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“暮らし”を一歩先へ進める、エムティーアイが取り組む新しいオープンイノベーションの形とは

“暮らし”を一歩先へ進める、エムティーアイが取り組む新しいオープンイノベーションの形とは

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女性の健康情報サービス『ルナルナ』や、音楽・動画・電子書籍配信サイト『music.jp』をはじめ、「ヘルスケア」「フィンテック」「音楽・電子書籍」「生活情報」「エンターテインメント」など、暮らしを彩る様々なコンテンツを提供している株式会社エムティーアイ

各サービスのユーザーから得られる健康情報など膨大なデータ、そして地方自治体や教育機関、医療機関、金融機関といった様々なステークホルダーとのコネクションなど、多方面にサービスを展開しているからこその独自性を築いている。

同社はこれまで様々な企業との提携を積極的に進めており、2015年4月には電子お薬手帳を展開するファルモを、そして2018年3月にはクラウド電子カルテを提供するクリニカル・プラットフォーム(現:クリプラ)を連結子会社化した。2018年からは、オープンイノベーションを一層積極化し、多数のスタートアップと会う機会を設けている。同時に、「事業の選択と集中」といった観点から、各事業に対する出資企業も募集しているという。

この4月からはオープンイノベーション推進体制をさらに強化し、“健康・医療”、“家族”、“生活”といった「暮らし」に身近な領域での共創を目指している同社経営企画部の松縄氏と田中氏に、これまでのオープンイノベーション取り組みの成果や、現段階で募集する領域、そして提供できるリソースについて話を伺った。

■株式会社エムティーアイ 執行役員 経営企画本部 本部長 兼 経営企画部 部長 松縄貴重氏

2012年新卒でエムティーアイに入社。音楽・コミック・ゲームなどのエンタメ系総合サービス『entag!PARTY』などのプロダクト企画を手がけた後、2014年11月に経営企画部へ異動し、全社業績の予測、分析、予算策定などに携る。2018年4月よりベンチャーやスタートアップとの共創、協業を推進するタスクフォースの責任者に就任。

■株式会社エムティーアイ 経営企画本部 経営企画部 田中大氏

2007年よりエムティーアイのサービス企画を担当。データ分析やプロモーションなどさまざまな業務に携った後、エンタメからヘルスケア領域まで幅広いサービスの企画を手がける。2017年に経営企画部へ異動し、松縄氏と共にタスクフォースに参画。

強みと弱みを相互補完し合える関係を築いていきたい

――貴社は昨年よりスタートアップ企業との共創を本格化させていらっしゃいますが、改めてオープンイノベーションによって、どのようなことを実現したいとお考えなのか、お話しいただけますでしょうか。

松縄氏 : ヘルスケアやフィンテック、AIといった分野については、昨年から引き続き共創の可能性を探っていきたい分野です。一方で、まだ当社が入りこむことができていない新領域や、または私たちが持ち合わせていない強みを持った企業と共創できたら、という想いもあります。強みと弱みを補完し合えるような関係性を、共創相手と築くことができたらと考えています。

――それは昨年からeiiconで共創相手を募集し、多くのスタートアップと会う中で考えるようになったことですか?

松縄氏 : それよりは、当社の事業環境の変化といった側面が大きいですね。この半年間で、ヘルスケア領域としては、ある程度事業を拡げることができました。それゆえ、今は事業の「選択と集中」が求められるフェーズに差し掛かってきたのです。事業フェーズが変化したということは、既存領域だけに限らず、新しい領域へのアプローチも検討すべき段階に来たと考えています。

――これまで共創相手を探していく中での感触について聞かせてください。

松縄氏 : 双方のリソースを補完できるような関係性を築けそうな会社との出会いがありました。具体的な共創の段階に至ってはいませんが、当社の事業とも相性が良いと考えられますので、今後も引き続きやり取りを継続して、チャンスを狙っていきたいと思っています。

田中氏 : そのスタートアップ企業は、当社が昨年eiiconに登録した時、一番に連絡が来た企業でした。実は、私は以前からその企業のプロダクトに個人的に興味を持っていたため、連絡を頂いた時は運命を感じましたね(笑)。他にも、昨年からeiiconなどを通じて様々なスタートアップとお話する機会があり、それまで全く知らなかった業界やテクノロジーについて学ぶことができました。新しい事業の芽を生み出すためにも、今後も積極的に多くのスタートアップと会っていきたいですね。

――貴社の体制についても伺いたいのですが、今は松縄さんと田中さんのお2人でオープンイノベーションの取り組みを進めていらっしゃるのでしょうか?

