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【特集インタビュー】IoTで複数のデバイスをつなぐ、日本初の「スマートホステル」を開業。新たな宿泊施設で描かれた未来の生活、そして、生み出されたビジネスの広がりとは。(前編)

【特集インタビュー】IoTで複数のデバイスをつなぐ、日本初の「スマートホステル」を開業。新たな宿泊施設で描かれた未来の生活、そして、生み出されたビジネスの広がりとは。(前編)

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スマートフォンを媒介することでIoTの可能性を高めていける。そう考えたand factory(アンドファクトリー)はSmartphone Idea Companyとしてスマートフォンを軸に様々な領域でビジネスを展開する中で、IoTの事業領域に着目した。生活のシーンを想定しながら、IoTの活用を考え、オープンイノベーションを駆使しながら数々のアイデアを具現化する同社。

2016年8月には福岡にIoTで複数のデバイスをつなぐスマートホステル「&AND HOSTEL(以下、アンドホステル)」をプロデュースした。IoTに関わるメーカーをアッと言わせ、脚光を浴びる同社と同施設。そこで成し遂げたかったこと、今後の展開を代表の小原氏にお伺いした。 

and factory株式会社 
代表取締役CEO 小原 崇幹(Takamasa Ohara) 
1984年生まれ。東洋大学卒業後、2009年にモバイルマーケティングを手がける株式会社zeronana入社。2011年にWeb広告代理店の株式会社docksを創業、取締役に就任する。2014年、「スマートフォンアイデアカンパニー」を掲げand factory株式会社を設立。代表取締役CEOとなり、現在に至る。  

■デバイスのつながりが生み出す「新しい家」「未来の生活」という概念。

グラモ/アトモフ/Qrio/ソニー/ディー・エム・ピー/エスキュービズム/ティ・アール・エイ/フィリップス ライティング ジャパン/オムロン/Beatrobo,Inc./ユカイ工学/ソニーといった、大手からベンチャーまで多くのメーカーが生み出した12のデバイスと技術(※)がつなげられているアンドホステル。 

施設の評判は上々で、周辺宿泊施設の稼働率は平均約60%と言われている中、アンドホステルは常に85%を超えている。一般の利用はもちろん、メーカーの開発者やセールス担当の視察も多いという。 

――非常に注目度の高いアンドホステルですが、IoTと宿泊施設という組み合わせを考えた背景を教えてください。 

小原:国内にはIoTのデバイスメーカーが多くあります。でも、基本的には製品を出すばかりで、「使われ方」はあまり考えられていません。良い製品なんだから買ってください、という主張なのですが、それだとIoTそのものが普及しないんです。一方、海外ではIoT市場が成り立っています。なぜかというと、「ホームセキュリティー」を軸にIoTが広まっているからなのです。日本はまだセキュリティーに対する感度は高くなく、市場が成り立ちにくい状況になっていました。 

日本ではどういう使われ方があるだろうか。浮かび上がってきたのは、あらゆるものがつながった「ホームコントロール」という概念です。生活の中でIoTが使われているシーンを想像し、生活の一部を切り取った宿泊という場で見せることにしたのです。IoTが織りなす未来の家、未来の生活を紹介し、日本に広めていこうと考えました。 

――その結果、アンドホステルは大きな反響を呼びました。評判のいいデバイスはありますか。

 

小原:(社内の壁を指さして)これ(アトモフウィンドウ)はとてもいいですよ。個人のお客様が気に入って買っていきます。アトモフさん曰く、生産が追いつかないとのことです。一見、景色が映ったただの額ですが、スマホをリモコンにして操作すれば、景色を変えるのはもちろん、カレンダーや時計を映し出すことができます。スケジュール表として機能させるなどの使い方も可能です。中に入れる写真を公募すれば、写真の新たな市場を創り出すこともできると考えています。 

――確かに欲しくなりますね。

 

小原:完成度という点ではPhilipsのHUE(ヒュー)があります。HUEそのものは電球ですが、インジケーターとして使うことで、新しい価値を生み出すことができました。HUEはAPIを公開しており、そもそも他と連携して使われることが前提になっています。使い方をユーザーに委ねているので、私たちもいろいろなシーンを作っていけたと思います。 

