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【ICTスタートアップリーグ特集 #18:XYLOCOPA】全てのユーザーアクションを統合・可視化する「FaveLink」を開発中!XYLOCOPAが実現したい世界観とは

【ICTスタートアップリーグ特集 #18:XYLOCOPA】全てのユーザーアクションを統合・可視化する「FaveLink」を開発中!XYLOCOPAが実現したい世界観とは

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「共創の場」を提供するプログラムだ。

このプログラムでは総務省事業による研究開発費の支援や伴走支援に加え、メディアとも連携を行い、スタートアップを応援する人を増やすことで、事業の成長加速と地域活性にもつなげるエコシステムとしても展開していく。

そこでTOMORUBAでは、ICTスタートアップリーグの採択スタートアップにフォーカスした特集記事を掲載している。今回は、あらゆるブランド・コンテンツの魅力を最大化し、コアファンによって支えられる世界を作ることをビジョンに掲げて活動する株式会社XYLOCOPAを取り上げる。同社が開発を進めているロイヤリティプラットフォーム「FaveLink」の特徴や強み、今後の事業展望について、代表取締役CEOの山口氏に話を聞いた。

▲株式会社XYLOCOPA 代表取締役 山口公徳 氏

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<スタートアップ解説員の「ココに注目!」>

■眞田幸剛(株式会社eiicon TOMORUBA編集長)

・2022年設立の東大発ベンチャーであるXYLOCOPA社は、最新テクノロジーを活用することで、ブランド・コンテンツとファンの架け橋となるべく事業を展開しています。

・同社が開発中の「FaveLink」は、リピーター増加・顧客エンゲージメント向上を支援するB2C企業向けのロイヤリティプラットフォームです。SNS、リアルでの活動、オンライン購入、NFTなど、全てのユーザー活動を可視化・統合し、ブランドごとのロイヤリティを還元できる機能を有するなど、顧客エンゲージメント向上に苦戦する企業のマーケティングに一石を投じる存在となりそうです!

・「FaveLink」は、2024年4月〜5月のリリースを目指して開発が進んでおり、リリース後は某国内観光地のホテルや飲食店での導入が決まっているなど、今後の事業展開にも要注目です!

2つの事業の失敗を通じて、ファンやコアカスタマー獲得の重要性を改めて実感した

ーーまずは起業の背景について教えてください。

山口氏 : 大学卒業後、新卒で損害保険会社に入り、保険営業の仕事を経験しました。保険という商材の特徴もありましたが、完成したビジネスのリスクヘッジ領域の仕事だったので、世の中やクライアントに対してバリューを発揮できていないことに物足りなさを感じ、起業に興味を持つようになりました。

その後、ビジネスについて学ぶために日系のコンサルティング会社に転職し、副業として個人でeスポーツチームの運営に関わりました。そのときにゲームやチームのブランディングなど、顧客とコンテンツの関係性構築における様々な課題を感じたため、テクノロジーによって顧客とコンテンツが一体となって成長していける世界を作りたいと考え、2022年9月にXYLOCOPAを立ち上げました。

ーー現在はロイヤリティプラットフォーム「FaveLink」の開発に注力されていますが、起業から「FaveLink」立ち上げまでの経緯についても教えてください。

山口氏 : 起業後しばらくは、NFTプロジェクトやAIを使ったブロックチェーンゲームの開発・運営に取り組むなど、事業のピボットを繰り返していました。しかし、これらの事業は「ファンを作る」「マネタイズを続ける」という部分で失敗に終わってしまったのです(ブロックチェーンゲームは他社に売却済み)。

このような経験をしたことで、BtoC企業がファンを作ることの重要性や、ファンを作ることの難しさを改めて実感しました。「FaveLink」は、このようなブランド・コンテンツにおけるファンやコアカスタマー獲得の課題を解決できるツールになり得ると考えており、創業時の私たちと同じような思いをしている企業や人々に価値を提供できる可能性があります。だからこそ現在は「FaveLink」の開発・展開に全力を注いでいます。

プラットフォームを横断したロイヤリティ向上を可能にする「FaveLink」

ーーそれでは改めて「FaveLink」の特徴について教えてください。

山口氏 : 「FaveLink」は、全てのユーザーアクションを統合・可視化する、ロイヤリティプラットフォームです。ブランドやコンテンツの運営会社の多くは、X(旧Twitter)やInstagram、YouTube、TikTokなど、複数のプラットフォームを活用して顧客にアプローチしているほか、リアルでの販売やイベントも行っているため、データ取得やマーケティングに少なくないコストや手間が掛かり、結果として顧客エンゲージメントが困難になるという課題を抱えています。

「FaveLink」では、様々なSNSやリアルの販売活動などから得られた顧客データを統合することにより、プラットフォームを横断したリッチなロイヤリティ向上が可能になります。

あらゆるツールとのAPI連携を目指しているため、顧客の活動にブランドごとのポイントを付与できるほか、オーナー側がノーコードで公式ページを作成できる機能もあるので、「イベントに参加してもらう」「アンケートに答えてもらう」「ハッシュタグをつけて感想文を投稿してもらう」「友人にお勧めしてもらう」など、オーナーがユーザーに行ってほしい活動を一カ所にまとめ、一元的に管理することもできるようになります。

ーー現在の「FaveLink」の開発状況はいかがですか?

