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最先端のマクニカセンサー技術とかけあわせてスマートシティーソリューションの創出に挑む!安心・快適・便利な空間・体験の創出を目指して【BAK NEWNORMAL PROJECT 2022】

最先端のマクニカセンサー技術とかけあわせてスマートシティーソリューションの創出に挑む!安心・快適・便利な空間・体験の創出を目指して【BAK NEWNORMAL PROJECT 2022】

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コロナ禍で大きく変わった私たちの生活。その中で見直されるようになったのが「空気」と「人流」。目に見えない空気を意識し、これまではあまり気にしなかった混雑を避けて生活するようになった。

そのような空気や人流をセンサーで感知する上での様々な技術を持つのが、グローバルに事業を展開している先端テクノロジーのサービス・ソリューションカンパニー、株式会社マクニカだ。普段、同社のサービスを意識することはないが、実は様々なシーンで私たちの生活を支えている。

そのマクニカが、神奈川県主催の「ビジネスアクセラレーターかながわ(通称:BAK(バク))」にパートナー企業として参画し、共創相手を募集する。本プログラムで解決したい課題、同社が見据える未来とは。今回は新事業本部の林雅幸氏、アルティマカンパニーの澤靖夫氏、クラビスカンパニーの小川雅央氏に話を聞いた。

【上画像/中央】株式会社マクニカ 新事業本部 インキュベーション室 室長 林 雅幸氏

【上画像/右】株式会社マクニカ アルティマカンパニー第3統括部プロダクトセールス第1部 主席 澤 靖夫氏

【上画像/左】株式会社マクニカ マクニカクラビスカンパニービジネスソリューション第2統括部カスタマーサクセス室 室長 小川 雅央氏

これまで蓄積してきたデータを活用し、新たな価値を創出

まずは今回、BAKに参画した背景を聞かせてください。

林氏: 地域の生活者に直接価値を提供することによる、安心・安全で快適な暮らしに向けた新しいサービスソリューションを創るためです。私たちのビジネスは、今まで半導体事業、ネットワークセキュリティー事業を中心としながら、各自治体や企業に対して自動運転サービスやサービスロボット、様々なセンサーを活用したビル管理ソリューションを提供し、地域のスマートシティーに貢献してきました。

今後は対企業だけでなく、より生活者の方にもそのセンサーやカメラで得られた情報ならびに、その情報をもとにした行動変容を促すサービスを届けることによって、より安心・安全で快適な暮らしに貢献したいと考えています。


このため、この生活者に直接価値を提供するという点において得意分野を持ち、一緒に生活者の安心・快適・便利な暮らしに向けて新しいサービスを作っていけるパートナーを探すために、今回本プログラムに参画しました。

これまでもオープンイノベーションには取り組んできたのでしょうか。

林氏: 弊社がグローバルに最先端テクノロジーを見極め、国内企業へ導入することをコア事業としていますので、海外企業との新しいサービス共創の機会は非常に多いです。一方、比較的国内企業との共創実績は今までは限られておりましたが、現在スマートシティーやメディカルなど弊社において新事業と呼ぶ領域において、国内の企業や大学との価値共創に取り組むことがとても増えています。

このたび、BAKでのオープンイノベーションを通して、神奈川県内でのスマートシティーに向けた新サービス開発・実証実験を行い、将来的には、この活動の中で得た知見を活かしながら、他地域や海外でのスマートシティー開発にも貢献していきたいと考えています。

「空気分析」と「映像データ」。最先端技術の有効活用が共創のテーマ

ー今回の募集テーマについて、話を聞かせてください。

澤氏: 1つ目のテーマは「空気環境改善システムの構築」です。新型コロナウイルスの影響で、CO2濃度を計測しながら換気をするなど、目に見えない空気に対して注目が集まっていますよね。


私たちもコロナ禍において、センシング技術を用いて空気の質を正確に測定するサービスを提供してきました。そのノウハウを生かして、より質の高い空気質の見える化を提供していきたいと思っています。

質の高い空気とはどういうものでしょうか。

澤氏: 例えば仕事のパフォーマンスを上げられる空気などです。二酸化炭素濃度の高い空間では、集中力が落ち、場合によっては眠くなることが研究でわかっています。逆に酸素濃度の高い空間では集中力が上がり、ストレスも軽減できるのです。

また、屋内空間に漂うTVOCガスやPM・粒子は、呼吸による人体への侵入で、様々な健康被害を及ぼします。ヒトは生涯の約9割を屋内で過ごすと言われております、なので、屋内の空気質は、安心・安全・快適なものでないといけないと考えています。

