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数字からみるオープンイノベーション【VOL.1】

数字からみるオープンイノベーション【VOL.1】

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2018年に入り、数多くの国内大手企業がアクセラレータープログラムやイノベーションプログラムを実施するなど、新規事業への取り組みが活発化し、オープンイノベーションという手法が着実に浸透しているような印象を受ける。――では、果たして、オープンイノベーション先進国である欧米諸国や中国と比べるとその実情はどれほどのものなのか。そして、日本企業のオープンイノベーションに対する取り組みの実態はどうなのか。数字や図表をもとに、紐解いていきたい。 

日本企業の「売上高に占める新規領域の割合」は、大きく上昇

まず見ていきたいのが、日本企業がどの程度新規事業に取り組んでいるかのデータだ。2013年1月にデロイトトーマツが発表した「日本企業のイノベーション実態調査」から抜粋した【図1】を見ると、日本企業の連結売上高に占める新規領域の割合は、わずか6.6%にとどまっている。この数値として比較してみたいのが、アメリカと中国のデータだ。新規事業の割合が12%前後となっており、日本企業のおよそ倍の数値となっている。アメリカ、中国といったイノベーション先進国に比べると、日本企業は(2013年の調査段階では)既存事業を重視した戦略を取っていることが見て取れる。

【図1】

<出典>「日本企業のイノベーション実態調査~「成長企業」の創出に向けて~」(2013年1月)デロイトトーマツコンサルティング株式会社、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー株式会社 

そして次に、2016年3月にデロイトトーマツが発表した「イノベーションマネジメント実態調査2016」を見ると、以下のような数値を記録している【図2】。日本企業の売上高に占める新規領域の割合は、2013年の6.6%から14.1%へと大きく上昇。リーマンショックを経て経済回復の兆しが見えたことも背景にあり、この3年間で日本企業は新規事業に注力していることが明らかに見えてくる。

【図2】

<出典>「イノベーションマネジメント実態調査2016」デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

「革新性」について、米国企業に大きく水をあけられている

一方で、新規領域の「革新性」について見ていきたい。以下の【図3】は、新規領域のうち「周辺領域」と「革新領域」の売上高に占める比率のトレンドを日米で比較したものだ。

【図3】

<出典>「イノベーションマネジメント実態調査2016」デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

ご覧の通り、新規領域における売上比率は日米が同水準になっている。しかしながら、その内訳を見ると日本企業の新規領域の約75%が「周辺領域」となっており、市場においては既に類似のものが存在する状態だ。市場を驚かせるようなイノベーティブな商品・サービスを生み出すこと=革新性については、米国企業には大きく水をあけられている状況と見ることができる。

オープンイノベーションによる外部資源の効率的活用は徐々に増加

先ほどの図において、日本企業も次第に新規領域を重視する戦略を取っていることが分かってきた。実際に、新規領域を注力する上で、どのように新しいアイデアやリソースを確保しているのかついて見えていきたい。【図4】はJOIC・NEDOが2018年に発表した「オープンイノベーション白書 第二版」から抜粋したものだ。研究開発の進め方の変化について、「オープンイノベーションによる外部の資源の効率的活用」が大きくポイントを伸ばしている。新規領域に目を向け始めた日本企業が、オープンイノベーションを活用しようとしている姿勢が見て取れる。

 

【図4】

<出所>研究産業・産業技術振興協会「平成28年度民間企業の研究開発動向に関する実態調査」〜オープンイノベーション白書 第二版より抜粋

それを裏付けるデータが、【図5】だ。外部連携を進める組織を社内に設置している企業の割合が40%にまで上昇。事実、オープンイノベーション推進室などを新設し、社外との連携を積極化させている企業も多い。企業同士の出会いを創出するサービスやイベントなども、近年で急速に増えており、そうした場を活用してオープンイノベーションを進めていく事例も少なくない。

【図5】

<出所>経済産業省「平成28年度産業技術調査事業(我が国企業の研究開発活動の支援のあり方に関する調査)」〜オープンイノベーション白書 第二版より抜粋  

オープンイノベーションの実施率は、欧米企業の約1/2

次に注目したのは、オープンイノベーションの実施率だ。【図6】はその日米比較データだ。日本企業のオープンイノベーション活動の実施率は欧米企業より低く、およそ1/2という数値になっている。また、オープンイノベーションにおけるパートナーを見ると、「起業家・スタートアップ企業」の差が顕著となっている。これは日本企業の制度・ルールが旧態依然としており、契約・決済ルートの複雑さや起業家・スタートアップへの信用問題が背景にあると思われる。それを解決し、パートナーとの連携・協業をスピード化させることがオープンイノベーションを活発化させるための重要なファクターになるだろう。

【図6】

<出所>米山、渡部、山内、真鍋、岩田「日米欧企業におけるオープン・イノベーション活動の比較研究」学習院大学経済論集第54巻第1号をもとに作成〜オープンイノベーション白書 第二版より抜粋 

オープンイノベーションを実施しない、または中止した理由

最後に見ていきたいのが、「オープンイノベーション活動の成果測定指標」だ。この指標についてみると、欧米企業は日本企業と比較して様々な指標で成果を測定しており、特に予算といったインプット、実施された技術機会の数といった活動量も成果指標としているところに特徴がある。

【図7】

<出所>米山、渡部、山内、真鍋、岩田「日米欧企業におけるオープン・イノベーション活動の比較研究」学習院大学経済論集第54巻第1号をもとに作成〜オープンイノベーション白書 第二版より抜粋


【図8】

<出所>米山、渡部、山内、真鍋、岩田「日米欧企業におけるオープン・イノベーション活動の比較研究」学習院大学経済論集第54巻第1号をもとに作成〜オープンイノベーション白書 第二版より抜粋

また、【図8】は「オープン・イノベーションを実施しない、または中止した理由」を集計したデータだ。日欧米比較として顕著なのが、「実施するための経営能力や人材が不足している」という項目。こうした課題を解決するために、オープンイノベーションに特化した支援サービスも増えている。また、「人材不足」に関しては、「創る人の研究」の著者・田中聡氏でのコラム連載でも指摘されているように、実は人材ではなく”社内構造”に問題がある可能性も高い。オープンイノベーションを推進するためには、現状を客観的に理解し、課題を一つずつクリアにしていく必要があるだろう。

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  • 田上 知美

    田上 知美

    • 株式会社eiicon
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