松縄氏 : 昨年は2人体制だったのですが、役割分担も曖昧で人手が足りないという課題がありました。そこで、この4月から新たな仲間を加えて5人体制に強化し、リスタートしています。改めて、オープンイノベーションに総力を挙げて取り組んでいきます。

全国の営業網をはじめ、マーケティングやファイナンスなど“総合力”を提供できる

――貴社と共創するにあたり、提供できるリソースなど、共創相手に対してのメリットについて教えてください。

松縄氏 : 一言で表現すると、総合力ですね。営業は北海道から沖縄まで全国9か所の体制を敷いています。デザインチームや開発チームも社内にありますし、ベトナムにも開発部隊を擁しています。また、マーケティング専門の部署や、ファイナンス、品質管理、コンタクトセンターなどの部署もあります。事業化にあたり、どのような角度からでも支援ができることが、当社の大きな強みです。

――様々な企業や自治体、医療機関との連携なども積極的に進めていらっしゃいますね。

松縄氏 : そうですね。機動力は一番の強みです。当社がこれまで開拓してきた販路を活用することはもちろん、機動力を発揮して新規開拓も行うことで、事業をスピーディーにスケールできます。販路拡大には、足で稼ぐような泥臭さも求められますが、当社にはその武器があります。それは、当社の共創相手にとって、大きな魅力だと思います。

――貴社のリソースを活用する事により、共創がうまく行った事例はありますか?

田中氏 : 当社が2015年に子会社化した株式会社ファルモという電子お薬手帳の開発・運営を行う企業があります。ファルモが持つノウハウやプロダクトを提供してもらうことで、『CARADAお薬手帳』というアプリを開発し、当社の営業が薬局などの販路を開拓しました。現在はそこで開拓した販路に対して、新たなプロダクトやビジネススキームを提案している状況です。

――昨年のインタビューでも伺いましたが、共創するスタートアップは、オフィスや福利厚生施設の提供などのサポートも提供することができるのですよね。

松縄氏 : 今お話ししたファルモや、前回お話ししたクリプラは、当社と同じフロアにオフィスを構えています。物理的な距離はもちろん、心理的な距離も近い関係性を築くことができていると思います。予算組みなどコストコントロールに関しては私が各社の社長と日々話していますし、開発部隊に関しても当社の事業部長と子会社の社長や取締役が直接話をしながら進めています。登記簿上は違う会社ですが、意識としては、“同じ会社の隣の事業部”という感覚ですね。互いに出向するなど、社員の行き来も活発で、ノウハウやスキルを交換し合い、良い刺激を与え合う、そういう風土が醸成で来ていると感じます。

田中氏 : 社内研修の垣根も低く、互いの知識を共有し合う機会も積極的に設けられています。先日は、グループ会社の従業員と一緒になって業界理解を深めるための勉強会も開催されていました。

――意思疎通が非常にスムーズだということは、意思決定のスピードも早そうですね。

松縄氏 : そうですね。意思決定のスピードは非常に早く、風通しは間違いなく良いと思います。当社は社長との距離も近いですね。定例会議はもちろんですが、それ以外にも積極的に機会を設けて、相手の経営陣とコミュニケーションを図っています。

スタートアップはもちろん、大企業との共創の可能性も探る

――冒頭で、新領域での共創の可能性についても模索しているというお話しがありましたが、共創相手としてどのような領域・技術に強いスタートアップを求めていらっしゃるのでしょうか。

松縄氏 : 「医療・健康」、「家族」、「生活」と大きく3つの領域の技術・アイデアを求めています。もちろん、このような具体的な事業領域について、あった方がいいというのは百も承知ですが、正直なところ、あまり範囲を狭めず広く募集をしていきたいと考えています。新領域について、絞り込むのは難しいですから。そこはeiiconを介してお会いしながら互いにブラッシュアップしていけたらいいと感じています。

――ヘルスケア領域など、既存分野においても継続して共創の可能性はあるのでしょうか。

松縄氏 : 女性の健康情報サービス『ルナルナ』は、引き続きヘルスケア領域における代表的なサービスとして不可欠な存在です。しかし今後は、その『ルナルナ』を中心に、新たなビジネスを創出していくことに可能性を感じています。そういった既存サービスを活用した新事業の展開というところで、共創の可能性はあると思います。

――個人的に注目していらっしゃる分野や技術はありますか?