山口氏 : 2024年4月〜5月には完成の見込みです。また、「FaveLink」完成後は国内観光地のホテルや飲食店で導入いただく話も進んでいます。

「FaveLink」は、SNS等を通じてファンマーケティングを行うあらゆる事業者に導入いただけるサービスであると考えています。ただし当面の間は、ロイヤルカスタマーを作ってVIPを優遇したいホテル、飲食店、メーカー、D2Cブランドなどをターゲットに設定しています。その後、「FaveLink」が着実に育った段階で、ゲームやメディアを中心とするエンタメ領域にも拡大していく方針です。

▲「FaveLink」は、コンテンツやブランドを運営するにあたり、複数のSNSやツールを利用しているため、コストが高く、顧客エンゲージメント向上が困難という課題を持っているB2C企業向けのロイヤリティプラットフォーム。(画像出典:ICTスタートアップリーグ XYLOCOPAページの「資料」より)

カバーできる顧客行動の幅広さと付与できるポイントの仕組みに強みあり

ーーホテル、飲食店、メーカーを初期ターゲットに据え、エンタメ領域をセカンドターゲットに定めている理由について聞かせてください。

山口氏 : もともと「FaveLink」は、推し活のような仕組みを支援するプラットフォームであり、現在のところは推し活の仕組みがホテルや飲食店、メーカー、自治体などと相性が良いと考えて事業を推進しています。

ただし、すでに本格的な推し活が行われているエンタメ領域で価値を発揮するためには、ユーザー数の拡大なども含め「FaveLink」というプラットフォーム自体のパワーを高めていく必要があります。また、将来的にはエンタメ領域のファンを非エンタメ領域に誘客するような流れも作っていきたいと考えているので、エンタメ領域をセカンドターゲットに置いています。

ーー競合するプラットフォームやサービスは存在しますか? また、それらの競合に対する「FaveLink」の優位性についても教えてください。

山口氏 : 個社ごとのポイントアプリを作れるサービスやデジタルギフトサービス、さらにはT-POINTや楽天ポイント、PayPayポイントといった統合ポイントも競合になり得ると認識しています。

個社ごとのポイントアプリサービスやデジタルギフトと「FaveLink」の違いは、カバーできる顧客行動の幅広さにあります。SNSやリアル、オンライン、NFT、インベントなど、「FaveLink」では全てのユーザーの活動をカバーすることができ、カスタマイズすることも可能です。

また、統合ポイントについては、付与したポイントが自社ブランドではなく、別のブランドで使われてしまう点が課題がとなります。「FaveLink」ではブランドごとのポイントを付与できるので、ユーザーやファンが自社ブランドに戻ってくる導線を作り、自社ブランドのファンを効率的に増やしていくことが可能です。

将来的には「好きにつながるSNS化」を目指したい

ーー今後の事業展開について教えてください。

山口氏 : 会社としては「全てのブランド・コンテンツの魅力を最大化し、コアファンによって支えられる世界を作ること」というビジョンを掲げていますが、短期的には多くの方々に「FaveLink」を使っていただける状態を作ることに注力します。

まずはマーケティングツールとして使っていただき、データが貯まってきたらマーケティングのAIコパイロットとするなど、私たちのクライアントとなるブランドやコンテンツのオーナー様が「FaveLink」を活用することにより、自力でファンを作り、持続的なマネタイズを実現できるような環境を提供していきたいと考えています。

ーー中長期的な事業展望についてはいかがでしょうか。

山口氏 : 「FaveLink」が広まっていくことで、ユーザーが好きで行った活動のデータがどんどん貯まっていくはずです。「好きでこの場所に行った」「好きでこのホテルに泊まった」「好きで応援グッズを買った」「好きでSNSをフォローした」といったデータを蓄積・活用することで、「好きにつながるSNS化」を目指したいと思っています。

現在でもSNSの投稿を見れば、投稿者のことはある程度分かります。ただ、趣味や深い部分の嗜好については、まだまだ分かりにくい状況です。そこで私たちが目指したい「好きにつながるSNS」のようなものがあれば、遠くにいる人同士が同じ趣味でつながったり、趣味・嗜好の合う人同士でイベントや観光に出かけたりすることもできるはずです。中長期ではそんな世界を作っていけたらいいなと考えています。

ーーどのような企業とのオープンイノベーションを期待していますか?

山口氏 : 先ほどもお話しした通り、2024年4月〜5月には「FaveLink」が出来上がる予定です。自社ブランドやコンテンツのロイヤルカスタマーを作りたいものの、どう活動すべきか分からない。様々なSNSを活用して認知を広げ、そこからファンを作っていきたい。そんな課題をお持ちの事業者様であれば、ジャンルを問わず私たちにお声がけいただければと思います。PoCからでも問題ありませんし、ぜひ一緒にチャレンジしていきたいですね。

取材後記

企業が様々なSNSやツールで顧客にアプローチできる環境が整った一方、ブランドやコンテンツの大量生産により、長期的にコンテンツを支えてくれるようなコアファンを獲得しにくい状況も生まれている。XYLOCOPA社が開発する「FaveLink」の活用が進み、様々なデータが蓄積されていくことで、コンテンツ運営企業とファンの双方にとって、より良い関係性をスムーズに構築できる環境が生まれるかもしれない。コンテンツとファンがつながるべくしてつながり、共に発展・成長していけるような世界の実現を楽しみに待ちたい。

※ICTスタートアップリーグの特集ページはコチラをご覧ください。

(編集:眞田 幸剛、文:佐藤直己)

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  • 奥田文祥

    奥田文祥

    • 神戸おくだ社労士事務所
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  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

    • eiicon company
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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「競争の場」を提供するプログラムです。TOMORUBAではICTスタートアップリーグに参加しているスタートアップ各社の事業や取り組みを特集していきます。