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国立大学法人 電気通信大学 情報理工学研究科 小木曽 公尚 准教授

更新日:2017/08/31
  • 流体力学・伝熱学・力学など様々な概念に基づくモデルベース制御、拘束条件を考慮した高精度の制御(リファレンスガバナ)、ゲーム理論と制御理論を組合せた人の心理をモデル化し予測に生かす制御、など様々な対象を数理的にモデル化し、高精度な制御に繋げる研究を行っています。今までの制御技術を高精度化したい、あるいはマーケティングや心理分析等に制御理論の概念を取り入れたい、など制御理論に関する技術相談を歓迎いたします。

    【簡略図】
    20141103184045.PNG【背景】
    制御理論は、機械システムなどものづくりの分野で標準的に活用されています。
    例えば、ロバスト制御、スライディングモード制御、ゲインスケジューリング制御などの手法が、電源や位置決め機器、ロボット、計測機などに組込まれています。

    制御において複雑な物理現象が関係する場合、拘束条件が発生する場合などでは、その影響を適正に加味してモデル化しなければ制御性能が落ちてしまいます。

    本研究では、そのような現象時においても十分な制御性能が発揮できる制御理論を研究しています。また、既存の制御理論の枠組みを超えて、ゲーム理論と組合せたマーケティング・心理分析やセキュリティ性を保ったままの制御理論などにも取り組んでいます。

    制御理論に関する技術相談をお待ちしております。

    【技術内容】
    下記が研究の概要・応用例です。

    (複雑な非線形データに対する制御)
    例えば、人工筋肉用アクチュエータの制御に適用可能です。
    (空気圧ゴム人工筋肉)
    1)内部にゴムチューブがあり、メッシュ状の非伸縮性のゴムが覆っています。ゴムチューブ内に圧縮空気を入れるとゴムチューブは膨張し収縮力が発生します。
    柔らかく軽いため、この原理を用いたロボット用アクチュエータが注目されています。
    2)収縮時には、「空気流動によるゴムチューブの形状変化(流体力学)」「圧縮空気の断熱変化(熱力学」「メッシュ部分の摩擦力(力学)」などの様々な概念に基づく非線形な物理現象が発生します。
    3)これらの様々な物理現象を数理モデル化することで、複雑な挙動を把握することができ、人の動作に応じて適した人工筋肉の制御が可能となります。

    空気圧人工筋アクチュエータを制御する場合、様々な物理現象を加味するだけでなく、低圧域から高圧域においてそれぞれに合った制御モデルを作る必要があります。このようなモデル化を行うことで、人の動作に合わせてアクチュエータを安全かつ自由自在に動かすことが可能になります。
    20141103184121.PNG(拘束条件に対するリファレンスガバナを取り入れた制御)
    制御系には、制御入力や状態変数に関して上下限値(拘束条件)が必ず存在します。
    この拘束条件の範囲を超え(飽和し)て制御を行うと、制御性能の劣化(ワインドアップ)が発生してしまいます。これに対し、拘束条件の範囲内で適した制御を行う手法をリファレンスガバナと呼びます。
     下記は概念の一例ですが、例えば電源の制御を行うケースにおいて、拘束条件を超えるとオーバーシュートと呼ばれる波形信号が出てしまう場合、リファレンスガバナを適用すると防ぐことができる場合があります。
    20141103184141.PNGリファレンスガバナが適用できる概念は幅広く、通信ネットワーク上でデータを伝送する通信プロトコルを設計する場合、通信路で生じる伝送遅延、損失、パケットの到着順入替、帯域制限などの現象が発生しますが、このような拘束条件の中でも安全かつ適切にデータを送受信するための制御系を設計する、などの用途があります。
    また、近年注目されている画像処理技術として超解像技術があります。一つの撮影対象に対し、短時間の間にステージ等を利用してカメラの撮像位置を多少ずらしながら高速で複数枚撮像し、各々の撮影画像の周波数成分を合成することで、解像度の高い画像を得る手法です。このとき、ステージの位置をずらすスピードを上げ過げてかつ時間あたりの撮影画像数を増やすと、逆に解像度が落ちてしまいます。リファレンスガバナを応用することで、ステージの位置をずらすスピードに応じて解像度が落ちない範囲で適した撮影画像数を設定する、などの制御が可能となります。
     このように、リファレンスガバナを適用することで様々な制御の高度化が可能です。

    (ゲーム理論と制御理論を融合した人の心理の把握、予測)
    ゲーム理論は、複数の意思決定主体がその意思決定に関して相互左右する状況において、他の人々がどのような行動をとるかを常に考慮に入れながら、自分がどのような意思決定をするべきかを明らかにする学問です。その一つとしてベイジアンゲームがあり、各プレーヤーの特性や関係性を用いることで、他のプレイヤーがどのような意思決定を行うかを確率的にモデル化する手法です。
    この手法を用いると、人との対話・交渉において回答された答え(建前)が、確率的に導き出された信念(本年)と食い違うことがあります。この本音と建前の関係性は数式モデル化し、制御理論の補償という概念を用いて他のケースに適用すると、他のプレーヤの本音・建前を予測することが可能です。
    20141103184221.PNGゲーム理論と制御理論を融合した本手法は、対話や交渉の場において人の心理の把握、予測に活用できます。

