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最優秀賞は「仙台丸ごとボールパーク構想」 | 【仙台市×楽天イーグルス】エンターテックアイデアソンで採択された、まちとファンをワクワクさせるビジネスアイデアとは?

最優秀賞は「仙台丸ごとボールパーク構想」 | 【仙台市×楽天イーグルス】エンターテックアイデアソンで採択された、まちとファンをワクワクさせるビジネスアイデアとは?

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以前、eiiconのインタビュー記事でもお伝えした【仙台市×楽天イーグルス エンターテックアイデアソン】が、2019年2月2日〜3日に楽天生命パーク宮城で開催された。

これは、仙台市のITビジネスエコシステムの構築を目指す『SENDAI X-TECH Innovation Project』の一環として行われたもの。本アイデアソンでは、“ファンをワクワク!させるスタジアムソリューション”と、“まちをワクワク!させるコラボレーション”というテーマのもと、楽天イーグルスの試合、来場者並びにスタジアムでの購買などに関するデータや各種施設などのリソースを活用し、仙台市、そして仙台市内外のIT企業と共創することで、エンターテインメント×テクノロジーで人々をワクワク!させるためのコンテンツ創出を目指している。

▲アイデアソンの会場となったのは、楽天生命パーク宮城内にあるイーグルスドーム。

アイデアソンには、仙台市内のみならず東京などからも参加者が集まり、総勢10チームが組成され、上記テーマに取り組んだ。また、メンターは楽天グループや仙台市以外にも、SAPジャパンやJR東日本スタートアップなどからも経験豊富な面々が集結。10チームのビジネスプランのブラッシュアップに務めた。(具体的なメンター陣は下記参照)

<メンター(合計10名)>

■楽天株式会社 Media & Sports Company スポーツサービス開発部 シニアマネージャー 兼 Investment & Incubation Company インキュベーションサービス開発部 シニアマネージャー 小野晋太朗氏

■楽天株式会社 Media & Sports Company スポーツサービス開発部 マネージャー 福田睦美氏

■株式会社楽天野球団 ボールパーク本部 本部長 川田喜則氏

■株式会社楽天野球団 事業本部 本部長 大石幸潔氏

■株式会社楽天野球団 マーチャンダイジング部 部長 渡辺誉志氏

■株式会社楽天野球団 経営企画室 室長 江副翠 氏

■SAPジャパン株式会社 エヴァンジェリスト&コミュニティマネージャー Business Innovation Network 吉越輝信氏

■JR東日本スタートアップ株式会社 営業推進部 マネージャー 阿久津智紀氏

■仙台市 経済局長 遠藤和夫氏

■仙台市 文化観光局長 天野元氏

なお、アイデアソンにて選出されたビジネスプランは、その後のインキュベーションを経て、3月21日のデモデイにて最終案を発表。楽天生命パーク宮城で開催される楽天イーグルスの一軍戦や、仙台市のスポットにて実証実験を進めていく。また、アイデアソンの最優秀賞には、スペシャルスタジアムツアー付野球観戦への招待と凸版印刷賞として賞金20万円を贈呈、さらに参加者全員を2019年に楽天生命パーク宮城で開催される楽天イーグルス一軍戦に招待するといった特典も付いている。

10チームが提案したアイデアとは?

参加した10チームが2日間かけて創出したアイデアはどのようなものだったのか、プレゼンテーション順に見ていきたい。

①チーム「迷球会」

楽天イーグルスのユニフォームを身にまとったチーム「迷球会」が提案したのは、『新しい楽天edyのカタチ』と『エンターテック・ガジェット』の2つのアイデアだ。楽天イーグルスのキャップやリストバンドにedyを埋め込むことで、新しい決済の形を創出。また、エンターテック・ガジェットは、鼓動演出などにより、試合の日に家からスタジアムまでのワクワクを演出する。さらに、音やコンテンツの収集を目的としたスタジアム散策やテレビの前でも会場との一体感を演出する機能などを付帯させる。これによって、グッズ販売促進やコアファン層の拡大、顧客データの精度向上や平日の集客を高めるといったメリットを見込んでいる。

②チーム「ニューロマジック」

『会いに来るイーグルス選手 〜60秒間のユニフォームデート〜』というアイデアをプレゼンテーションしたのはチーム「ニューロマジック」。楽天イーグルスのユニフォームを着用することがチケット代わりとなり、仙台市内の繁華街に設けられたポップアップショップに入室。室内にARミラーが設けられ、顔認証×AIによって登場選手が決定し、ARミラーに選手の姿が映し出される。60秒間、バーチャル上の選手と共に密会ができるという仕組みだ。ミラーに映し出された選手との撮影もでき、SNSなどで画像拡散もできる。これらの施策により、ライトファンの質を向上させ、コアファンの満足度も向上。さらにユニフォームの購入促進やPR効果なども図り、【世界一ファンを愛している、ファンを大切にしている球団】を目指すことができるというアイデアだ。

