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本田技研工業株式会社
技術SEEDs公開!―Hondaにはクルマ以外にも業界を革新する技術がある。人々の生活の可能性を広げるイノベーションの実現を目指す。
大手企業
上場企業
共同研究
プロダクト(製品)共同開発
リソース提供(既存技術の提供・特許流用の検討など)
リソース探索(技術・アイディアなどを探したい)
販売パートナー募集(チャネル拡大・エンゲージメント向上)
事業提携
新市場の模索
VR
自動車メーカー
部材
デジタルトランスフォーメーション
更新日:2018/10/27

自社特徴

【全世界で年間3,000万人以上のお客様に製品をお届けするモビリティーカンパニー】

Hondaは1948年の創業以来、本田宗一郎が大切にした「夢」を原動力とし、二輪・四輪を中心に多岐にわたる製品を生み出してきました。現在では国内のみならず全世界の人々に製品を提供しており、2017年の全世界累計販売実績は二輪・四輪・パワープロダクツ合計で3,104万台となりました。今後はHondaの強みである多岐にわたる製品、それを支える技術力、モノづくりの力、グローバルで事業を展開するネットワークをさらに進化させるとともに、モノだけでなくコトづくりを含むソリューションを提案し、さらなる「移動の進化」と「暮らしの価値創造」をリードしていきます。


【技術SEEDs公開!Hondaの技術をこれまでにない新しい形で役立てたい】

「技術は人のためにある。」という創業以来の企業精神のもと、Hondaは時代をリードする革新的な技術を生み出してきました。ジェット機、ロボット、バイオテクノロジー、人工知能など、エネルギーや地球環境といった課題に対してさまざまな分野で、新たな技術の挑戦を続けています。
変化する未来に向けて、Hondaの技術を、これまでにない新しい形で役立てたい。業界・業種を超えて幅広い企業の方々と新たな可能性を探りたいと考えています。
Hondaが誇る技術と人に、さまざまな発想を掛け合わせることで、「すべての人に生活の可能性が広がる喜び」を共に創っていきましょう。

提供リソース

  • 製造前に実物同等のクオリティをCG上に再現する技術(TOPS)
    実素材の見映えをCG上で、極めて忠実に再現するための技術です。素材や評価環境、CADデータなどを組み合わせるだけで、光の陰影や透過・反射など、実物の反射特性をCG上でシミュレートすることが可能です。誰でも簡単に使用可能で、CG技術などの高いスキルも不要です。

  • どんな場所でもバリアフリー化する可変勾配スロープシステム
    可変勾配スロープシステムにより、施設の大改造を伴うことなく、段差による車いす等重量物移動の不自由さを簡単に解消できます。スロープの角度が変形することで、誰でも力をかけずに楽に運ぶことが可能になります。また、可変勾配スロープ用の部品として開発されたアルミ積層パネルは、軽量で高強度を実現した部材となっております。
    ※アルミ積層パネル単体でも使用可(家具、インテリア、オフィス用品、建材、内装材分野などへの応用・活用など)

  • 高強度×衝撃を吸収する鋼板
    高い強度と潰れやすさを両立した素材であり、破断することなく潰れるため、小ストロークで衝撃のエネルギーを吸収することが可能です。衝突時に破断せず、蛇腹状に変形する特異的な伸び特性を有します。

実績

●静岡の家具メーカー3社への特許技術を利用したシート表皮の提供
・Hondaが内装材(表皮材)メーカーと共同開発したシート表皮を静岡の家具メーカー3社に提供し、各種チェアの開発を支援。
・Hondaの自動車(N-BOX)のシートに適用されている、シート表皮に付着したアレルギー物質やインフルエンザウイルスを不活性化する技術。

●名古屋大学と共同でイネの収穫量を増加させる遺伝子を解明
・持続可能な食資源の確保を目指し、名古屋大学と共同でイネの収穫量を飛躍的に増加させる遺伝子の解明に世界で初めて成功。
・「培養が容易なコシヒカリ」を作り出すことができ、台風に強い上に収穫量を増加することが可能になる。