実はこのオフィスでも使っていて、SONYの人感センサー、MESH(メッシュ)と連携させ、使用中の会議室やConcentration Roomを外から簡単に確認できるようにしています。そうすることで、空き部屋を探す煩わしさや、誰かが来て集中力が途切れるということから解放されました。  

■次は、IoT×ヘルスケアで、新たな価値の創造を目指す

――アンドホステルは一つの成功事例と言えます。今後展開はどのように考えていますか。 

小原:現在、多くの企業から協業を呼びかけられています。同じ形態のホテルを都内に出す計画のほかに、他の領域にも進出予定です。具体的には、学校や介護、スポーツジムから声がかかっています。また、あるメーカーからの依頼で、共同でデバイス開発に取り組んでいます。私たちがマーケティングデータを提供し、そのデータをもとにデバイスを作っていくのです。 

――特に力を入れたい分野はありますか。世の中を変えていきたいことなどあれば、教えてください。 

小原:一つが今取り組んでいる「未来の家」。これはこのまま続けていきます。それともう一つ、踏み込んでいきたいと考えているのがヘルスケアの領域です。IoTはヘルスケアと親和性が高く、組み合わせることでこれまでできなかったことができるようになります。今はさまざまな機能がバラバラに存在しているので、それをつなげます。そうすると、受け身で生活していても、自分の健康状態がかなり明確にわかるようになるのではないでしょうか。そういったことにチャレンジしていきたいなと思っています。


デバイスメーカーなど10社超と協業し、IoT×宿泊施設=スマートホテル「&AND HOSTEL(アンドホステル)」というイノベーティブなサービスを具現化させた小原氏。この実現のために、重要となったのは「IoTデバイスがうまく活用されていない」という国内マーケットの課題を的確に捉え、分析する力だったと言える。共通の課題があるからこそ、オープンイノベーションが加速し、新たな宿泊施設が成功を収めるに至ったのだ。

11/28公開のインタビュー後編では、小原氏にオープンイノベーションの具体的なノウハウについて語ってもらった。 

(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:加藤武俊)


※アンドホステルの採用デバイス及び技術協力社(順不同/2016年8月開業時) 
●iRemocon(株式会社グラモ) …スマホやタブレットと連携できるネットワーク接続型の高機能学習リモコンです。
●Atmoph Window(アトモフ株式会社) …お部屋にいながら世界の美しい風景が広がる新しいデジタル窓です。
●Qrio Smart Lock(Qrio株式会社) …世界最小の接地面積で様々な条件のドアに取り付けられるスマートキーです。
●SmartEyeglass(ソニー株式会社) …視線を大きく変えることなくハンズフリーで様々な情報を取得できる透過式メガネ型端末です。
●AR技術協力(株式会社ディー・エム・ピー) …SmartEyeGlassを使用した福岡観光ガイドをディー・エム・ピー社と連携し、開発を推進していきます。
●スマート宅配BOX® (株式会社エスキュービズム・テクノロジー) …ボックスにアプリをかざすだけで鍵の開閉ができるスマートな宅配ボックスです。
●Sleepion(ティ・アール・エイ株式会社) …光・香り・音という3要素により使用者の睡眠をマネジメントする世界初の製品です。
●Philips Hue(フィリップス ライティング ジャパン合同会社) …スマホを使い、調光や1600万色以上もの調色ができるスマートLED照明です。タイマーを使えば光の目覚ましにもなります。
●ヒューマンビジョンコンポ(HVC-C2W)(オムロン株式会社)
●PlugAir(Beatrobo,Inc.) …イヤホンジャックを通して様々なコンテンツを楽しむガジェットアプリです。
●BOCCO(ユカイ工学株式会社) …スマートフォンのアプリと連動し気軽にメッセージのやり取りが出来るロボットです。
●MESH(ソニー株式会社) …様々なブロック型センサーとアプリにより、IoTの仕組みをカンタンに自分で作ることができます。

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