③チーム「tolavi」

チーム「tolavi」は、『仙台クリムゾンレッド大作戦』を提案した。これは、年間170万の楽天スタジアムユーザーによる仙台市活性化アクティビティを実施しようというもの。市内全域にリリーフカーを走らせ、探したり乗ったりするアクティビティや、試合当日にユニフォームを使って仙台市内を舞台にした陣取りゲーム、そして「光のイーグルロード」と名付けた街中のライトアップといった施策を考案。楽天ファン、楽天、仙台市が一体化して、仙台全体のワクワクを作り出し、年間10億円以上の経済効果を生み出すという試算だ。

④チーム「ベッカム」

オンライン上で世界観を提供するアイデアをプレゼンテーションしたのは、チーム「ベッカム」。楽天サイドではビッグデータを収集し、各種購買行動を予測・管理。仙台市サイドでは、市内の実店舗でお金を落とし、東北への観光を促進する。そして、ユーザーは、楽天の仕組みを利用することで日々の生活に関する事柄を一括で手がけられる仕組みだ。具体的には、トイレ・飲食店の混雑度をアプリ内に表示させたり、ユーザーが歩くことでポイントを貯めたりすることなどが可能となる。

⑤チーム「元気玉」

次に提案を行ったのは、チーム「元気玉」。『センサーデータ活用による新しいエンターテインメントと地域活性化』というアイデアを起案した。選手のユニフォームに搭載されたウェアラブルIoTデータやTrackmanデータ、選手追尾カメラなどを掛け合わせることにより、新しい体験型エンターテインメントを提供するというプランになっている。具体的には、選手の心拍数データとスタジアムの座席を連動させ、心拍数によって座席がリアルタイムに振動するといったものだ。さらに、楽天イーグルスの選手がピンチになったときに、楽天スーパーポイントを使って応援し、スタジアムの電光掲示板や仙台駅に応援の度合いを示すといったアイデアも提案された。これらにより、楽天の新規顧客獲得に貢献し、街中の飲食店とコラボレーションして仙台の地域経済にも貢献するという。

⑥チーム「フォトビーズ団」

『広告価値を高めるワクワク次世代看板』を提案したのは、チーム「フォトビーズ団」。実際の看板を作るのではなく、スタジアム内や仙台駅などに新たに設置するフォトスポットで撮影することによって仮想空間に“看板”が出現。一般のユーザーが広告のビジュアルとして“看板”の中に入るという新体験をユーザーに提供。さらに、広告媒体として枠を販売するというビジネスモデルを構築するという。

⑦チーム「Rex」

続いては、チーム「Rex」が『楽天生命パーク宮城のファン倍加プロジェクト』をプレゼンテーションした。楽天生命パーク宮城を座席数世界一、熱量世界一のボールパークへ!というビジョンを掲げた同プロジェクトでは、応援スポット「イーグルスアイSPOT」を提供。仙台市内の象徴的なランドマークとして「イーグルスアイSPOT」を設置して、それをスマホで動画・写真を撮影して送るとスタジアムのビジョンなどで映し出される。また、TVが活用できる店舗に「イーグルスアイSPOT」のミニキットを配布し、試合中の店内の盛り上がっている様子が撮影され、それもスタジアムのビジョンなどで放映されるという仕組みだ。

⑧チーム「スポーツ都市化構想」

顧客セグメントを“小中高大の学生”に絞り、『スポーツ指導支援アプリ』を提案したのは、チーム「スポーツ都市化構想」だ。これは、アスリート(および家族)の上手くなりたい・繋がりたいというニーズを満たすアプリ。アプリを通して身体特性・動きを分析し、個別のアドバイスをして、解決策を提示するというものだ。楽天イーグルスは選手データやお手本動画・解説動画をアプリ側に提供。そこで蓄積されたデータをユーザーに提供する。ユーザーは、アプリに課金するというビジネスモデルだ。このアプリ導入によって、将来的には仙台がスポーツ都市へと成長し、人口流入やO2Oによる観戦者数の増加などが見込めるという。

さらに、同チームは楽天イーグルスのライトファンの獲得に向けたプランも提案した。具体的な企画内容は2つ。スタジアム参加型企画である「Let’sセンシングダンス(仮称)」と「世界に一つだけの応援パネルポスター×巨大AR企画」だ。「Let’sセンシングダンス(仮称)」は、スタジアムでの試合観戦中にランダム抽選されたファンが、東北ゴールデンエンジェルスと一緒にダンスを踊り、センシング技術を用いて比較するというもの。うまく踊れたファンには特典を贈り、それを仙台駅前の大型モニターなどにも展開して街全体を巻き込んだダンスイベントとして恒例化する。また、「世界に一つだけの応援パネルポスター×巨大AR企画」は、モザイクデジタルプリント技術を応用することで世界に一つだけのポスターを作ったり、AR技術によるオリジナルイベントを作ったりするといったアイデアとなる。

