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中央大学 理工学部 応用化学科 小玉 晋太朗 助教

大学・研究室
更新日:2018/07/11
  • 光酸発生剤(PAG)の多くは紫外領域で利用されており、可視領域で利用するには可視光に光吸収能を持つクロモフォアを合成する必要があります。そのためには、多段階かつ複雑な合成プロセスを経る、あるいは光増感剤を使用するなどの条件がありました。石井研究室・小玉助教はクロモフォアとして金属錯体を配位したPAGを合成する技術を研究しています。可視領域で高い光吸収能を持つPAGを金属との錯形成のみの簡便なプロセスで合成でき感光波長の調節も可能です。本技術の活用に意欲がある企業を歓迎します。

    【簡略図】
    20150126101652.png【背景】
    光酸発生剤(PAG)は、感光性樹脂の一成分で、光照射により酸を発生する化合物です。カチオン重合、酸加水分解反応などを光で開始でき、感光性の接着剤、塗料、フォトレジストなどに利用されています。
    PAGは、光を吸収するクロモフォアと分解後に酸となる酸前駆体とから構成されます。PAGの光分解はクロモフォアが光を吸収することによって起こるため、使用する光源に合わせて適切なクロモフォアを設計・合成することが必要です。
    20150126101912.png従来は吸収波長域の兼ね合いからPAGのほとんどが紫外領域の使用に限られており、可視領域で利用するには可視光に光吸収能を持つクロモフォアを合成する必要があります。そのためには、多段階かつ複雑な合成プロセスを経る、あるいは光増感剤を使用するなどの条件がありました。

     本研究では、クロモフォアとして金属錯体を配位したPAGを合成する技術を研究しています。可視領域で高い光吸収能を持つPAGを金属との錯形成のみの簡便なプロセスで合成でき、感光波長の調整も可能です。
    なお、本研究はJST A-STEP(研究成果展開支援プログラム)の支援を受けました。
     本技術の活用・実用化に意欲がある企業を歓迎します。

    【技術内容】
    可視領域でPAGの感光波長を調節するために、クロモフォアとして「金属錯体」を利用する技術です。金属配位部位をもつPAG(PAG配位子)を一つ合成すれば、錯形成に用いる金属錯体の種類を変えるだけで、様々な吸収波長を示すPAG金属錯体の合成が期待できます。
    20150126101935.png【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
    従来手法では、可視領域でPAGの感光波長を調節するには、光源に対応するクロモフォアを多段階で複雑な合成プロセスを経て作成していました。
    また、可視光の応答性を高めるために光増感剤を併用する手法では、光増感剤からPAGへのエネルギー又は電子移動がスムーズに起こらないケースがありました。
    20150126101957.png本技術では、金属錯体を単一プロセスで錯形成するだけで高い可視光吸収量を実現できます。金属錯体部の合成も短いプロセスで済みます。
    20150126102023.png酸発生能を評価するために、アセトニトリル溶媒内で、酸が発生するとTBPBNa試薬の吸収スペクトルが減少する現象を利用したテストを行いました。
    20150126102044.png可視光を照射したときに、436nm光の酸発生能は、金属錯体が無い材料(下記左図)では吸収スペクトルに変化がありませんが、金属錯体を含む材料(下記右図)では吸収スペクトルが減少しました。即ち、酸が発生しています。
    20150126102109.png応用例としてルテニウムを使用していますが、他の金属錯体(安価な鉄など)を利用することで感光波長を調節可能です。少ないプロセス数で合成できるので、修飾による感光波長帯、光吸収量の微調整も比較的容易です。即ち、デザイン性に優れています。
    金属錯体の使用量もごく微量なので、プロセス数が少ないことを踏まえると、全体の製造費用は低コストが期待できます。

    【連携企業のイメージ】
    PAGの開発、製造、販売を行っている企業。

    【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
    例えば、下記のニーズ・用途に適しています。
    1)可視領域の特定の波長域で高い光吸収能を持つPAGを開発したい。
    2)可視領域のPAGを開発・製造しているが、多段階プロセスのため、プロセス数を減らし、
      生産コスト・生産工数を減らしたい。
    3)光増感剤を使わずに可視光源を利用した酸発生法を実現したい。
    4)可視領域のPAGの光吸収量の感度調整を簡易に行いたい。
    5)従来は紫外領域の光源・PAGを使用した製造プロセスを使用していたが、
      光源が安く人体安全性が高い可視領域の製造プロセスへ切り替えたい。

    なお、紫外領域の波長にも対応します。

    【技術・ノウハウの活用の流れ】
    本技術の活用や製品開発に興味がある方はお気軽にお問合せください。
    試作品や実験データなどご紹介させていただきます。
    PAGの設計相談についても対応させていただきます。

    【専門用語の解説】
    (光酸発生剤(PAG))
    PAGは、光を照射することにより酸を発生する機能を持つ感光剤です。
    照射した光を吸収する部分と酸の発生源となる部分から構成され、一般的なPAGは、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなるイオン性のスルホニウム塩系やヨードニウム塩系などのオニウム塩です。
    PAGは、照射された光(紫外線が主流)を吸収し、次いでカチオン部とアニオン部に分解され、溶媒または酸発生剤自身から水素を引き抜き、引き抜かれた水素が移動しアニオン部と結合することで酸を発生させ触媒作用を示します。

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1999
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上場区分
非上場