女性をはじめとする多様な人々が、しなやかに活躍できるような社会を創出するイベント「MASHING UP」が東京都渋谷区のTRUNK HOTELで開催され(2018年11月29日〜30日)、このうち女性起業家たち4人によるピッチ大会はeiiconがスポンサードした。

eiicon company代表の中村亜由子が審査員の一人を務め、その他、元ほぼ日CFOの篠田真貴子氏などの有識者が各ピッチをジャッジした。

ピッチは成長性・市場規模、優位性・ユニークさ、社会的インパクト、プレゼンでMASHING UPされたかが評価基準。なお、司会は株式会社iSGSインベストメントワークス取締役 代表パートナーの佐藤真希子氏が務めた。詳細と結果は以下の通りだ。


美容に特化した定額サービスを展開

▲株式会社Jocy 代表取締役 鈴木みずほ氏

同社はシャンプー・ブロー、ヘアケアに特化した定額サービス「MEZON」を展開。同サービスを始めたきっかけを鈴木氏は「どんなに気分が晴れない時でも美容室に行くと笑顔になれるから」と話し、会社員時代に大事なプレゼンの前に美容室に行くことで通過率が上がったことから「提供しているのは自信」と強調した。MEZONは現在、厳選した80の美容室と提携し、ユーザーは2500人を突破しているという。現在は女性向けのみだが、2019年にはメンズも展開し、21年までに会員数1.7万人としたいと意気込みを見せた。

審査員からは、「ユーザーはどんな方が多いか?」との質問があり、それに対し鈴木氏は「20~50代のキャリア女性が多い」と返答。また、提案した96%もの美容室と提携に至っているが、その大きな要因の一つに美容への意識が高いユーザーが獲得できることにあると伝えた。


深部体温に着目した新デバイス

▲株式会社HERBIO CEO 田中彩諭理氏

同社は深部体温を計測するウェアラブルデバイス「ピコット」を展開。田中氏は自身や家族の体験を通じ、「健康を維持するために深部体温に着目した」と話す。現在、既存の計測器は、スポット使用が中心という側面があり、正確性や使い勝手の面で難があるという。その点、ピコットは継続的に計測ができ、かつ違和感なく装着し続けることができる。就寝中に体温と心拍を10分程度連続で計測ができるという。

計測結果はクラウドに上げられ、異常を検知した場合はアラートを発し、迅速の対応が可能になる。個々の深部体温を把握することで、体のバイオリズムや病気の前兆はもちろん、適切な筋トレのタイミングもわかるようになることのことだ。ピコットは来春に予約販売の予定で、グローバルな展開も見据えている。eiicon中村は「子どもがつけても外れることなどはないのか?」と質問。それに対し田中氏は「違和感なく安心して装着できる」と回答した。


家庭の健康を、「食」を通じてサポート

▲株式会社シェアダイン 代表取締役CEO 飯田陽狩氏

同社は食の専門家と家庭をつなぐ出張料理サービス「シェアダイン」を展開。赤ちゃんから子ども大人、年配の方までの健康を、「食」を通じてサポートする。同サービスを始めたのは、飯田氏自身が働き手ということもあり、「食を顧みることがほとんどなかった」ことに由来する。シェアダインでは、離乳食やホームパーティーなどをキーワードに食の専門家を探し、自宅などに招くことができる。訪問は1回3時間で16食分相当の食事を作り、調理のポイントやレシピを共有してもらえる仕組みだ。

飯田氏はサービスのポイントを専門家の量と質がポイントと考えているが、現状、管理栄養士と調理師の数は増えており、持続的な競争力はあると強調した。今後は、食品メーカーなどの提携の計画があるという。


受付業務のシステム化で生産性が向上する

▲ディライテッド株式会社 代表取締役CEO 橋本真里子氏

同社はクラウド型受付システム「レセプショニスト」を展開している。橋本氏はいわゆる受付嬢として11年に及ぶ経験を持っているが、「来客者の取次で時間を要することが多く、業務時間を奪っているのではないか」と感じたことをもとにサービスを開発した。同サービスでは事前に登録しておくことで、来訪時に担当者に通知を送ることができる。通知はPCやスマホなどのデバイスに送られるので、すぐに来訪に気づける仕組みだ。リリースから2年未満で既に1200社以上で導入されている。

ユーザーからは「来客対応の時間が大幅に減り、本来の業務に集中できるようになった」との声が上がっているという。審査員からは蓄積されたデータはビジネスと活用するのか?」との質問があった。橋本氏は「レセプショニストはもともとデータの活用を目指しており、現在はその前段階として安価で提供している」と答えた。


4名の女性起業家のピッチ。優勝したのは…?

この後、eiicon中村から優勝者の発表があった。優勝したのは株式会社HERBIOの田中彩諭理氏。「ビジネスステージはまだこれからの段階だが、グローバルな展開も見ており飛躍の可能性が大きい。また、必要としている人も多い領域ということもポイントになった」と、eiicon中村は同社サービスを高く評価した。

優勝を受けて田中氏は、「ピコットは研究段階からようやく製品になるという段階のもの。それにも関わらず高く評価してもらい本当に嬉しい。私自身、身近な人の変調に気づかず亡くすという経験があり、研究を行ってきた。日本はもちろん、海外にもサービスを広げていきたい」と改めて決意を新たにした。

この他、Jocy・鈴木氏に対しては、「美容院側のビジネスモデルを変える可能性を持っている」、シェアダイン・飯田氏については、「自身の経験をもとにしたサービスで、ぜひ使ってみたい」、そしてディライテッド・橋本氏に対しては「経験を形にするという、起業までのストーリーが素晴らしい」といった声が審査員からあがった。


取材後記

「多様性/ダイバーシティー」がビジネス界の一つのキーワードとなって久しいが、今どれだけ女性が活躍しているのかと言えば、男性に比べると絶対数はまだまだ圧倒的に少なくなるだろう。しかし、今回登壇した女性起業家たちを見ていると、自身の経験から社会課題を見つけ、それをパワフルに事業化していく姿が非常に印象的だった。これからのますますの飛躍が予見させられるピッチとなった。

(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:加藤武俊)