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【イベントレポート】NEDOドリームピッチ 内閣府オープンイノベーションチャレンジ特集!認定ベンチャー15社がピッチ登壇!

民間事業者の「オープンイノベーション」の取組を推進し、国内産業のイノベーションの創出と競争力強化への寄与を目指し設立されたJOIC(オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会)。7月13日(金)、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)とJOICの共催で、オープンイノベーションの推進に資するピッチイベントを実施。今回は、内閣府も共催に加わり、「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2017」と連携してNEDOドリームピッチを開催した。


「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2017」とは?

国の機関が有する具体的ニーズに対応した新たな技術や着想を積極的に発掘し、社会実装(事業化)していくことを目的に、それらを有しニーズに合致した開発を行う研究開発型中小・ベンチャー企業を、内閣府が公募し認定する試行的取組。

今回は、警察庁、消防庁及び海上保安庁が有する現場の具体的ニーズを基に9つの募集テーマを設定。公募・審査を経て13社の中小・ベンチャー企業による15件の提案を認定した。7月13日のNEDOドリームピッチでは、この13社が登壇し、自社の研究開発の成果と事業提携ニーズについて、創造性の高いプレゼンテーションを行った。


募集テーマは以下9テーマ:

テーマ1 遠方の水難要救助者に対し正確かつ安価に救助資材を搬送する手法

テーマ2 火災現場等において無線機器等の音声を支障なく聞き取る手法

テーマ3 濡れた火災灰等での捜索等の活動時間を短縮する手法

テーマ4 車両を強制的かつ安全に停止させる手法

テーマ5 雑踏において一般市民に混在する不審者を発見・検知する手法

テーマ6 個人が徒歩で警備・救助等を行う際、放射線を可視化する手法

テーマ7 係船・曳航作業における作業員の負担軽減・作業時間の短縮に資する手法

テーマ8 海洋を航行する船舶のメンテナンス作業を軽減させる手法

テーマ9 海上において周囲に対し昼夜問わず明確に情報伝達等する手法


ピッチ第1部

株式会社プロドローン/株式会社トラジェクトリー/株式会社フォルテ/パイフォトニクス株式会社 全4社


▲株式会社プロドローン 取締役副社長 菅木 紀代一 氏

第一部、最初のピッチでは、悪環境下(天候/地形)における探索活動の時間短縮を実現するための手法として、株式会社プロドローンの開発したドローンが紹介された。人の立ち入りが困難な火山等の危険性の高い高標高帯において安全、高精度かつ効率的に探索を実施するソリューションを提案した。耐久性はもちろん世界に先駆けて開発した全天候型の機体を開発し多少の雨風でも駆動する。画像解析や各種センサーも搭載し、人がどこにいるのかも自動で予測・検知する。これにより、夜間での捜索をはじめとする様々な状況下での捜索が可能となり、警備や防衛目的でも期待される。


株式会社トラジェクトリー 代表取締役CEO 小関 賢次 氏

テーマ6にあたる「個人が徒歩で警備・救助等を行う際、放射線を可視化する手法」として3社がピッチに登壇した。その中で今回注目したのは、株式会社トラジェクトリーである。最初に登壇したプロドローン社がドローン機体の開発する一方、同社が開発するのはドローンシステムだ。空域の管制システムを応用した区域内放射線量をリアルタイムに可視化するソリューションを提供している。空域の管制システムを応用することで同時に複数台のドローンを効率的に運航できる。また同社は、従来機種よりも長時間飛行可能なドローンを保有しており、救助活動時において優位である。

被災地現場が直面している課題として、隊員の方が被ばくするという大きなリスクが伴う。放射線量の測定を簡易に行いかつ可視化することで、隊員の安全を守りながら目の前の被ばく者を救助することが非常に重要である。同社は防護服で見えにくい・動きにくい環境においてもリアルタイムに測定して情報を提供できる。他には、リアルタイムに放射線測定し、IoT端末が準天頂衛星対応のため測定結果を高精度でマッピングする技術を保有する株式会社フォルテに加え、広範囲の放射線量をリアルタイムで可視化する小型ガンマー線検出システムを開発しているパイフォトニクス株式会社が登壇した。今後のエネルギー事業や医療事業(被ばく管理や線量測定)の発展への貢献が期待される技術であった。


