じていればデータ蓄積していくのでしょうが、そういう状況にないというのが現状ですね。

味の素・野口氏 : 分からないところでいうと、オープンイノベーションや新事業の定義が企業によって違うこと。どうすれば成功するのか、何が揃えば成功といえるのか。共通の悩みがあると思うので、それは知りたいですね。

参加者と登壇者のコラボセッション

eiicon・中村 : 次に参加者の方々から寄せられた質問に、登壇者のみなさんに答えていただきたいと思います。まずは、「顧客のどのようなデータが欲しいですか?」という質問。鈴木さん、いかがですか?

サントリー・鈴木氏 : POSデータのその先ですね。何がどれだけ売れた、というだけではなく、そのお客様のライフスタイルが分かればいいなと思います。どんな生活を送っているのか、どう変わってきているのか。少しでも先読みできるような材料があれば、そのお客様に合った商品やサービスを開発ができると思います。そういうデータが今後は価値を持ってくるでしょうね。

ハウス食品・上野氏 : 鈴木さんがおっしゃった、POSデータのその先、欲しいですね。商品を買ったあと、どう使ったのか、どのタイミングで購入したのか、それが分かると売れた理由も分かるはず。

eiicon・中村 : 確かに、家にストックするために買ったのか、すぐに食べるために買ったのか、で全然違いますよね。次に、「健康データをリアルタイムに見れるといいというお話しで、今目を付けている製品・サービスは何かありますか?」という質問です。

森永製菓・渡辺氏 : 「ネスレ ウェルネス アンバサダー」は気になりますね。様々なヘルスケアデータを取っていくようですが、どんなデータを扱っていくのか。

味の素・野口氏 : この質問の回答にならないかもしれませんが、日本企業はデータを取っても活用できないことが多いですよね。ウェラブル端末などありますが、あれは僕は普及しないと思う。だいたい飽きちゃうじゃないですか。

今普及しているスマホやテレビなどから情報が取れるようにしないと、健康データを取るサービスは普及しにくいのではないかと思います。我々食品会社としては、そのデータと食品をどう結び付けていくのか、考えないといけないですね。

eiicon・中村 : 「提携するスタートアップに求める要素とは?」という質問もいただいています。先ほど野口さんから、同じビジョンを共有できる相手、というお話しもありましたが、それ以外ではどうでしょうか?

森永製菓・渡辺氏 : 話を聞いてくれるスタートアップですね(笑)。僕たちはサラリーマンで、ベンチャーさんから見たらリスク取ってないと思われるかもしれません。しかし、僕たちは僕たちでどうにかして社内を通そうとしているし、どうにかして実行しようとしています。それは分かって欲しいですね。新規事業担当者はみんなそうだと思うのですが。

味の素・野口氏 : あれっ、愚痴モード入っちゃっていいんですか?(笑)

森永製菓・渡辺氏 : 愚痴じゃないです!本当のこと!(笑)

味の素・野口氏 : オープンイノベーションや新規事業って、既存事業や研究開発と外部のアセットとのマッチングをしているんですよね。その上で、社内の合意形成にはものすごいエネルギーが必要なんです。

また、大企業ということで新規事業にも予算が潤沢だと思われるかもしれませんが、実はそうじゃない。結構厳しい目にあってたりします。

サントリー・鈴木氏 : ベンチャーさんにお会いする時、特徴を聞いても「ない」と言われることがたまにあります。私たちはベンチャーさんが独自で持っている技術やサービスを活かして、お互いにメリットがある新しいことを生み出したい、と思っています。何かあるからスタートアップをやっているはずで、その独自性を謙遜せずにアピールしていただきたいですね。

eiicon・中村 : 「新規事業はなかなか成果が出ませんが、どのように評価されているのですか?その評価に満足していますか?」という質問も…。

味の素・野口氏 : すぐに成果がでるものは、新規事業ではないですよね。立ち上げ期はすごく厳しいですから、相当な覚悟と意識がないと、大企業での新規事業は大変です。社内で辛い目に合って、評価されなくてもやり続けなければなりません。もちろん、事業が黒字化すれば、それなりの評価を受けられます。ただ、すぐに評価を求めるような人は、新規事業には向かないと思いますね。

全員 : (うなずく)

eiicon・中村 : 最後に一言ずつ、お願いします。

森永製菓・渡辺氏 : 森永アクセラレータープログラムや、事業立ち上げで、私も小さい規模ながら色々な新しいことを手掛けてきました。これから一緒にチャレンジしていきたい方、お気軽にお声がけください。

ハウス食品・上野氏 : まだ、当社のオープンイノベーションはよちよち歩きです。今後、CVCを通して様々な取り組みをしていきたいと思っています。新しい刺激を受けて、いいアイデアをどんどん出していきたいですね。

サントリー・鈴木氏 : 私たちは基本的にお話しをいただけたら、まずお会いするスタンスでいます。思いもかけないところからアイデアが生まれることもありますから、ぜひお声がけください。

味の素・野口氏 : eiiconを通じて、ぜひお声がけください。その際、あまり先入観を持たずに来ていただいた方が、意外と新たな展開があるかもしれません。

取材後記

人間が生きていくために欠かせない「食」。なくなることはないが、時代背景や社会課題に大きく左右される領域だ。従来、食品業界のビジネスモデルは小売流通業を介して消費者に商品を届けるものだった。

しかし時代が変わり消費者のライフスタイルや食に対するニーズや多様化してきたことで、食品メーカー自らが危機感を抱いている。そしてテクノロジーの発展により消費者の様々なデータが取りやすくなってきたことにより、食品メーカーが直接消費者と接点を持つようなビジネスを模索している。

その上で、各社が不可欠だと考えているのが、スタートアップをはじめとする外部企業との協業だ。「デジタルと食の融合」「リアルタイムな健康データ」「POSデータのその先」「既存技術を活かした新たな商品開発」など、様々な協業のヒントとなるキーワードが登壇者から上げられた。「同じビジョンを共有する」スタンスで、ぜひ食品メーカーとのオープンイノベーションに取り組んで欲しい。

(構成:眞田幸剛、取材・文:佐藤瑞恵、撮影:加藤武俊)

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  • 村上 英一

    村上 英一

    • 日本ポール株式会社 応用技術研究所
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