  • TOPSによって再現された実物同等クオリティのCG画像
  • どんな場所でもバリアフリー化する可変勾配スロープ
  • 蛇腹状に変形することで衝撃エネルギーを吸収する鋼板

一緒に何をしたいか

技術SEEDs公開!幅広い業界のパートナーと新たな可能性を探り、「すべての人に生活の可能性が拡がる喜び」を目指します。


■製造前に実物同等のクオリティをCG上に再現する技術
<自動車、製造業、建築、インテリア、エンタテインメント分野などへの応用・活用推進>


実際の素材や評価環境、CADデータなど反射特性を多角度から計測したデータを取り込むことにより、現物のあるがままの見映えをCG上で再現することが可能です。応用分野としては自動車業界や製造業全般、建築業界など、現物再現のテクノロジーを活かせる領域、顧客体験をバーチャルで提供することに価値が生まれる業界・サービスでの活用を見込んでいます。また、高度なスキルや属人的なノウハウに依存することなくCGを簡単に作成できるので、エンタテインメント業界などでも活用できる可能性があります。

■どんな場所でもバリアフリー化するスロープ
<公共交通機関、病院、介護施設、福祉用車両などへの応用・活用推進>


バス、電車など公共交通機関、病院や介護施設、福祉用車両などへの適用が考えられます。高齢化社会における車いす使用者の増加、車いす利用者の屋外活動への積極的な参加機会の増加に対応できます。車両のカスタマイズによる個人の方のパーソナルユースにも適用できます。

■高強度×衝撃を吸収する鋼板
<鉄道車両、トラック、バス、飛行機の座席、ガードレール、道路側壁などへの応用・活用推進>


破断することなく、蛇腹状に変形することで衝撃のエネルギーを吸収できるため、電車やトラック、バスの車体、航空機のシートといった製品に活用することで、衝突時の安全性を高める活用方法を想定しています。また、車両だけではなくガードレールや道路の側壁、橋梁といった交通インフラにショックアブゾーバーのような形で挿入しておくことで、事故や災害、天災の際に被害を最小限に食い止めるといった使い方も想定しています。

メッセージ

今回公開した技術シーズに関する共創は、制限は設けず、状況にあわせ柔軟なスタンスで進めたいと考えています。Hondaには“ワイガヤ文化”という、みんなでワイワイガヤガヤと自由に意見を出し合いながらアイデアを膨らませていくカルチャーがあるので、共創パートナーの皆さんも同じように意見を出し合える環境を提供していく方針です。

また、最初は柔軟かつ幅広いルートを確保しておくことで、自由に発想を広げていただけますが、いざ事業化というフェーズになれば、「あらゆるモノをカタチにしてきたHonda」が培ってきたノウハウを存分に活かし、可能な限りスピーディーな製品化、事業化を目指していく予定です。技術によって共創をイメージしやすい業界・業種はありますが、それだけに捉われず、あらゆる企業の方々と可能性を探りたいと考えています。

今回公開した技術シーズに関して、少しでも興味のある方は遠慮なくメッセージをいただければと思います。人々の生活をもっと楽しく、喜びあふれるものへと変えていくために、私たちと一緒にイノベーションを起こしましょう。

求めている条件

下記条件に合致している企業様は是非コンタクトください

共創が想定される業界・分野の一例をご紹介します。
下記の業界の方々に関わらず、可能性を一緒に模索していきたいと思っております。

■製造前に実物同等のクオリティをCG上に再現する技術(TOPS)
・住宅・インテリアなどの設計構築や製造におけるワークフロー構築
・ゲーム・映画・旅行体験などVRでのCG活用
・リアリティのあるCG活用をしたい業界 など

■どんな場所でもバリアフリー化するスロープ
・車椅子使用者向けの設備・車両への活用(病院、介護施設、公共機関、交通機関)
・バリアフリー化を推進するハウスメーカーなどの企業、自治体
・段差による重量物の移動をスムーズにしたい業界(物流、運輸、倉庫、小売店)など

