東洋大学 理工学部 応用化学科 佐々木 直樹 准教授

更新日:2018/07/11
  • ドラッグデリバリーシステムで用いるナノ薬剤は、様々な研究機関で盛んに開発が進められています。しかし、ナノ薬剤の評価には時間とコストがかかるため、効率的に開発が進められているとは言い難いのが現状です。本研究では、人体の血管及びその周辺組織を模擬したマイクロ流体デバイスを作製し、ナノ薬剤がどのように血管から漏れ出して腫瘍に行き着くのか、簡易かつ高精度に評価できる実験モデルを開発しています。このモデルは、がん細胞用のナノ薬剤の設計・評価に用いることができます。本技術の活用やナノ薬剤の設計・評価に興味のある企業を歓迎します。

    【簡略図】
    20170428100501.png【背景】
     薬物を担持したナノ粒子である「ナノ薬剤」の体内挙動を評価するためのマイクロ流体デバイスを研究しています。がん細胞は、増殖に必要な栄養素や酸素を得るために、元々ある血管から新たに血管を伸ばそうとします。このような血管は正常な血管と異なり、血管の壁に穴が開いています。ナノ薬剤は正常な血管からは漏れ出ませんが、がんの周りの血管からは血管壁の穴を透過して漏れ出ます。このことを利用して、がん細胞にのみ薬を作用させることができます。
     20170428094716.png しかし、従来の培養細胞を用いる評価系は生体に比べてサイズや環境が大きく異なり、実験動物はコストが高く倫理面の問題もあります。そこで、このようなナノ薬剤の評価に適したデバイスを開発し、さらにこのデバイスを用いて、有効性の高いナノ薬剤の条件を実験的に明らかにしていくことを目的としています。

    【技術内容】
     血管と同程度のサイズのマイクロ流路を擬似血管とみなして用いることで、血管からナノ薬剤が漏れ出て腫瘍へと到達する過程を模擬可能です。マイクロメートルスケールの流路に溶液を流すことで、血流に相当する溶液流れの中で実験ができます。生体内に近い状態でナノ薬剤の性能を精密に評価し、新規ナノ薬剤開発へとつなげられる実験モデルを目指しています。
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     具体的には、ナノ薬剤の粒径や、ナノ薬剤が透過する孔の径、流速が、透過性に与える影響を評価できます。従来のデバイス(左)では、流路が縦に重なっているため、顕微鏡で観察する際に、ナノ薬剤がどちらの流路に存在しているのかを区別しにくいという問題がありました。そこで、流路を横に並べた新たなデバイス(右)を開発しました。
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     ナノ粒子の透過性を評価するために、マイクロ・ナノスケールの孔が多数開いた薄膜を用いています。マイクロ流路はMEMSプロセスなどの高価で複雑なプロセスを用いず、レーザーで加工したアクリル鋳型をシリコーンゴムでかたどって作製しています。そのため安価かつ簡易に作製できます。

    【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
    1)十分な実験を行っているため、デバイスの安定した作製が可能です。
    2)実験に使う試料や試薬が少なくて済むため、費用を抑えることもできます。
    3)従来の培養細胞を用いた評価系よりも人体に近い状態で高い精度で評価できます。
    4)動物実験では実験動物を犠牲にするため倫理的な問題が常にありますが、
    本評価法では倫理的な問題は発生せず、費用も抑えられます。

    【連携企業のイメージ】
     例えば下記の企業、研究所と連携可能です。
    1)ナノ薬剤の設計・開発を行っている企業、研究所
    2)医薬品開発向けのマイクロ流体デバイスの設計・開発を行っている企業、研究所
    3)他、本技術の活用やナノ薬剤の評価のニーズを持つ企業、研究所

    【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
     一例としてがん細胞を対象としたナノ薬剤を挙げていますが、
    それ以外のナノ薬剤の設計・評価用としても幅広く活用可能です。

    【技術・ノウハウの活用の流れ】
     本技術の活用に興味がある方はお気軽にお問合せください。
    研究室の装置やマイクロ流体デバイスの実物などもご紹介いたします。
     ナノ薬剤の設計・評価のご相談も歓迎します。

    【専門用語】
    (ナノ薬剤)
    薬剤のサイズをナノメートルオーダーにした薬です。生体内で特定の部位に薬剤を届けるドラッグデリバリーシステム(DDS)の用途に用いられます。
     一般的に、高分子ミセルやリポソームなどのナノ粒子に難水溶性の薬剤を内包させるなどの手法で作製します。

本掲載に関する責任者(オープンイノベーター)

オープンイノベーション推進ポータル

厳しい国際競争に勝ち抜くため、企業の研究開発戦略の手法として、産学連携・産産連携など外部の技術/ノウハウを有効に活用する「オープンイノベーション」が注目されています。 斬新な製品開発、付加価値の高い要素技術の確立、技術課題の効率的な解決、研究開発コスト削減など、オープンイノベーションは大きなメリットをもたらします。

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当社は国立大学法人電気通信大学から技術移転に関する業務委託を受け、発明の権利化を共同で行いながら、技術移転活動を行っています。

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 産業振興・地域振興
所在地
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設立年月日
1999
外資区分
非外資
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従業員数
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資本金
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上場区分
非上場
株主
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主要顧客
メーカーの研究開発部門、新規事業部門 等

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