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【特集インタビュー】激変するクルマ社会でイノベーションに挑む。IDOMが共創型事業創造プログラム「Gulliver Accelerator」を始めた理由とは。(後編)

2016年7月15日に「ガリバーインターナショナル」から社名を変更した「IDOM(いどむ)」。同社は2015年7月から共創型の事業創造プログラム「Gulliver Accelerator」を開始し、コネクティッドカーや自動運転技術など、既に到来しつつある「新しいクルマ社会」において、イノベーションの創造に取り組んでいる。そして現在は、スタートアップ3社とタッグを組んだ3チームとの取り組みが進行中。前回に引き続き、同プログラムを推進した北島昇氏に、プログラムを通じて何が得られたのか、そして「オープンイノベーションに必要なもの」は何か、話を伺った。






株式会社IDOM
執行役員 新規事業開発室長
北島 昇 Noboru Kitajima

2007年入社。人事、経営企画、広報、マーケティング改革、店舗フォーマット開発、事業投資など幅広い業務に携わる。現在、執行役員・新規事業開発室室長として、コネクティッドカー事業、C2C事業、アクセラレータープログラム、サブスクリプション事業の責任者を務める。




前編では、トップが率先してイノベーションを牽引していることを伺った。後編では具体的な「Gulliver Accelerator」プログラムの選考過程・意思決定プロセスについて聞く。

(前編はコチラ‣  https://lab.eiicon.net/20160927_idom/ )

■選考で重視した事は『実行力』と当事者意識


ーー思い切ったイノベーションに挑むのは、既存事業との摩擦もありそうですが。

北島:もちろん。ですが、仮に現業と競合する内容であっても、何とかやり方を探そうと考えます。一見して競合するように見えても、細かく分析すれば、実は競合しないという事実が見つかるケースもありました。あるいは、新規事業と既存事業の両方の事業にベネフィットが発生することもあります。そもそも、ベンチャー気質が残っている社風のおかげで、社内でのハレーションは他社より起きにくいのかもしれません。

ープログラムには計150の応募があったそうですが、どのように選考したのでしょうか。

北島:まず社内でピッチを行って15社ほどに絞り、最終的に3社を選びました。ピッチの場では、投資判断としてビジネスの評価を行うことに加えて、本当にチームを組める相手なのかどうか、実行力と当事者意識を持っているかどうか、という点を特に重視しました。

ー意思決定のプロセスにおいて注力したことなどはありますか。

北島:アイディアだけを求めているのではなく、一緒にチャレンジする仲間を見つけるためのものですから、私たち自身もいかに「自分ごと」化するか、という点にはこだわりました。プログラムのメンターに社長が並んでいるのは、そうした理由からです。

■オープンイノベーションに必要なのは、「障壁をなくし、個人同士のように向き合う」こと


ープログラムを通じて得られたものは何でしょうか。

北島:率直に、素晴らしい姿勢と発想を持った企業に出会うことができて、私たちも事業会社として気を引き締めねばならないと感じました。また、それぞれの技術やスキーム、あるいはアライアンスの組み方など、様々な可能性があるのだなという発見もありました。イノベーションとは、結局はいろいろなものを結合する力なんですよね。

ー北島さんにとってオープンイノベーションとは。

北島:オープンイノベーションに取り組むということは、新しい情報やネットワーク、あるいは文化や血を自分たちの中に取り込むことになります。そこで大切なのは、実は新しいスキームを身につけることではなく、相手との間にある邪魔なものを取り除くこと。障壁をなくして、個人同士のように向き合うということです。そうして初めて、お互いに当事者意識を持ってイノベーションに取り組める、本気の出会いが生まれるのだと思います。

■取材を通して得られた、オープンイノベーションの2つのノウハウ


(1)企業トップ・経営層レベルの意思統一
オープンイノベーションを進める上で課題となるのが、組織内での意思統一や目線合わせだ。それがすり合わずに、頓挫してしまうケースも少なくない。その点で、IDOMは企業トップ及び経営層の持つ「危機感」から、彼ら自身がオープンイノベーションを推進。社内での軋轢を生むことなく、「Gulliver Accelerator」プログラムを実現することに成功している。オープンイノベーションを実施する上で、現場のみならず経営層・トップを巻き込みながら、意思統一することが重要だ。

(2)技術だけではなく、“実行力”を重視
「Gulliver Accelerator」で事業化された3社(チーム)を選出する上で、最も重視したのは“実行力”だったと北島氏は語っている。無論、優れた技術を有することは必要だが、アイディアをカタチにできなければ意味がない。そこで、当事者意識を持ちながら実行・推進する力を持ったチームを選出している。オープンイノベーションにおいて、何を重視するのか。課題を踏まえ、それを明確化することがオープンイノベーションの成功の秘訣になるだろう。

(構成:眞田幸剛、取材・文:玉田光史郎、撮影:佐藤淳一)

(前編はコチラ‣  https://lab.eiicon.net/20160927_idom/ )