    様々な応用が考えられますが、例えば、雇用者と被雇用者の雇用条件交渉の分析、社員教育における社員のモチベーションの推定、他にも心理分析を応用した様々なマーケティング用途へ適用可能です。

    【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
    複雑な現象や拘束条件がある現象でも適切な数理モデルに落とし込み、高精度な制御に繋げるノウハウが研究室の強みです。

    また、数理モデル化する利点は、大きく下記3点です。
    -熟練者の勘と経験などのノウハウを数値モデル化することによって、担当者が変わってもノウハウを引き継ぐことができる。
    -入力するパラメータの値を変えても、出力パラメータが適した値となる。
    -制御用の入力信号のみを変えるのであれば、既存のシステム・装置の大幅なハードウェアや工程の入替は発生しない。

    【連携企業のイメージ】
    制御理論に興味がある企業を歓迎いたします。
    例えば、下記の企業と連携できる可能性があります。
    1)制御技術の高精度化を目指している企業。
    2)制御技術にはまだ取り組んでいないが、社内人材育成等を通しながら制御技術のノウハウを社内に取り入れたい企業。
    3)ゲーム理論に制御理論の考え方を導入してマーケティング分析等を行いたい企業。

    他、ご相談があれば是非お問合せください。

    【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
    アクチュエータ、モータ、ロボティクス、マーケティング分析、心理分析、暗号処理など、様々な用途の制御に対応可能です。

    【技術・ノウハウの活用の流れ】
     既存の制御手法を高精度化にしたい、マーケティングに制御理論の考え方を取り入れたいなどのご相談があればお気軽にお問合せください。ご相談に対して検討しご提案させていただきます。

    【専門用語の解説】
    (空気圧ゴム人工筋肉)
    ゴム製のチューブに合成繊維コードを網状に編んだスリーブを覆い、片方を密閉し、もう片方に外部から空気を供給するための空気供給用チューブを取り付ける構造になっています。空気圧の供給によりゴムチューブ内の圧力が高まると、ゴムチューブおよびスリーブは径方向に膨張する。これにより軸方向に収縮力が生じます。
    軽量で柔らかいため、ロボットの軽量化や使用者の安全確保が必要なリハビリテーション機器、トレーニング用装具やパワーアシスト装具、医用機器などのアクチュエータ部材として注目されています。
    (リファレンスガバナ)
    ある数値最適化を行うことにより、入出力に関する制約条件を満たしかつ良好な過度応答を実現するように目標値信号を整形する手法です。
    (ゲーム理論)
    利害の対立する事態にある集団の行動を数学的に捉える理論であり、ゲームにおけるプレイヤーの行動様式をモデルにしたもので、経済現象の分析やシミュレーションなどに応用されています。

本掲載に関する責任者(オープンイノベーター)

オープンイノベーション推進ポータル

厳しい国際競争に勝ち抜くため、企業の研究開発戦略の手法として、産学連携・産産連携など外部の技術/ノウハウを有効に活用する「オープンイノベーション」が注目されています。 斬新な製品開発、付加価値の高い要素技術の確立、技術課題の効率的な解決、研究開発コスト削減など、オープンイノベーションは大きなメリットをもたらします。

ミッション

企業が外部機関を有効に活用する「オープンイノベーション戦略」を推進するための情報プラットフォームとなるべく立ち上げました。以下の指針に基づき、大学・企業の技術/ノウハウ/開放特許を結集

企業情報

企業名
株式会社キャンパスクリエイト
事業内容
「お客様の課題解決をオープンイノベーションで実践する広域TLO」をスローガンに様々なサービスを提供しています。
・産学官連携
・国際連携
・包括コンサルティング
・人材ソリューション
・シニア技術者の技術支援サービス
・ビジネスパートナー募集

他にも産業振興・地域振興のプロジェクト運営、自社での研究開発・製造・販売など様々な業務を行っています。
事業スキーム
当社のサービスは大きく2つの事業スキームから成り立っています。
・技術移転マネジメント事業
企業様のニーズに応じた産学連携のコーディネートを行っています。また、大学の技術を知的財産化し企業様へライセンスする活動や、大学発ベンチャーの立上げ支援などを行っています。

・ソリューション事業
企業様のニーズに応じて、マーケティング支援や公的支援事業の活用支援、人材支援など様々なソリューションを提供しています。

・広域的な連携体制
国立大学法人電気通信大学を活動拠点としつつ、様々な大学・企業と提携しています。
当社は国立大学法人電気通信大学から技術移転に関する業務委託を受け、発明の権利化を共同で行いながら、技術移転活動を行っています。

・オープンイノベーション推進ポータル
「オープンイノベーション推進ポータル」を運営し、様々な大学のシーズ、大学発ベンチャーの製品、産学連携による研究開発成果など、先端技術をご紹介しています。
 マッチングイベントなどの企画運営
 産学連携や地域の振興に繋がるイベントを企画しています。
 産業振興・地域振興
所在地
〒182-8585 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1 国立大学法人電気通信大学産学官連携センター内
設立年月日
1999
外資区分
非外資
代表者名
企業URL
http://www.campuscreate.com/
従業員数
10人〜100人未満
平均年齢
上場区分
非上場
株主
主要顧客