■高強度×衝撃を吸収する鋼板
・短いストロークでの衝撃吸収が必要な電車・トラックの車体
・事故や天災などの衝撃時のエネルギーを吸収したいガードレール・橋 など

本掲載に関する責任者(オープンイノベーター)

統括部長

別所弘和

Hondaの技術を、これまでにない新たな形で役立てたいと考えています。ぜひお気軽にコンタクトください。

所属部署

知的財産・標準化統括部

経歴

1983年株式会社本田技術研究所入社。特許出願など特許技術分野の業務に従事。1996年より本田技研工業株式会社知的財産部にて、米国特許訴訟や中国・アセアン諸国における特許・意匠訴訟を担当。2001〜2006年には本田技研工業(中国)投資有限公司知的財産部長として、中国内関連会社の知財業務を統括。2010年以降は本田技研工業株式会社知的財産部門の要職を歴任し、2017年4月より現職。

企業情報

企業名
本田技研工業株式会社
事業内容
二輪車、四輪車、パワープロダクツ
所在地
〒107-8556 東京都港区南青山2-1-1
設立年月日
1948
外資区分
非外資
企業URL
http://www.honda.co.jp/
従業員数
501名以上
資本金
10億円以上
売上
15,361,100 百万円
上場区分
上場

Honda 3つの技術シーズ公開!クルマ・バイクに捉われない共創に取り組む理由とは?



日本を代表する四輪・二輪メーカーとして、全世界で3000万台以上(昨年度)の製品を提供しているHonda。同社は、【①製造前に実物同等のクオリティをCG上に再現する技術】・【②どんな場所でもバリアフリー化するスロープ】・【③高強度×衝撃を吸収する鋼板】という3つの技術シーズを公開し、業界・業種を問わず広くパートナー企業を募ることを決定した。


――そこで今回は、世界的なモビリティーカンパニーとして業界をリードし続けているHondaが貴重な技術情報を公開し、オープンイノベーションの推進を決定するに至った背景、さらには新たな技術を次々と生み出すHondaの研究開発・技術開発を取り巻く独自の環境やカルチャーなどについて、同社の知的財産・標準化統括部 統括部長である別所氏に伺った。


また、3つの技術シーズの開発担当者である井出氏、西山氏、興津氏の3名には、それぞれの技術の特徴や想定される具体的な製品イメージ、共創パートナーなどについて詳しくお聞きした。


▲本田技研工業株式会社 知的財産・標準化統括部 統括部長 別所弘和氏


1983年株式会社本田技術研究所入社。特許出願など特許技術分野の業務に従事。1996年より本田技研工業株式会社知的財産部にて、米国特許訴訟や中国・アセアン諸国における特許・意匠訴訟を担当。2001〜2006年には本田技研工業(中国)投資有限公司知的財産部長として、中国内関連会社の知財業務を統括。2010年以降は本田技研工業株式会社知的財産部門の要職を歴任し、2017年4月より現職。

■Hondaの研究所はエンジンを研究する場所ではなく、「人を研究する場所」

――今回、貴社が技術シーズを公開し、オープンイノベーションを推進しようと決断された理由についてお聞かせください。


別所氏 : Hondaはクルマ、バイクを中心に最近ではジェット機といった製品も扱っていますが、そうした主力製品に適用するための技術開発に加え、それらの基礎となる基盤技術・要素技術の研究も並行して推進しています。さまざまな研究開発にチャレンジしている会社なので、そうした“技術の塊”のようなものが社内にたくさん点在しているのですが、私たちHondaの頭だけで考えているとクルマやバイク周辺の応用ぐらいしか思いつかないわけです。それならば広く技術シーズを公開して、様々な業界の方からアイデアをいただき、皆さんと一緒に新しい技術の活用方法を見出すことで、世の中の役に立っていきたいと考えたのです。

――貴社はこれまでにも家具メーカーとの椅子の開発やイネの研究など、クルマやバイク以外の領域で共創を行われていますが、共創の事例について詳しく教えていただけますか?


