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国や町工場が、「ものづくり系スタートアップ」の挑戦を支える

国や町工場が、「ものづくり系スタートアップ」の挑戦を支える

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宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所(JAXA・ISAS)の小惑星探査機「はやぶさ2」は、日本時間2019年2月22日、地球からおよそ3億km離れた小惑星リュウグウの表面へのタッチダウンに成功した。

「はやぶさ2」はリュウグウのサンプルを採取する装置(サンプラー)を備えている。タッチダウンでは、リュウグウ表面にサンプルを取り込むサンプラーホーンという部位を押しつけ、その瞬間に弾丸を表面に向けて発射、破砕されて舞い上がった表面のサンプルを採取する。――このサンプル回収のミッションを支えているのが、神奈川・横浜市にある町工場、下平製作所の高い技術力だ。同社はサンプル回収を行う装置の部品製造を手掛けた。

はやぶさ2のミッション成功に不可欠だった、日本の”ものづくり技術”。老舗のものづくり企業だけではなく、近年ではものづくり系のスタートアップの躍進も注目を集めている。

ものづくり系スタートアップと家族のような関係を構築し、支える浜野製作所

そうしたものづくり系スタートアップを支えている一つの例が、連載シリーズ「リアル下町ロケット」(※)にも登場してもらった東京・墨田区で金属加工業を手がける浜野製作所だ。1978年に創立した同社は金属加工技術に高い評価を得ており、深海用小型フリーフォール型無人探査機「江戸っ子1号」の開発プロジェクトにも参画。さらに、自社工場内にインキュベーション/コワーキングスペース「ガレージスミダ」を併設しており、ものづくり系スタートアップのサポートを続けている。

実際に、ガレージスミダで支援を受けた遠隔操作型分身ロボットOriHimeの「オリィ研究所」や次世代型電動車椅子・パーソナルモビリティの「WHILL」、風力発電の「チャレナジー」、ドローン開発の「エアロネクスト」などのスタートアップは着実に成長を遂げ、その存在感を大きなものとしている。

また、浜野製作所の代表・浜野氏は、スタートアップの支援に関し、以前のインタビューでこのように話してくれた。「浜野製作所とスタートアップが合同で朝礼もやっていますし、整理整頓の活動や忘年会も一緒です。酉の市に熊手を買いに行った後、スタートアップの社員と当社の社員がそのまま一杯飲みに行くこともあります。私は社員を家族だと思っていて、それは支援しているスタートアップも一緒。インキュベーションの場はたくさんありますが、ここまで人と人との関わりが濃密な場所は、日本でここだけだと自負しています」。

このように、スタートアップと家族のような関係性を築いている浜野製作所はこれまで100社以上のものづくり系スタートアップを支援。1月には「匠相談会」を開催し、多数のスタートアップが参加した。これからも、技術力の高い他の町工場を巻き込みながら、ものづくり系スタートアップの悩みを解決していく。

※連載シリーズ「リアル下町ロケット」

リアル下町ロケット VOL.1 ー世界に誇る日本の技術ー

リアル下町ロケット VOL.2 —スタートアップが巣立つ町工場、浜野製作所—

リアル下町ロケット VOL.3 —リーマンショックを乗り越え、ロボット事業を軌道に乗せた三重の中小企業—

経済産業省による、ものづくり系スタートアップ支援

ものづくり系スタートアップの支援を行うために、国も動き始めている。それが、経済産業省が2018年に始めた「Startup Factory構築事業」だ。

ハードウェアなどのプロダクトを市場に送り出すためには、「量産」という工程を経る必要があり、それには多くの資金と特別なノウハウが必要となるため、一般的にスタートアップにはハードルが高い。――“スタートアップによるイノベーションを推進するためには、そのハードルを下げていくことが必要”という考えから、スタートアップの量産のための試作や設計をワンストップで支援する拠点「Startup Factory」構築を支援する事業、「Startup Factory構築事業」が、始動した。

スタートアップを阻む量産化の壁

ハードウェアの量産には長く複雑な工程をマネジメントする必要があり、多くのスタートアップが設計・試作のステージでストップしてしまう。量産を行うためには、試作や検証を繰り返し、部品を調達して組立のラインを確保するなど、長く複雑な工程をマネジメントする必要があり、経験の少ないスタートアップには容易ではない。

アイデアを形にするところ(原理試作)まではこぎつけたが、量産化への道筋が整わない――ハードウェアをはじめとした独自のプロダクトの市場投入に挑むスタートアップの多くがこの量産に向けた設計・試作のステージで頓挫しているという事実がある。

コンセプトの検証が目的の原理試作に対して、量産化試作以降は生産技術や生産設備を持つ製造事業者との連携が必要となるが、「製造事業者の探し方が分からない」「候補は見つかったが、製造事業者との交渉が上手くいかない」という事態が起きている。「Startup Factory」は、スタートアップの量産化に向けた工程をワンストップで支援する機能を強化し、それによってスタートアップが「量産化の壁」を超えやすい環境を構築するという。

「Startup Factory構築事業」では、全国から町工場や企業のものづくり拠点など51事業者を採択し、スタートアップが直接連絡を取れる仕組みを整えている。また、ミートアップイベントなども開催しており、スタートアップ事業者とその支援者、行政関係者が会し、事業の推進や連携のきっかけ作りを推進している。「Startup Factory構築事業」からどのようなものづくり系スタートアップが羽ばたいていくのか。――今後もその動向に注目していきたい。

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