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シリーズ「イノベーション支援の雄」 VOL.1 | ニジボックス流「UXコンサルティング」の真髄とは?

シリーズ「イノベーション支援の雄」 VOL.1 | ニジボックス流「UXコンサルティング」の真髄とは?

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革新的なプロダクト&サービス開発には、「ユーザーインサイト」を的確に捉えることが重要――。こうした発想は、今やモノづくりの常識とも言えるが、その一方で「どうやってユーザーの声や視点をどうやって集め、どう活かせばいいのか」と悩む企業も少なくない。そんな課題を解決するべく、「UX(ユーザーエクスペリエンス)コンサルティング事業」を展開しているのが、株式会社ニジボックスだ。

2010年11月、株式会社リクルートのR&D機関メディアテクノロジーラボより分社独立した同社は、モバイル向けコンテンツプロバイダ事業やソーシャルゲーム事業で実績を残してきた。さらに、リクルートグループの一員として培った新規事業開発やWEBサービス立ち上げのナレッジを最大限活用し、事業を0からつくり上げるためのアイデア出しからサービス実装、リリース後の改善施策までをサポートするUXコンサルティング事業を立ち上げている。

ニジボックスの執行役員・丸山潤氏は、「伴走型のUXコンサルティングを行うことで、1社でも多くの企業にその重要性を伝えたい」と語る。――丸山氏が考えるUXの価値とは?そして、UXコンサルティングが活きる企業とは?今回は丸山潤氏と、元ニジボックス社長で現在は企業内新規事業支援を手掛けるアルファドライブ・麻生要一氏との特別対談を実施した。

【写真右】 株式会社ニジボックス 執行役員 丸山潤氏

株式会社アイ・エム・ジェイでフロントエンジニア・WEBデザイナーとしてキャリアを積んだ後、2011年リクルートホールディングスに入社。創業期の株式会社ニジボックスに出向し、ソーシャルゲーム開発などに携わった後、WEB制作開発事業部の事業部長兼UI/UX制作室の室長に就任。営業からモノづくりまでマルチなスキルを武器に、大手クライアントなどに対する新規事業のUX提案を手掛けている。また近年は、リクルートの新規事業のUXチームをまとめ、「UX Sketch」という新イベントを立ち上げ、ブランディング活動にも取り組んでいる。

【写真左】 株式会社アルファドライブ 代表取締役社長 兼 CEO / ファウンダー 麻生要一氏

株式会社リクルート(現リクルートホールディングス)に入社後、ファウンダー兼社長として株式会社ニジボックスを立ち上げ、経営者としてゼロから150人規模まで事業を拡大後、ヘッドクオーターにおけるインキュベーション部門を統括。社内事業開発プログラム「Recruit Ventures」及び、スタートアップ企業支援プログラム「TECH LAB PAAK」を立ち上げ、新規事業統括エグゼクティブとして約1500の社内プロジェクト及び約300社のベンチャー企業・スタートアップ企業のインキュベーションを支援した経験を経て、自らフルリスクを取る起業家へと転身。2018年2月に企業内インキュベーションプラットフォームを手がける株式会社アルファドライブを創業。また、2018年4月に医療レベルのゲノム・DNA解析の提供を行う株式会社ゲノムクリニックを共同創業。2018年6月より「UB VENTURES」ベンチャー・パートナーへ就任。2018年9月より株式会社ニューズピックスにて非常勤執行役員に就任し、企業内起業家としてNewsPicks for Businessの事業開発を担当。

モノづくり経験をベースに誕生した、UXコンサルティング事業。

――現在ニジボックスさんでは、UXデザインコンサルティングとWEBサイト・アプリ構築を中心とした制作事業を展開されていると伺っています。これは麻生さんがファウンダー兼社長だった時代から続いているのでしょうか?

アルファドライブ・麻生氏 : いや、UX関連の事業は手がけていなかったですね。僕がニジボックスの社長に就任したのが2013年なんですが、当時のスタートアップ界はコンテンツプロバイダやプラットフォーマーがあふれていて、作り手が不足している状況だったんですね。

そこで僕らは、「制作の会社、モノづくりの会社になろう」「作る力をコアバリューにするのだ」と明確に方針を打ち出して、上流から下流までを一気通貫で提供するインターネットサービスの開発事業をスタートさせました。どんなに素晴らしいプラットフォームがあっても、結局は手を動かしてバナーを作ったり、魂をこめて制作している人が一番尊いし、何より価値があるんじゃないかと考えたわけです。

――では、UX事業はどのようにスタートしたのでしょうか?

ニジボックス・丸山氏 : 2016年に麻生さんが退任された頃に、僕と同僚の2名で「オンラインサービス開発事業部」という事業部を立ち上げまして。

当初は制作開発を主軸としていたのですが、僕も同僚も元々”作る側”の人間だったものですから、「これからのモノづくりでは、ユーザー視点=UXが重要になるのではないか」という意識を強く持っていったんです。そこで、1年以上かけてUXを徹底的に研究し、2017年頃からソリューション展開していきました。

アルファドライブ・麻生氏 : 僕の時代は「WEBサイトやインターネット世界におけるプロダクトを作る」という領域設定でしたが、丸山さんが手掛けるUXコンサルティングは、“モノづくり”をさらに上流工程の「ビジネス開発の領域」へと発展させたわけですね。

ペルソナごとに異なる「ユーザーの声」をきめ細かく収集。

――プロダクト開発にUXコンサルティングが必要な理由・背景について伺えますか?