質の良い空気が、仕事のパフォーマンスの向上、快適性の向上、人々の健康の維持につながるのであれば、将来「空気を買う時代」がきてもおかしくありません。眉をひそめる方もいるかもしれませんが、水だって昔は同じ反応をする人がいたのに、今ではミネラルウォーターを買うのが当たり前になりましたよね。

いずれは質の高い空気も商売にはなると思いますが、私たちには屋内空気質を正確に測定する技術はありますが、生体情報と空気質を紐づけるデータ解析の見地、また機器連携を行い質の良い空気を創り出す技術がありません。私たちの技術を使って、新たな空気質の意味、ビジネスを一緒に作っていけるパートナーを探しています。

もう一つのテーマについても教えてください。

小川氏: もう一つのテーマは「画像データのビジネス化」です。私たちは世界でも最先端の画像解析技術を扱っており、AIを活用した施設内の人流検知や異常検知のほか、コロナ禍では混雑検知にも活用してきました。

今はいたるところに監視カメラが設置されてきておりますが、これは大規模施設が増えていく中で今後、加速していくと考えております。その中で映像データを活用して様々な課題を解決していきたいと考えております。

現状、監視カメラは、主に防犯(警備)目的に設置されることが多いのが実情です。ただ、実際に人が見ているのはわずか一部、また、大量の録画映像データがあるにもかかわらず、ほとんどのケースで見返されたり、データ化し活用されていないのが実情と認識しております。企業がデータを活用しきれていません。

BAKでは、監視カメラのデータを活用したサービス、または他のデータを活用し新たなサービスを一緒に作っていけるパートナーを探したいと思っています。

監視データはどのような使い道があるのでしょうか?

小川氏: 例えば商業施設においては、画像解析を活用し、来店者数や来客の年齢・性別、店内の回遊状況など、従来取得できなかった来店者の行動をデータ化することができます。しかし、このデータのみでは売上向上に向けた施策を考案する事が難しいです。

このデータに価値を持たせるためには、他のデータと合わせる事が重要と考えます。例えば、商業施設内の売上データを掛け合わせると、来店者の行動のデータと売上の相関が見えてくる可能性が高くなってきます。この相関データを元に売上向上に向けた施策が打ち出せる可能性が出てくるという考えです。

さらにその施策についても、データ分析、AI、アプリなどが活用できますが、実際に活用される方々が、自然に活用できる物である必要があります。逆にそこが無視されると、活用できない施策となってしまう恐れがあると考えております。

そういう意味で、弊社が保有する画像解析は、従来取得できなかったデータを取得することができますが、そこに価値を見出すためには、他のデータを保有している方々、及びデータを活用したサービスの使い手、市場のドメイン知識を持たれている方々と一緒に共創していく必要があると考えております。


他にも、監視カメラのデータの活用方法として、冒頭の説明の通り、防犯カメラはリアルタイムの監視に利用されていないケースがあります。その理由は大型商業施設や公共交通機関などでカメラの設置台数が増えても、監視員の数は増えていないからです。セキュリティや安全管理、設備保全など様々な用途でカメラを設置し、膨大な監視インフラにコストを投入していても、具体的な効果を発揮できていないというのが実状です。

そこに対し画像解析を活用する事で、巡回や立哨の警備員を減らしたとしてもリアルタイムで強化されたセキュリティを実現する警備員の業務も多岐にわたるため、監視警備で事故や傷病者などの異常をリアルタイムに発見できていない現状があります。映像を活用できていたとしても録画確認などの事後対応になってしまうことがほとんどです。

それゆえ警備を強化する場合には、監視員や巡回・立哨警備のリソースを増やす必要があり、機械警備やAIの導入を検討するも、実現できることが限定的で警備としての役割(様々な異常、予兆を発見すること)を担うことが難しく、運用にも手間がかかります。

結果的に人手での警備を継続せざるを得ないという判断をされている企業も多いのではないでしょうか。

これから人口が減っていく中で、ビル管理の人材不足も問題になっています。ただでさえ少ない人材をビル管理に割くことができないため、監視カメラを使って省人化しながら安心を守れるサービスも必要です。特に神奈川はビルが多いので、地元の安心を守って地域に貢献できると嬉しいですね。


全社のアセットを最大限活用して共創に臨みたい

これまでも共創事例のあるマクニカさんですが、どのような企業と相性がいいのでしょうか?

