株式会社構造計画研究所(以下、構造計画研究所)とフィンランドの研究機関であるVTTフィンランド技術研究センター(以下、VTT)は、山口大学 宮本 文穂 名誉教授と共に、路線バスを利用した橋梁の維持管理データの収集と利活用に関する実証実験を行ったと発表した。


■実証実験の概要

橋梁の振動データのモニタリングと同時に、路線バスの車軸に取り付けた加速度センサーを用いて、橋梁の状態を判断する材料となる「たわみ特性値」を抽出。また、段差などの路面の状態についてもデータ収集を実施。

●実験日:  2018年9月6日

●研究期間: 2019年5月17日まで

●バス: HSL(ヘルシンキ地域交通局)運行のバス 1台

●対象橋梁:Matinsilta橋、Olarin risteyssilta橋(エスポー市)


実証実験の結果

「たわみ特性値」算出の前提条件である、橋梁とバスの振動の相似性が認められ、バスが橋梁上を通過した際の車軸の振動から、橋梁の「たわみ特性値」を算出することが可能だと確認できた。また、段差通過時の振動データなど、路面の状態の違いによるデータ変化も確認。すでに日本でも同様の実験を行っているが、橋梁の構造や気候などの条件が日本とは異なる国においても、バスを利用した橋梁のモニタリング技術が応用できることを実証できたという。


■取り組みの背景と今後の展開

インフラの老朽化は日本のみならず、世界の社会課題だ。中でも橋梁の安全管理については、費用を掛けずに毎日簡単に点検・モニタリングする方法が探求されている。構造計画研究所では、路線バスを利用した「車載型センシング」に関して、従来から調査研究を続けてきた。

一方、フィンランドのヘルシンキ市では「スマートシティ構想」を掲げ、都市のあらゆる情報に誰もが容易にアクセスし、利活用できる社会基盤の構築が行われている。その一環として、路線バスから得られる情報を活用し、市民生活の利便性向上を目指すプロジェクト「e-Busプロジェクト」が進行中だ。

今回の実証実験は、「e-Busプロジェクト」が提供する情報の一つとして、走行するバスの振動から路面や橋梁の劣化などに関するデータを取得するというテーマで行われた。構造計画研究所とVTTフィンランド研究技術センター、および山口大学 宮本 文穂 名誉教授が連携することで実現した。

今後は、実用化に向けて、今回の実証実験以外の様々な条件にて通年でデータを集め、本システムの運用条件をより詳細に見極めていくという。


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(eiicon編集部)