ニジボックス・丸山氏 : プロダクトを制作する場合、まずはクライアントと制作会社の2社間で実現可能性を話し合うのが基本ですよね。クライアントの要望を聞き、その情報をもとにしつつ、他のプロダクトやWEBサイトなどを参考にして仕様を検討していくわけですが、これだとプロダクトの先の「ユーザーの視点・声」が不在になってしまう。そうなるとニーズのない機能が生まれたり、クライアントと制作サイドの間で考えにズレが生まれ、いわゆる“炎上案件”になったり。さまざまなリスクが高まります。

――ユーザー視点を取り入れれば、モノづくりがもっとスムーズに進むと。

ニジボックス・丸山氏 : そうです。第三者であるニジボックスがユーザーの声を集め、分析することで、クライアントと制作者とユーザーの「いいね」が交わる部分を見出せるようになる。そうすればクライアントの満足度も高く、プロダクトの質も単に見栄えがいいものではなく、ユーザーにとって本当にいいものができるわけです。

アルファドライブ・麻生氏 : 実際、UXコンサルティングはどうやって進めていくんですか?

ニジボックス・丸山氏 : クライアントによって課題はさまざまで、手法もその都度変えています。ただ基本的には各プロダクトのユーザーをペルソナの属性ごとに分類し、そのペルソナにマッチする方を数名ずつ集め、インタビューやテストを行います。そして集めたユーザーインサイトをもとに、仮説・分析・検証を積み重ねる形です。

――漫然とユーザーを集めるのではなく、ペルソナごとに区分けするのですね。

ニジボックス・丸山氏 : 最近の具体例をあげると、あるストリーミングサービスの企業さんから、「機能追加をしたい」と相談をいただいたことがありました。

先方は、ユーザーの趣味嗜好に合わせてオススメコンテンツを表示する“レコメンド機能”を検討していたそうなんです。そこで、「同業他社のサービスのユーザー」「テレビ・ラジオなど既存メディアのユーザー」など、ペルソナごとに分類してユーザーインタビューを行ったところ、レコメンド機能が刺さったのは、同様のサービス利用者のみだということが明らかになりました。この結果にはクライアントも「ユーザーはこんな風に考えているのか」と驚かれていましたね。

伴走型のコンサルティングで、1→100を支援する。

――麻生さんは現在、さまざまな企業の新規事業支援に取り組んでいますよね。その麻生さんから見て、ニジボックスのUXコンサルティングの価値をどのように感じていますか?

アルファドライブ・麻生氏 : 僕らアルファドライブは0→1のサポートを行っていますが、UXコンサルティングが価値発揮するのは、1を100にしたい時じゃないでしょうか。

たとえば、すでにプロダクトがあり、200万人のユーザーがいるものの、「最近受け入れられていない感じがする」という場合。UXコンサルティングが入ることで、ユーザーを実は10くらいのセグメントに分類できるとか、どのセグメントが一番ホットで、どんな価値を求めているのかとか、さまざまな気付きを提供できる。それはすごい価値があると思います。

ニジボックス・丸山氏 : 僕らは現在、大手電機メーカーさんや証券会社さんなどとお取引させてもらっていますが、「ユーザー視点は大事だと考えているものの、具体的な手法が分からなかった」という企業が多いですね。

そうした課題を解決するために、僕らは伴走型でクライアントと一緒にプロジェクトを進めていき、インタビューなどの定性調査であっても回答ごとにポイントをつけて定量データを収集する。そうやってお客さんを巻き込みながら進めるため、お互いの満足度も高く、「方向性がズレる」といったことも無くなるんです。

アルファドライブ・麻生氏 : ネット領域だけでなく、あらゆる業界・業種の「UX領域」をサポートしている点もユニークだよね。それに会社の成り立ちとして、「自分たちでサービスを作り提供してきた」というDNAがあるから、クライアントと同じ視点で伴走ができる。これも強みでしょうね。

――最後に、UXコンサルティング事業の今後のビジョンを伺えますか?

ニジボックス・丸山氏 : アメリカでは老舗銀行などがインハウスでUXのチームを持ち、それがリーマンショックを乗り越える原動力になったという事例もあり、UXデザイナーの重要性が非常に高まっています。その一方、日本ではUXの認知度や需要がまだまだ低く、一説には日米で7倍以上の差があると言われています。

ですから、僕らニジボックスが業界をけん引する形で、UXコンサルティングに対する認知度や重要性、存在感を高めていきたい。そのためにも、ひとつでも多くの企業・プロダクトをサポートしていけたら嬉しいですね。

取材後記

麻生氏が指摘したように、ニジボックスの「UXコンサルティング」は1→100に事業を発展させる際に大きな武器となるだろう。特に同社のコンサルティングの強みはペルソナの設定や分析。ときにはアナログな手法を取り入れながら属性にマッチする人を探し出し、インタビューを実施して丁寧にインサイトを拾い上げていく。――事業を活性化させたいと考えている企業にとって、ニジボックスは大きな価値を生み出すパートナーとなるだろう。

※ニジボックスのUXデザインコンサルティングの詳細情報はこちら(https://eiicon.net/tools/3

(構成:眞田 幸剛、取材・文:太田将吾、撮影:加藤武俊)

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