別所氏 : 家具メーカーへの技術提供ですが、もともとはHondaが表皮材メーカーと共同開発した技術・製品であり、社内ではアレルクリーンシートと呼んでいます。シート表皮に付着したアレルギー物質やインフルエンザウイルスを不活性化する特性があり、既に『N-BOX』という車種にも採用されているのですが、こんなに素晴らしい技術であればクルマ以外にも用途があるだろうと考えて外部に公開したところ、お声がけをいただきました。

――イネに関してはHondaの本業から考えるとかなり意外ですね。なぜイネの研究に着目されたのでしょうか?


別所氏 : 実は、継続的にイネについて研究をしており、背が低くて雨風に強く、尚且つ収穫量が多いという品種を名古屋大学と共同で開発しました。Hondaはガソリンを使うクルマやバイクを開発しているため、以前からエネルギーや燃料に関する研究を進めており、バイオエタノールの酵素の開発などにも取り組んできました。エネルギー問題や食料問題の解決、持続可能な社会、SDGsに着目した取り組みの一環として、イネなどの食料に関する基礎研究も行ってきたのです。

――今回公開される3つの技術シーズは社内の技術者から公募で募ったということですが、Hondaの技術者の方々は他社と比べてどのようなタイプの方が多いと感じられていますか?


別所氏 : 意欲的でチャレンジング、常識に捉われない技術者が多いと感じています。Hondaの場合、生産と販売を担う本田技研工業㈱、研究・開発を担う㈱本田技術研究所がそれぞれ別会社になっており、技術者は㈱本田技術研究所に所属しています。生産・販売と研究・開発が分かれている体制なので、技術者としては自由な発想で、自由な研究ができる環境が担保されています。だからこそ、そうしたマインドの技術者が多いのかもしれませんね。

――商売、ビジネスと離れた組織にいるからこそ、技術者は自由な発想ができるということですね。


別所氏 : 商売、ビジネスは大事なものですが、Hondaの技術者はビジネスだけに捉われずに「世の中をもっと便利にしよう」という発想で仕事をしていますし、そのこと自体がHondaの強さにもつながっていると思います。その点は創業者である本田宗一郎も変わりません。奥さんが自転車で買い物に行くのが大変そうだから「自転車にエンジンをつけよう」という発想から会社がスタートしていますからね。そもそもHondaの研究所はエンジンを研究する場所ではなく、「人を研究する場所」であるという考え方で運営されています。現在のデザインシンキングに近い考え方であると言えるでしょう。

――Hondaと聞くとどうしてもクルマやバイクを連想しがちですが、「人を研究する」ということであれば、先ほどの椅子やイネの話も理解しやすいですね。


別所氏 : ㈱本田技術研究所、本田技研工業㈱という社名には“自動車”という文字は入っていません。本田自動車ではないんですよ。確かにHondaはモビリティを得意としているし、何にでも手を出せばいいというものでもないのですが、根底にはそうした考え方が流れているんです。


■“ワイガヤ文化”――制限を設けることなく、柔軟なスタンスでアイデアを出し合いたい

――貴社の技術シーズを公開することで幅広い企業から問い合わせがあると思いますが、具体的な共創イメージなどはお持ちでしょうか?


別所氏 : 正直なところ、手探りで走りながら考えていくことになるだろうと想定しています。Hondaがこれまでに培ってきたクルマやバイクに関する技術の話とは異なるので、状況によって柔軟に、ケースバイケースで進めていった方が良い結果が生まれるのではないかと考えています。Hondaには“ワイガヤ文化”というカルチャーがあります。みんなでワイワイガヤガヤとアイデアを出し合っていくという発想手法であり、要はブレインストーミングなのですが、共創パートナーの方々とも、そんな風にアイデアを出し合えればいいなとイメージしています。最初から「こうしなければならない」と決めてしまうことで発想に制限がかかってしまう可能性もあるので、初めは柔軟に進めていくべきでしょうね。ただし、ある程度の形が定まってきた段階からの事業化、モノにしていくというフェーズに関しては、私たちも豊富なノウハウを持っていると自負していますので、そこからはスピーディーに進められると思います。

――皆さんで“ワイガヤ”をするためのスペースなどもあるのでしょうか?