⑨チーム「iTeam」

チーム「iTeam」の提案は、『Throw Coin -応援をもっと身近に-』というもの。用意したアプリ上のコインをスワイプさせることで、Throw Coin(投げ銭)の要領で楽天イーグルスの試合に応援を送ることができる。スタジアムのモニターに応援の度合いを表示することで、ファンの応援を可視化させる。

⑩チーム「ずんだ組」

最後に提案を行ったのは、チーム「ずんだ組」。同チームのアイデアは、『仙台丸ごとボールパーク構想』だ。同チームは、球場にわざわざ行かないライト層が500万人いると算出。この500万人に対してエンタメ体験として野球を楽しんでもらう必要があると言う。ライト層の分析から気づいたのは、“野球体験のライブ感を仙台全体に拡げる”・“ライト層は「一緒に観る人」がいれば観る”というもの。そこで、仙台市の至る所に野球がある、スポーツがすぐそばにある状態を作り出すために、居酒屋やバー、映画館で観戦・応援でき、気軽に一緒に観る人を見つけるサービスをプレゼンテーションした。

採択されたのは、3チーム。最優秀賞は『仙台丸ごとボールパーク構想』!

以上のように、10チームのアイデアが出揃った。これらのアイデアに対して、10名のメンター陣が以下4つの軸から公平な目線で評価を行い、3チームのアイデアが採択され、3月21日のデモデイに進むことになった。

<評価軸>

■実現可能性:実現に向けての計画や、規制の考慮などを考えているか                                                     

■市場性:製品・サービスを利用する人を想定しているかどうか 、市場規模はあるか、競合分析・競合優位性はあるか

■収益性:ビジネスモデルが考えられているか                                            

■新規性:アイデアのオリジナリティと、テーマであるファンとまちをワクワク!させるアイデアかどうか                            

採択されたのは、

チーム「ニューロマジックチーム」の『会いに来るイーグルス選手 〜60秒間のユニフォームデート〜』、

チーム「iTeam」の『Throw Coin -応援をもっと身近に-』、

チーム「ずんだ組」の『仙台丸ごとボールパーク構想』の3つ。

――この中から、チーム「ずんだ組」の『仙台丸ごとボールパーク構想』が最優秀賞を獲得した。

『仙台丸ごとボールパーク構想』というアイデアに対して、楽天野球団・江副氏は、「まちからスタジアムへ、スタジアムからまちへと双方向でファンや市民をワクワクさせ、マッチングさせることができると感じた」と選出理由をコメント。さらに、本アイデアソンの特別スポンサーである凸版印刷の佐藤氏は「10チーム全て甲乙付け難かったが、ずんだ組のアイデアが最もお客様にとって“あったらいいな”を感じさせるものだった」と話した。

▲凸版印刷株式会社 東日本事業本部 ビジネスインキュベーション本部 本部長 佐藤宏光氏

また、「ずんだ組」の代表者は、「アイデアソンやピッチなどで採択されるのは初めてで、とても嬉しい。僕たちは今、スポーツやアートといった領域で、自分では一歩踏み出せない方々を支援するマッチングアプリを作っている。このアイデアソンを通して、スポーツを一緒に盛り上げることを支援していきたい」と感想を述べた。

全体講評としては楽天・小野氏(下画像)は「楽天の中でも新規サービスを作る“ムーンショット”というアイデアピッチをウィークリーで開催しているが、なかなかまとまらない。この2日間で、揺れ動きながらここまでアイデアを練りこんでいったのは、すごい。いいアイデアが多く、私たちも勉強になった」と話した。

続けて楽天野球団・川田氏(下画像)は「2日間があっという間だった。今回は4つの軸で評価し、採択したが、採択できなかったアイデアも僅差だった。そろそろ楽天イーグルスはシーズンインするが、残念だったチームも試合を観にきて、ぜひアイデアを膨らませてほしい」と語った。

そして最後に仙台市経済局長 遠藤氏(下画像)は「この2日間で各チームメンバーそれぞれが成長を実感できたと思う。仙台市も今後も、積極的に新しい取組みを仕掛けていく。その時はぜひ手を挙げてほしい」と語り、アイデアソンを締めくくった。

3月21日までに、採択されたチームのアイデアがどのように進化していくのか。今後もレポートしていきたい。

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:古林洋平)

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