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【密着レポート(1)】郵便局×オープンイノベーション!日本郵便の社内横断チームが地方創生に挑む理由。

福井 崇博(ふくい たかひろ)
日本郵便株式会社 トータル生活サポート事業部 事業開発担当 主任


1987年、三重県鈴鹿市生まれ。日本郵便に入社後、物販ビジネス部や株式会社ローソンへの出向などを経験。2016年からは、郵便局リソースを活用した他社との共創による新規事業開発を担当。まちてん参加2年目となる今回は、社内公募による出展プロジェクトチームの事務局リーダーを務める。

 

■民営化10年を控え、地方創生フォーラム「まちてん」に参加


「日本郵便」と「オープンイノベーション」という組み合わせに対して、違和感を感じる人もいることだろう。郵政民営化が行われたのは2007年であり、日本郵便株式会社が生まれたのは2012年のことだった。それまでは国営の組織であったわけだから、日本郵便という会社に対して「固い組織」だというイメージを持ってしまうのも無理はないかもしれない。しかし、民営化から間もなく10年を迎える今、変化は見えないところで進行しつつある。

その変化を端的に表しているのが、2016年12月に開催予定の「地方創生まちづくりフォーラム まちてん」と呼ばれるイベントへの参加だ。「まちてん」とは、「オープンイノベーションによって地方創生の実現を目指すまちづくりの共創プラットフォーム」のこと。課題を抱える地域や自治体と、多種多様な企業・大学・社会起業家などが出会うことで、新しいまちづくりを模索する取り組みだ。低成長時代において日本が再生するには地方創生しかないとも言われる中、「まちてん」が担う意義はきわめて大きい。

日本郵便の「まちてん」への参加は、2015年に続き、2016年で2回目となる。しかし、たしかに社会的意義の大きなフォーラムだとは言っても、なぜ日本郵便がオープンイノベーションの取り組みに参加することになったのか。その背景やプロセス、内部で起こりつつある日本郵便の変化を、これから数回に分けてレポートしていきたい。

 

■プロジェクトを推進する、若きリーダーの存在


今回、編集部が立ち会ったのは、「まちてん」のコンセプトワークを行うキックオフのミーティング。日本郵便が地方創生に乗り出すことを宣言した前回の「まちてん」に続き、その取り組みをどのように知ってもらうのか、どのような目標を立てるのか、具体的なアイディアを練っていく。

そのミーティングを取り仕切っているのが、プロジェクトの事務局リーダーである福井氏だ。2010年入社である福井氏は20代の若さであり、社内では「民営化3期生」と呼ばれる世代に当たるらしい。過去には物販ビジネス部に在籍し、日本郵便の店頭販売商品史上初となる映画とのタイアップやローソンとの協業プロジェクトを行うなど、「まちてん」参加以前からオープンイノベーションの素地は見て取れる。

 

■社内公募で、部署横断のプロジェクトチームを結成




ミーティングに並ぶ顔ぶれを見て気がつくのは、様々な部署の人たちが集っているというところだ。「まちてん」のプロジェクトメンバーは、社内公募によって集まった有志たちであり、日本郵便社内では珍しい体制である。

事実、ミーティングの発言に耳を傾けていると、「今までの日本郵便とは違うということを見せたい」「ブースにも挑戦している雰囲気を出すべき」「メンバーたちの地方創生にかける思いを知ってもらいたい」など、プロジェクトメンバーたちから発せられる言葉は力強く、熱がこもっている。

福井氏は、こうしたプロジェクト体制について「こうした横串のチームは、民間では珍しくないのかもしれません。ですが、日本郵便の場合は、民営化以降、企業としての歩みを着実に進めてきた結果、、社内公募のメンバーによってオープンイノベーションに挑めるフェーズにようやく辿り着くことができました」と語る。

 

■従来のイメージを覆し、協業プレーヤーとして認知されるために



ミーティングにおいて特に印象的なのが、「日本郵便がこんなこともやるんだ、と思ってもらいたい」という発言がメンバーから飛び出すように、従来のお固く見られがちな「郵便局」というイメージを自ら打ち壊そうとする前のめりな姿勢だ。しかしなぜ、既存のイメージを覆す必要があるのか。

「日本郵便は既存事業だけを行っていては、この先行き詰まる可能性があります。だから、新しい価値を生み出さないといけない。ですが、私たちの存在はオープンイノベーションを行う協業プレーヤーとしてまだ認識されていないと考えています。地方創生を行うにあたって、他の物流会社や地方銀行の名前ばかりが出てきて、なかなか日本郵便の名前まで出てこない。新しいことを生み出してくれそうな会社だというイメージを持ってもらわなければいけないんです」と福井氏。

ここでは詳細は控えるが、ミーティングの中では、「そこまでやっていいのか」とこちらが驚くような企画も飛び出してくる。しかも、単なるブレストレベルのアイディアではなく、実現可能性のある案のひとつとして。従来のイメージを覆したい、周囲を驚かせたいという意気込みと遊び心すら感じられた。

さて、今後「まちてん」のプロジェクトはどのように進行し、日本郵便はどのようにオープンイノベーションの主体者としての存在感を高めていくのか。eiicon ・オープンイノベーションラボでは、これからの動向も追って紹介していく予定だ。

(構成:眞田幸剛、取材・文:玉田光史郎、撮影:佐藤淳一)




■「まちてん 地方創生まちづくりフォーラム」開催概要


【コンセプト】
まちてんは、企業、自治体、大学、社会起業家などが一堂に集まり、地域が抱える課題を共有し、様々な連携・協業によって新しいまちづくりのカタチを生み出す場です。

【日時・場所】
2016年12月9日(金)−10日(土)
渋谷ヒカリエ 9F ヒカリエホール

【コンテンツ】
カンファレンス、セッション、展示、レセプションパーティー

【出展者】※一部抜粋
日本郵便(株)、(株)伊藤園、(株)NTTドコモ、(株)ポニーキャニオン、(株)ヤマハミュージックジャパン、イオン(株)、日本ユニシス(株)、「Travel Mine Japan」運営事務局((株)リヴァンプ)、(株)ジェイティービーなど

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