別所氏 : 研究所の中にワイガヤベースというガラス張りの部屋を作った部署があると聞いています。社員であれば誰でも自由に出入りして議論に加われるようなスペースですね。また、六本木や赤坂にAIなども絡めた新しいクルマを開発する拠点を作っているのですが、そちらにもオープンな議論ができるスペースを作っているところです。

――いつ頃までに製品化・サービス化するという期限のようなものは設けているのでしょうか?


別所氏 : 技術によって足の長さも違うと思うので、明確な期限は設けていません。繰り返しになりますが、固め過ぎてしまうことによって発想が広がらないこともありますから。ただし、「旬な時期」というものは必ずあると思うので、それを外さずに可能な限り早く進めていきたいとは考えています。“ワイガヤ”も大切ですが、世の中に出していくことが重要だと考えているので、ゴールを見据えて進めていくつもりです。

――最後になりますが貴社が公開する技術シーズに興味を持って応募してくださる企業の方々へのメッセージをお願いします。


別所氏 : 私たちHondaだけで考えられることには限界があると思うので、さまざまな方々と一緒に考え、互いにアイデアを持ち寄ることで技術の可能性を多方面に広げていきたいと考えています。特に私たちが今までお付き合いをしたこともないような業界・業種の方々であれば、互いに新しい発見ができるのではないかと期待しています。とにかく業界や業種を問わず、幅広い方々とお会いしたいですね。


■さまざまな業界・分野・製品への応用が期待される3つの技術シーズ

――以上のように別所氏からはオープンイノベーション実施に関する背景やHondaの持つ独自の技術文化について伺った。ここからは、今回公開される3つの技術シーズについて、それぞれの開発担当者から話を聞いた。

【技術シーズ1】 実物同等のクオリティを再現するCGプログラム化技術(TOPS)


▲開発担当者 デジタル開発推進室 CISブロック 研究員 井出大介氏


井出氏が開発したTOPS(トップス)システムは、Hondaが独自で開発を進めてきたテクノロジーであり、実素材の見え方をCG上で再現するための要素技術だ。映像業界で活用されているCGそのもののアウトプットを目的とするようなソフトウェアと異なり、実際の素材や評価環境、CADデータなど反射特性を多角度から計測したデータを取り込むことにより、現物のあるがままの見映えを再現することが可能となる。クルマの外装塗板の複雑な反射特性をシミュレートできるため、Honda社内ではすでにさまざまなクルマの開発・評価で活用されている。

<井出氏インタビュー>


「この技術で実現される『現物のあるがままの見映えを保証するCG』によって、現物がない状態でも現物を正確に評価することが可能になるため、Hondaの自動車開発においてもリフレクションや素材合わせのイメージといった細部の確認ツールとして活用されています。


応用分野としては自動車業界や製造業全般、建築業界など、現物再現のテクノロジーを活かせる領域、顧客体験をバーチャルで提供することに価値が生まれるような業界・サービスでの活用が見込めると思います。また、高度なスキルや属人的なノウハウに依存することなくCGを簡単に作成できるので、現物をもとに物理的に正しい方法で映像を作っていくPBR(フィジカルベースドレンダリング)のトレンドが主流になりつつあるエンタテインメント業界でも活用いただける可能性が高いと考えています」。


<応用・製品化が想定される業界>

●自動車業界、製造業界全般

●建築業界、不動産業界、インテリア業界

●CGソフトウェアベンダー

●エンタテインメント業界(映画、コンサート、ゲーム、旅行体験)

●医療業界

【技術シーズ2】 どんな場所でもバリアフリー化する可変勾配スロープ/軽量かつ高強度・高剛性なアルミ接着積層パネル


▲開発担当者 第9技術開発室 第2ブロック 研究員 西山公人氏


可変が可能な勾配スロープにより、施設の大改造を行うことなく車いすなどの移動の不自由さを解消することができる要素技術だ。現状、最大50cm程度の段差であってもリモコン等を操作するだけで簡易に角度の緩やかなスロープを作ることができるため、高齢化社会における車いす利用者の積極的な屋外活動促進、介護者の負担軽減にも貢献できる技術となる。また、可変勾配スロープ用の部品として開発されたアルミ接着積層パネルは、高強度・高剛性を有しているほか、低コストであり、高い生産効率が期待できる。