林氏: 我々の大事にしている言葉・志として、「変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探索し、未来を描き“今”を創る」というパーパスがあります。このなかで特に、“今”を創ることにこだわりをもっており、いままで最先端テクノロジーを扱う中で多数の課題が発生しながらも、課題を一つ一つ粘り強く解決し “今”を創ってきたことを自負しています。

このため、新しい取り組みに挑戦する中で、必ず課題が多数発生することは前提とした上で、一緒に粘り強く解決することを諦めない企業、そして、生活者の安全・安心で快適な暮らしに向けて、粘り強く良いものを創っていきたい企業と相性が良いと思います。

また、社内には新しい技術が大好きな人間が多く、空気質・カメラ画像処理に限らず様々なセンサーなどの技術がありますので、新しい技術が好きで知りたい、使ってみたいというベンチャー企業とであれば、幅広く技術活用に向けた議論が可能です。あまり一般的に知られていない技術や、なかなか今までベンチャー企業では扱いが難しかったような技術も沢山ありますので、技術好きな企業にとっては大きな魅力になるのではないでしょうか。

実際にどのような共創事例があるのか聞かせてください。

林氏: 最近の共創事例としては、メディカル分野になりますが、日常生活下のバイタル変動取得・解析を得意とする会社と共に 24時間バイタルモニタリング機器の開発、生活習慣病の予防、 治療、予後に関するソリューションの共同開発を行っています。

また、別の事例として、高齢者の自立を支援する取り組みとして、大学・企業と共に疫学研究のエビデンスに基づいたフレイル予防サービス “MAQUP(メイクアップ)”の提供を今年の5月から開始してます。


また、ハッカソンやアイディアソン等も開催して、自分たちが持っている技術の活用法を募集したこともあります。海外の企業とくらべれば、国内企業との共創はまだ少ないものの、弊社にとって新事業領域の一つである「安全安心で快適な暮らし」を支えるスマートシティーやメディカル分野については特に、様々な得意分野を持ち寄りながら、ソリューションを共創していきたいと考えています。

実際に共創するシーンでは、どのようなアセットを提供できそうですか?

澤氏: それぞれのテーマにおける技術はもちろんのこと、社内の様々な技術も活用してもらえます。私たちは事業ごとに部署が分かれているのですが、密にコミュニケーションをとりながら常に情報交換しています。

共創を進めていく上で必要になりそうな技術があれば、他の部署に聞きながら進めていくことも可能ですし、複数の技術を組み合わせてサービスを考えてくれるのは私たちとしても嬉しいこと。今回、テーマを2つ挙げましたが、両方の技術を組み合わせてサービスを作ってくれる会社がいれば尚嬉しいですね。

最後にそれぞれメッセージをお願いします。

小川氏: 私たちは、画像解析も含む最先端のテクノロジの知見を保有しており、その使い方と、社会課題に対しどのように活用すべきか、というところまで想像することができますが、実際にそのテクノロジを活用した新しいサービス、価値を創造するためには、特定のドメイン知見、データを持たれている方と一緒になり共創する必要があると考えております。ぜひ私たちが持つ技術を有効活用してもらえると嬉しいです。

澤氏: 当たり前のようにある空気も、マクニカの技術があれば、これまでと違った活用ができるはずです。新しい「空気のあり方」を一緒に作っていける会社のアイディアと組み合わせることで、これまでにない価値観をうみだしていきたいと思っています。

林氏: コロナ禍で私たちの生活様式が変わったことで、これまで当たり前だった「リアルな暮らし」の重要性を再認識しました。どんなにオンラインの技術が発達して便利な世の中になっても、生で感じる匂いや音などの五感は人としてとても重要です。

私たちのテクノロジーは、それら五感で感じる情報を可視化することで、新しい生活のあり方を生み出していける可能性を持っていると思います。ぜひ共創相手と一緒に、今だから求められるサービスを作っていければと思います。


編集後記

「空気を買う時代がやってくる」その言葉を聞いた時、まるでSFの世界のようだと思った。人はメリットさえ感じれば、空気にだってお金を払うのだ。

人類にとって欠かせない空気をビジネスにできるのなら、これほど大きなチャンスはない。その最先端をいくマクニカが、ベンチャー企業と組んでどのようなイノベーションを起こすのか楽しみだ。

●「BAK NEW NOMAL PROJECT 2022」の詳細についてはこちら(最終応募締切:7/11まで)


(編集・取材・文:鈴木光平、撮影:加藤武俊)

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ビジネスアクセラレーターかながわ、通称BAK(バク)。新型コロナウイルスの感染拡大により、顕在化した様々な課題を神奈川県の企業とベンチャー企業との共創で解決を目指すためのプロジェクトです。今年もパートナー企業大手6社が出揃い、オープンイノベーションに取り組む背景や課題、募集テーマや共創パートナーに伝えたい熱いメッセージをお聞きしました。