数々のスタートアップ企業から注目を集める『T-VENTURE PROGRAM』。すでに3回が開催され、最終審査会にはCCCのトップである増田宗昭氏も参加するなど、社全体としても盛り上がりを見せている。今回は、『T-VENTURE PROGRAM』を推進している星野大輔氏にプログラム実施の背景や目的に加え、ベンチャー企業へのメッセージも伺った。
ニーズの多様化に応えるカギは、コラボレーションにある。
― まずはCCCグループがオープンイノベーションに取り組み始めたきっかけを伺えますか?
星野:私たちは、エンターテイメント領域やライフスタイル提案など、ひとつの分野に縛られることなく、柔軟な発想とスタンスで多角的なビジネス展開を行ってきました。その中で近年特に感じていたのが、「お客様の趣味・嗜好・ライフスタイルは年々多様化している」ということです。
― 時代のニーズに対応する必要があると。
星野:そうです。刻々と進むニーズの変化に応え、本当に顧客価値の高い新規事業・サービスを創造するためにはどうすればいいのか。それを考えた時に、自社だけで完結するのではなくベンチャー企業との共創を目指すべきではないかと考えました。
そこで、シード~アーリーステージのベンチャー企業の中でもライフスタイル関連のサービスを手掛ける企業とのネットワーク形成に取り組みつつ、2014年に『T-VENTURE PROGRAM』というベンチャー協業・支援プログラムをスタート。毎年CCCグループとのシナジーが期待できる企業との出会いを重ねながら、具体的な支援策の企画・検討や事業連携に取り組んできたのです。
エンタメ・ライフスタイルなど、多種多様な領域で共創を実現。
― 『T-VENTURE PROGRAM』ではどのような成果が生まれていますか?
星野:昨年12月に第三期の審査結果を発表しましたが、“オンライン観劇サービス”や“マンガ投稿サイト”といったエンタメ関連から、“ものづくり体験予約サイト”といった新たな生活提案のカタチや、スマホのロック画面のメディア活用や、クロスマーケティングの新たなソリューションといったデータベース領域まで、実に幅広いスタートアップ企業が最終審査会に登壇し、すでに事業連携に向けた話し合いも進んでいます。それに、第一期・第二期の受賞企業の中には、実際に様々な形でコラボレーションが実現していますよ。
おそらく、大企業内にいる多くの人にとってベンチャー企業とは何だかよくわからない存在だろう。これまで縁がなかったのだから、当然と言えば当然と言える。だからこそ、まずはベンチャー企業がどんなものかを知ってもらうことが重要だ。一口にベンチャーと言っても多種多様。理解が深まれば、協業することの価値を見いだせる可能性が高まる。
(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:とみたえみ)