田中氏 : 社内でまだ取り組みは少ないのですが、AR・VR領域には注目しています。特にARはインパクトがかなり大きいはずです。そういった領域に強みを持つスタートアップ企業とは、ぜひお会いしてみたいですね。また、これまで様々なスタートアップにお会いして可能性を感じた分野としては、ITの導入が比較的遅れている業界に対するサービスです。たとえば、「葬儀」や「相続」といったシニア領域では、何か新しいことができるのではないかと感じています。

松縄氏 : そこは大きな手応えを感じる領域として、可能性があると考えています。きっと、当社の総合力が活かせるのではないかと思っています。

――なるほど。IT化がまだ進んでいない領域だからこそ、チャンスがありそうですね。

田中氏 : もともと当社が展開してきたモバイルコンテンツは、音楽やデコメなど若者向けのサービスでした。しかし、現在はスマートフォンがあらゆる世代に普及しています。シニア層もかなりスマホアプリを使いこなしている今、シニア向けのサービスには大きな可能性を感じています。

松縄氏 : また、これまでは当社が出資する立場としてお話しをしてきましたが、逆でもいいと思っています。

――「逆」というと、貴社が出資を受ける側にもなるということですね。

松縄氏 : エムティーアイという企業全体でみると分かりにくいかもしれませんが、当社は「ヘルスケア」「フィンテック」「音楽・電子書籍」「生活情報」「エンターテインメント」といった多種多様な領域で事業を展開していますので、その中のいずれかの事業に興味をお持ちで、出資をお考えの企業があれば、ぜひお話ししたいと考えています。冒頭で「選択と集中」というお話をしましたが、1つの企業として保有する事業の数としては、かなり増えているからです。

――直近に出資を受けた事例もあるのでしょうか。

松縄氏 : 当社グループに、株式会社カラダメディカというヘルスケアコンテンツの配信サービスを行う子会社があります。昨年、そのカラダメディカに対して、医療用医薬品・日用品等の卸売大手である株式会社メディパルホールディングスが出資し、合弁会社化しました。メディパルホールディングスが保有する日本全国の医療機関等への営業力と、カラダメディカが提供してきたヘルスケアサービスのノウハウをベースに、今後はオンライン診療の普及促進を目指しています。

――なるほど。貴社は多様な事業・サービスを展開しており総合力も高いからこそ、出資をする側としてスタートアップと共創もできますし、逆に出資を受ける側として大企業との共創もできるということですね。

松縄氏 : そうですね。スタートアップ企業に対しては、各事業で築いた開発力や総合的な営業力、マーケティング力、ファイナンス力で包括的な支援と共創が可能です。逆に、出資をお考えの大企業に対しては、当社の1つ1つの事業において特化したノウハウを提供できると考えています。

取材後記

「ヘルスケア」「フィンテック」「音楽・電子書籍」「生活情報」「エンターテインメント」といった領域でサービスを展開してきたエムティーアイ。多種多様な事業を保有する今、同社の既存事業領域におけるフェーズは選択と集中の段階に差し掛かっているという。だからこそ、今後は既存領域のみならず、新たな分野における可能性も領域を狭めずに探っていく。地方自治体や教育機関、医療機関、金融機関など、幅広いコネクションを開拓してきた機動力を備えた同社であれば、新領域でのサービス展開においても頼もしい存在となるはずだ。

また、選択と集中といった観点から、同社は出資者も募集している。将来的には、エムティーアイと大企業が設立した合弁会社と、エムティーアイが出資したスタートアップが連携し、さらなる共創シナジーを生み出せるかもしれない。同社の多様な事業、豊富なデータやアセットは、それほど大きな可能性を秘めている。

(構成:眞田幸剛、取材・文:佐藤瑞恵、撮影:古林洋平)

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