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【コラム】オープンイノベーションの鍵を握るのは「異質」なヒト



(文/株式会社エクサインテリジェンス 取締役COO 粟生 万琴)


  オープンイノベーション1.0(企業の1対1の関係性)から2.0(企業、大学・研究機関、政府・自治体、市民・ユーザなど多様な関係者が共創し合う循環体制)へ変わりつつある昨今、1年前の自分からは想像できなかった。今、私はオープンイノベーションを支援する側の立場からオープンイノベーションを創出する当事者としてベンチャー企業側の立場に変わり、今年6月より関西発のAIベンチャー(株)エクサインテリジェンスの経営に参画している。 

急速に進むオープンイノベーション、大企業、ベンチャー企業のあり方の変化にあわせて、自らの働き方も変化したことが、何だか無償に面白く以前に比べ忙しくはなったが楽しい日々を過ごせていることをこの記事を書きながら一人ニヤニヤ笑みを浮かべている。  

■オープンイノベーションの現場から学んだ “つくること” 

さて、第3次産業革命、まさに情報革命に突入した頃社会に飛び込んだ私はITエンジニアを経て、国内、海外ITエンジニアの育成に従事した。その後、IoTや第4次産業革命の到来に伴い、急速に変化する欧米の製造業の取り組みを横目に、国内でも大企業メーカーが積極的に新規事業創出に取り組みはじめた頃、ITエンジニアのキャリアシフトのプロジェクトの活動を通じて、オープンイノベーション推進の活動に携わることになった。 

大企業のITエンジニアとベンチャー企業のITエンジニアの技術交流や、ITエンジニア同士だけではなく、企業規模大中問わずITエンジニアとものづくりに携わるエンジニア(職人さん含)の交流を通じて新規事業を創出するプロジェクトに従事した。 

単に交流といっても、どう交流してもらう場を創ればいいか、大企業の方とベンチャーの方と一緒に勉強会、交流会を実施し話し合うだけでは出会いの場にはなるが、新規事業は創出できないと思い悩み、岐阜県にある情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の小林茂教授に相談させてもらった。 

小林教授は、デジタルファブリケーション(3Dプリンターなどを使い、プロトタイプを作成すること、これまで工場などで高いコストと長い時間をかけなければできなかった「ものづくり」が手軽にできるようになったこと)によるものづくりのワークショップの活動をされており、私も参加させてもらい多種多様な企業から人が集まり、多種多様な技術が集まるこのワークショップ、実際に一緒に ”つくること” が、オープンイノベーション創出につながるのだと体感した。 

アイデアソン、ハッカソンという活動が盛んに行われるのも、短期間でも ”つくること” が交流となり事業創出の一歩につながり、実際ハッカソンを通じて大企業とベンチャー企業の出会いの場となり共同開発された製品やサービスが生まれた実績がではじめているからだろう。  

■歴史から学ぶ、社会や文化の進化は「異質」が鍵

イギリスの社会哲学者 スペンサーは、社会や文化の進化は「異質」が生じることによって起こる。同質的な状態から異質なものが出てきた時、それを総合的にとらえさえすれば必ず進化が確立される。つまり「異質」が新たな「秩序」をつくると唱えている。 

オープンイノベーションも、大企業で新規事業に取り組む「異質」な熱意あるヒト、そもそも「異質」なヒトの集まりであるベンチャー企業の「異質」な変なヒト(尊敬と期待の意味を込めて)同士の多種多様な出会いがこのメディアを通じて増えることを期待して、今後「異質」なヒトを毎回ゲストとして登場、紹介していこうと思う。    


■粟生 万琴 (Makoto AOU)/プロフィール

株式会社エクサインテリジェンス 取締役COO  

エンジニアとしてソフトウェア開発に従事した後、株式会社パソナテックに入社。2012年同社初の女性役員として就任、新規事業、および産官学連携プロジェクト責任者として従事。2016年から関西発の AIベンチャー(株)エクサインテリジェンスのボードメンバーとしてパラレルワークをスタート。