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【イベントレポート】 ローンディールフォーラム2018「働き方改革、副業解禁、人生100年時代に組織はどう変わるべきか」

【イベントレポート】 ローンディールフォーラム2018「働き方改革、副業解禁、人生100年時代に組織はどう変わるべきか」

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―個人の働き方が大きく変わろうとしている今、組織の在り方はどうあるべきかーー人材の流動化・組織変革の意義を考えさせられるこの機会に開催された”ローンディールフォーラム2018”。本イベントは、企業間レンタル移籍プラットフォームを運営する株式会社ローンディールが主催し、『働き方改革、副業解禁、人生100年時代に組織はどう変わるべきか』というテーマで開催された。会場となった東京ミッドタウン日比谷BASE Qは満席になるほど、多くの関心が寄せられた。

レンタル移籍を経験して、得られるものとは?

「イノベーションを起こしたいという企業が増え、各社がビジネスコンテストや、新規事業部・CVC新設などの動きが進む中で、最後に行き着く課題はやっぱり“イノベーションを起こせる人がいない”ということである」と、ローンディール代表取締役社長・原田氏は語る。

大企業の人材育成というテーマを掲げる企業間レンタル移籍プラットフォーム「ローンディール」は、ベンチャー企業に半年~1年の期間で移籍をし、事業立ち上げという実践的な経験をすることで、社員が育つという仕組みになっている。

レンタル移籍を通じて、社員が得られるものの1つ目は個人のマインド。後ろ盾がないことで、背負っていた看板の意味に気付き、自分自身の力を再認識することで成長余地を把握する。またトラブルが続いたり、時には預金通帳を見ながら悩んでいるリアルな経営者の姿を間近で見て、「自分自身は何のために働いているのか?自分の会社はどうなのか?」ということを考えるようになる。

得られるものの2つ目は、マネジメント手法。ベンチャー企業の、ツール・意思決定の仕方・働き方・事業開発の有り方は、実は大企業でも転用できるものだ。ベンチャー企業が取り組む手法は、企業規模ではなく、ビジネスの“不確実性が高い”場合に相性が良い手法なのである。新規事業創出に取り組む大企業は、真似るべきポイントである。

また、個人と組織の在り方も変わってきており、個人が相談をすると組織から正解が返ってくる関係性では無くなってきている。正解のない世界については、意思を持つ個人と存在意義を持つ組織が、相互に影響しあうような関係が求められるとのこと。個人が成長することはもちろんだが、今急速に組織の変革が求められている。

そのような変革が求められる中、「人生100年時代の中で組織が変わる必要性」「組織が変わるきっかけとして人材流動化は有効なのか」「流動化した個人をどう生かすべきなのか」――それぞれのキーパーソンたちが登壇し、熱いディスカッションが繰り広げられた。

基調講演 「働き方改革とプロフェッショナル力(りょく) ~ 人生100年時代の働き方、学び方」

▲経済産業省 産業人材政策室長 参事官 伊藤 禎則氏

長時間労働の問題が社会的にクローズアップされる今、今後法改正がされれば労働時間にキャップが生まれることとなる。そうすると求められるのは労働時間を減らすことではなく、生産性を上げることである。それも、無機質なシステム化されたものではなく、働く個人1人1人のモチベーション・エンゲージメントに支えられた生産性の向上だ。それを、働き方改革第2章として今、政府をあげて取り組んでいる。

また、出産・育児・介護など、何かしら成約がある中で働く人のニーズ価値観は多様化している。まさに一億層活躍成らぬ一億総“制約”。働き方も多様化しており、企業もそれに向き合わなければいけない。

経済産業省で研究会を立ち上げ、兼業・フリーランス3000人への大規模調査を行い、政府の定めるモデル就業規則は今年2月に改定をし、今や副業に対しての原則と例外は逆転をした。そのように働き方が多様化すると、選択肢も広がる。選択肢に対して責任を持つには、それぞれの立場に応じたプロフェッショナルが求められる。

そこで、今“社会人としての学び”も政府の検討テーマとなっている。「自分自身が何を持ち、持っていないのか。」――これは、社会人になる前の大学生のものではなく、30代・40代・50代で考えていく、学び方を学んでいくことが重要なのだ。座学での学びも重要だが、それ以上に実践・体験による学びも重要であると、期待を語った。

パネルディスカッション「レンタル移籍後の三者の本音」

▲写真左から

株式会社ローンディール 最高戦略責任者 細野 真悟氏 ※モデレーター

西日本電信電話株式会社 ビジネスデザイン部 企画部門 部門長 北口 哲也氏

西日本電信電話株式会社 ビジネスデザイン部 佐伯 穂高氏

株式会社ランドスキップ 代表取締役社長 下村 一樹氏

西日本電信電話・北口氏は、なぜレンタル移籍を始めようと思ったかという問いに対し、「本業であればロールモデルは社内にいるが、新サービス開発を担う部署のため、社内に必ずしもロールモデルとなる人がいるかでいうとそうでない。それであれば実践しているところに送り込んだ方が効果的ではないか」とのことで、計4名の社員をレンタル移籍へ送り込んでいるという。