ピッチ第2部

パイフォトニクス株式会社/高木綱業株式会社/大綱株式会社/バイオエポック株式会社/株式会社FullDepth 計5社


▲大綱株式会社    常務取締役統括部長 石川 裕 氏

ピッチの第2部では、テーマ7,8,9と海上保安庁が有する現場の具体的課題を解決する技術を持つベンチャー5社が登壇した。テーマ7で挙げられた係船・作業における作業員の負担軽減・作業時間の短縮の実現を可能にしたのが、大綱株式会社である。「脱ワイヤーロープ」を掲げている同社は、現状のワイヤーロープに代わり、超高強度・超軽量で耐候性・耐薬品性に優れている、超高分子量ポリエチレンからできた繊維ロープを開発。これにより、従来の「重い・固い・錆びる」というデメリットを全て補うことから「次世代の命綱」と期待され、重労働かつ危険性の高かった係船・曳航作業の負担軽減に貢献する。現在、労働不足と高齢化が進む林業分野において伐採した木を集材するのに同社開発のロープが採用され、従来のワイヤーロープの10分の1の重さで作業が可能となり負担軽減を実現している。石川氏は「今後、特殊繊維ロープの新たな活用法を生み出すため、提携パートナーを求めている。また、フックやウィンチなど周辺機器の共同開発のパートナーとも提携し、幅広い領域で繊維ロープの実装を進めていきたい」と話した。


▲高木綱業株式会社 代表取締役社長 高木 敏光 氏

もう一社紹介したい。テーマ9「海上において周囲に対し昼夜問わず明確に情報伝達等する手法」で認定を受けた企業の1つが、高木綱業株式会社だ。同社は、高い自由度で組み合わせ可能な柔軟・軽量で高耐候な小型・薄型のLED表示シートを開発。これまで船艇間での情報共有が非常に分かりづらい状況におかれていたが、これにより昼夜問わず周囲に対して情報表示できる光量を備え、大型・高解像度な文字や画像の表示が可能になる。同社技術の用途は様々である。店舗・商業施設や各種イベントから警備など、官民問わず、また海上に限らず陸上・屋外でも展開が期待される。


ピッチ第3部

カーシエル株式会社/株式会社空撮技研/株式会社ベアリッジ/株式会社フォルテ/ BoCo株式会社/株式会社Trigence Semiconductor


▲株式会社ベアリッジ 代表取締役 中橋 康太郎氏

火災現場等のような騒音環境下における無線機器等の音声を支障なく聞き取る手法を今回募集テーマとして掲げた結果、最多の4社が認定された。骨伝導や同時通話型のトランシーバー等のハード面の他、半導体に係るものなど、幅広い領域での提案が紹介された。ここでは1社の紹介を行いたい。株式会社ベアリッジは多人数で同時通話ができるハンドフリートランシーバーを開発した愛知県にあるベンチャーである。通常、消防士が使用するスピーカーマイクは、騒音下では声が拾いにくい。またトランシーバーは重く、手がふさがり同時作業が出来ない。そのような課題を、同社開発の『B-EAR小電力同時通話トランシーバーBRIDGECOM X5』(以下X5)は、「身軽に、ハンドフリーでクリアな音質」という機能を両立させることで解決している。現在、同社はX5の上位機種(X5 pro)を開発中であり、前述の機能はもちろん、火災現場をはじめとする様々な過酷な現場でも対応できる強靭性をも備えた製品とすることで、作業を行う人々に対し、安全で安定的な情報交換を可能とすることを目指している。幅広い現場で同社製品の導入が期待されている。


▲株式会社空撮技研  代表取締役 合田 豊 氏

また、最後のテーマとして、遠方の水難要救助者に対し正確かつ安価に救助資材を搬送する手法を提案した企業の中で採択企業1社を紹介したい。株式会社空撮技研は迅速な水難救助の初期対応を目指した自走式浮具群を搭載したドローンの開発を行う。全天候型ドローンを開発し、風速20mで離陸、安定飛行を実現する。さらに独自開発のドローンスパイダーを搭載し、要救助者に浮具に取り付けたパイロットロープを届け、人命救助の確率を高める。現在特許出願中である。今後は民間の警備、保安等の業務を行う顧客をターゲットとして広く導入を促進していき、世界進出していきたいと締めくくった。


取材後記

認定された13社のピッチの先進的な技術力はもちろんであるが、難易度の高いテーマに関して明確なソリューションを提示していたように見える。台風、地震、津波、火山噴火…のように毎年多くの被害が発生している、災害大国である日本において、今回発表した技術やアイディアは、現場の実状を少しずつ改善していく一手になるであろう。災害支援は一過性な取り組みで終わらせず、継続できることが非常に重要である。様々な企業と手を組みこの技術を次世代に繋いでいき、結果一人でも多くの命や現場の人びとの力となってほしい。そう期待せずにはいられないピッチであった。

(取材・文:保美和子)