<西山氏インタビュー>


「可変勾配スロープシステムに関しては、これからの高齢化社会を見据えて『人の移動をもっと便利にしたい』という想いを実現するために開発した技術です。自動運転が実現したとしても、人や車いすをクルマに乗せる、クルマから下ろすといった動作が必ず必要になりますが、このシステムを活用いただくことによって介護者側の負担を大きく低減することができると考えています。


また、可変勾配スロープシステムの軽量化を目指して開発したアルミ接着積層パネルは、ダンボール構造を応用した上で高い強度・剛性を実現した部材です。軽くて丈夫なパネルなので、自動車キャンパーのベッドや重量物を載せる車内の物置棚、頻繁に棚の取り外しを行う小売店の商品棚、学校の机の天板や椅子の座面など、さまざまな用途への応用イメージを持っています」。


<応用・製品化が想定される業界>

●可変勾配スロープシステム

・車いす利用者の移動に関係する事業者(病院、公共機関、交通機関)

・バリアフリー化を推進するハウスメーカーなどの企業、自治体

・物流、運輸、倉庫、小売店など重量物を扱う業界


●軽量かつ高強度・高剛性なアルミ接着積層パネル

・ベッドや物置棚などを製造する家具・インテリア・オフィス用品メーカー

・建材・内装材メーカー

・学校教育用机・椅子等のメーカー

【技術シーズ3】 高強度×衝撃を吸収する鋼板



▲開発担当者 第9技術開発室 第4ブロック 研究員 興津貴隆氏


高強度かつ降伏伸びと加工硬化を併せ持つ特異な応力ひずみ線図を示すナノDP鋼板を、軸圧潰にて衝撃吸収する中空部品に適用する要素技術。高い強度と潰れやすさを両立した素材であり、破断することなく潰れることにより小ストロークで衝撃のエネルギーを吸収できるため、電車やトラック、バスの車体、航空機のシートといった製品に活用することで、衝突時の安全性を高めるといった活用方法を想定している。同様の特性を示す素材は鉄鋼メーカーや大学での研究開発も進められていますが、Hondaではいち早く試作品を完成させている。

<興津氏インタビュー>


「乗用車に関しては法規や設計の問題もあって適用が難しいのですが、電車やトラック、バスに関しては比較的導入しやすい要素技術であると考えています。さらには飛行機やヘリコプターの座席、部材に活用できる可能性もあります。


また、車両だけではなくガードレールや道路の側壁、橋梁といった交通インフラにショックアブゾーバーのような形で挿入しておくことで、事故や災害、天災の際に被害を最小限に食い止めるといった使い方も想定しています。破断せずに潰れることで衝撃を吸収するという技術から、さまざまな方向へアイデアを膨らませていただける方々と共創したいと考えています」。


<応用・製品化が想定される業界>

●鉄道車両メーカー

●トラック、バス等の輸送機器メーカー

●航空機メーカー

●鉄鋼・素材・建材メーカー

●官公庁、自治体、建設コンサルタント、ゼネコン

■取材後記


現物を忠実に再現するCG技術、高齢化社会を見据えた勾配スロープとアルミ積層パネル、モビリティ社会における安全性への貢献が期待される衝撃吸収部品など、今回公開された技術シーズの方向性、想定される応用分野はそれぞれに異なる。しかし、いずれの技術も現代社会が抱える多様な社会課題を解決に導くイノベーションの源泉になり得ることは間違いないだろう。


別所氏がインタビューで述べた通り、Hondaの技術者の皆さんは高い技術力を持っているだけでなく、目の前のビジネスや同社の得意領域である四輪・二輪だけにこだわらず、「世の中をもっと便利にしたい」という思いを持って基礎研究に打ち込まれている。そんな高い志を持った方々と共創し、社会に大きなインパクトを与えるようなイノベーションを起こしたいと考えている企業の方々は、ぜひ今回のチャンスを活かしていただきたい。