受け入れたベンチャー企業のランドスキップ・下村氏は、「創業2年目となり、ようやく形になったサービスを展開していく、個人商店のスタイルから仕組化をしていくタイミングで、大企業で仕組みづくりをしている方の力を借りたかった」とのこと。

実際に、レンタル移籍をした西日本電信電話・佐伯氏は、「正直自分がこんな役に立たないと思わなかった」と移籍1か月目を振り返る。遠慮をしすぎていると感じた佐伯氏に対して下村氏が、「答えを求めようとしていないですか。僕も正解が分からない、一緒に考えましょう」と問いかけたことが、浮上のきっかけだったそうだ。

それから自身の強みを活かしていくことに注力をした佐伯氏。事業戦略の絵をかき、仕組化を推進していく、今までの大企業でやってきたことで役に立てることがあると気付いたとのことだ。

佐伯氏が自社へ戻り、ランドスキップ・下村氏にとってはかなり痛手であるようだが、仕組化をしてもらえたことでビジネスとしては大きく前進したという。また最後の仕事としては、自身の後任として会社を支えるにはどのようなスキル・人物が良いのかまで設計し、面接まで行っていたようで、「代表と文字通り背中を預けて戦った半年だった」と語る下村氏は、まさにベンチャーのCOOそのものであった。

特別鼎談「人が動く、組織が変わる」

▲写真左から

早稲田大学ビジネススクール准教授 入山 章栄氏 ※モデレーター

ロート製薬株式会社 会長兼CEO 山田 邦雄氏

三井不動産株式会社 ベンチャー事業共創部 光村 圭一郎氏

早稲田大学ビジネススクール准教授・入山氏は、「日本企業にイノベーションが求められている中で、難しい理由は“知の深化”に偏っているからだ」と語る。イノベーションの本質は「知と知の組み合わせ」である。新卒一括採用をする日本のように同じ環境に居続けても、既に目の前の知と知の組み合わせは、もう出来上がってしまっているため、イノベーションは生まれにくい。

なるべく自分と離れた場所で“知の探索”をする必要があるのに関わらず、多くの企業が“知の深化”に偏っているのだ。異なる知見を持つ人を同じ組織に入れる、つまりはダイバーシティ化もイノベーションを促進することとなり、また1人の人が多様な知見を持つ「個人内多様性」もそうである。例えば、副業によりそれが実現することを考えると、働き方改革は知の探索人材を増やすことに繋がるのである。

日本の大企業で初めて副業解禁をしたロート製薬・山田氏は、「北海道・石垣島で、漁師・農業を行っている社員もいる」と話す。彼らは、自身がいた世界がいかに守られたものに気付き、今日の稼ぎのみならず、今後稼ぎをどのようにつくっていくべきかということを、本能的に考えるようになるのだという。

このようにイノベーションのベースになるのは危機感であるが、大手企業は既存事業が安定しているため危機感が醸成されにくい。少子高齢化において消費者が減少していく中でどうしていくのか、新興国が目覚ましい成長の中で日本はどうあるべきなのか。「どのような危機感の上にイノベーションを起こす必要があるのか考えていくことが重要なのである。」と山田氏は語る。

「僕自身も会社が仕掛けたスイッチにより、変革する部分もあったのかもしれない」と、三井不動産にてイントレプレナ―として活躍する光村氏はこう語る。”今はこういった立場で話しているが、昔は自分自身も普通のサラリーマンであった。会社からのミッションの中で何か面白いことをやっていくと考えていた。ベンチャー企業との対話を重ねていくことで、既存事業の枠を超えるようになっていった”とのことだ。

また、「イントレプレナ―が活躍する会社を選ぶ時代になっている」と自身の立場から語る光村氏。VCを選べるのが起業家の特権であり、メンバーも自身で選ぶことができる時代である。その上で、あえて会社の中で新規事業を起こすのは、その会社のビジョン・存在意義への共感、リソースが魅力的であるかどうかということが必要だ。イノベーションを起こしていく中でも、「求心力」ある組織創りが不可欠だと3名はそれぞれに語った。

取材後記

「人材の流動化」「働き方変革」という言葉が飛び交う中、イノベーションが求められる日本は、本来の意義・目的をどのように考えているだろうかーー。その意義を考え抜き、イノベーションを起こしていく、求心力ある組織を創り続ける本日のキーパーソン達の話から、改めて向き合い方を考えるきっかけになったフォーラムだったと感じた。

※本イベントを主催した「ローンディール」のコンセプトや考えをより詳しく知りたい方は、6月27日(15時30分~17時)開催のセミナーにご来場ください。詳細はコチラから。 http://eventregist.com/e/loandeal_seminar0627

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