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イノベーション拠点「Bridgestone Innovation Park」を活用したプログラムが始動! ブリヂストンが目指すサステナブルな社会とは?

イノベーション拠点「Bridgestone Innovation Park」を活用したプログラムが始動! ブリヂストンが目指すサステナブルな社会とは?

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世界を代表するタイヤメーカーとして知られるブリヂストンは、2022年4月、東京都小平市の研究開発拠点をリニューアルし、社会・顧客・パートナーとつながり、新たな社会価値と顧客価値を生み出していくための複合エリア「Bridgestone Innovation Park」をオープンした。

そして2023年、ブリヂストンは「Bridgestone Innovation Park」を舞台に、様々なパートナーとのディスカッションや共創を通じてサステナブルな社会の実現を目指す「Bridgestone Innovation Park Sustainable Program」を実施する。

同プログラムは、『タイヤからの臭い・粉塵・汚れを回収・検出することで次世代の環境貢献につなげる』を共創テーマに設定。3/23からパートナー企業の募集を開始した。

そこでTOMORUBAでは、同プログラムの運営やパートナーとの共創を担当するメンバーにインタビューを実施。プログラム実施の背景や共創によって実現したい世界、想定しているパートナーのイメージ、さらには共創の舞台となる「Bridgestone Innovation Park」の特徴や魅力についても詳しくお聞きした。

サステナブルな社会の実現に向けて、次世代の環境貢献を目指す

――まずは今回、「Bridgestone Innovation Park Sustainable Program」に取り組む背景や、プログラムを通して実現したいことについてお聞かせください。

庄田氏 : ブリヂストンは、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」というビジョンを掲げており、この実現に向けて中長期事業戦略構想をベースに全社で様々な施策の検討を進めています。

ブリヂストンはサステナブルな社会の実現に向けて、タイヤによる「次世代の環境貢献」の取り組みを必要不可欠と考えています。今回のプログラムでの共創を通じて、タイヤから出る臭い・粉塵・汚れの回収/検出が可能となることで、「次世代の環境貢献」の実現につなげていきたいと考えています。

▲株式会社ブリヂストン サステナブル・先端材料統括部門 技術戦略管理課 庄田靖宏氏

タイヤに活用される先端材料・将来材料の研究開発および技術戦略を担当。

――現状、タイヤから出る臭い・粉塵・汚れは、どのような問題を引き起こしているのでしょうか?

庄田氏 : 皆さんもご存知の通り、タイヤからは独特な臭いがします。そのため運搬に際しても他の物と一緒に運ぶことができず、わざわざタイヤ専用の運搬車を用意する必要があります。

北條氏 : EVが普及すると自動車からは排気ガスが出なくなりますが、タイヤからの臭いは残ります。現在でも大事な自転車を室内に置く方がいるように、自動車のEV化・小型化が進めば、車を屋内に置くような未来が到来する可能性もありますし、高齢者の方を家からそのまま車に乗せるケースも増えてくるはずです。タイヤメーカーとしてそのような未来に備えるためにも、まずは走り終わった後のタイヤから出る臭い・汚れについて正確に把握しておく必要があると考えています。

▲株式会社ブリヂストン サステナブル技術戦略・研究部 上席研究主幹 北條将広氏

サステナブル材料の開発を担当。ENEOS株式会社とのケミカルリサイクル技術の社会実装に向けた共同プロジェクトにも参画。

――タイヤから出る粉塵に関してはどうですか?

北條氏 : F1などレース用がお好きな方は、レース中にゴム状の破片が飛散しているシーンを見たことがあるかもしれません。一般の乗用車や商用車も同様に走行中にタイヤから出る粉塵・物質の存在も知られています。しかし、これらは回収しにくく目にも見えにくいため分からないことが多くあります。環境への影響を調べるためにも、まずはしっかりと把握・理解することで、私たちに何ができるかを考えていきたいです。

コロナ禍以降、様々な企業で微粒子を検出する機器の研究・開発が進んでいる

――タイヤの臭い・粉塵・汚れについて、『回収』と『検出』という二軸のテーマを設定されていますが、『回収』についてはどのような共創パートナーを想定されていますか?

庄田氏 : 環境への影響が懸念される物質に対する研究実績のある産業用機器メーカーや衛生管理機器メーカー、さらに新型コロナ対策で空調関連機器のメーカーでも回収フィルターなどの研究が進んでいると思います。いずれもこれまでのブリヂストンとはつながりが薄かった業界ではありますが、今回のプログラムを通じて共創することができるといいですね。

――では、『検出』についてはどのような共創パートナーを想定されていますか?

庄田氏 : コロナ禍以降、様々な企業で微粒子を検出する機器の研究・開発が進んでいると思いますし、実際に市販されている製品の機能も高度化しています。そのような機器を開発している企業も共創パートナー候補の一つになると思います。

北條氏 : ここ数年で臭いを検出するセンサーは目覚ましい発展を遂げています。臭いを電子的に把握するものから細胞で分析するものまで様々なセンサーがあるので、そのような臭いに関する評価・計測器を開発しているメーカーや、センシング技術を持った企業の方々とお話しさせていただきたいと考えています。

――タイヤの臭い・粉塵・汚れについて、現段階で進められている取り組みがあれば教えてください。

庄田氏 : 粉塵に関しては、ブリヂストンのみならずタイヤ業界全体に関わる問題でもあるため、世界のタイヤメーカー11社による協働プロジェクト「Tire Industry Project (TIP)」に参画し、持続可能な社会に関わる影響の調査・解決を推進する取り組みを行っています。

ブリヂストンの共創にかける本気度が垣間見える「Bridgestone Innovation Park」

――今回のプログラムの舞台であり、共創の場でもある「Bridgestone Innovation Park」ですが、現在はどのような方々が活用されているのでしょうか?

間宮氏 : 昨年末の時点で企業・自治体・大学など200団体、約1000人の方々にご来館いただいています。ちなみに私と山本は「Bridgestone Innovation Park」の中でも、ブリヂストンのコア技術や製品を実際に見て触ってアイデアを膨らませる場である「Bridgestone Open Innovation Hub」の運営を担当しています。

私たちは「共感から共議へ」と呼んでいるのですが、施設のご案内や技術の説明、議論のファシリテーションなどを通じて、パートナー候補様との共創のきっかけを作るための様々なサポートを行っています。

▲株式会社ブリヂストン 事業開発戦略企画部 事業開発共創戦略課 主査 間宮基之氏

ブリヂストンのコア技術や製品を実際に見て触ってアイデアを膨らませる場「Bridgestone Open Innovation Hub」の運営およびパートナーとの共議・技術説明・ファシリテーション等を担当。

――「Bridgestone Innovation Park」や「Bridgestone Open Innovation Hub」で進められている共創事例について教えていただけますか?

山本氏 : ソフトロボティクス事業において、AIスタートアップであるアセントロボティクス様と共創を進めています。ゴム人工筋肉(ラバーアクチュエーター)を活用したソフトロボットハンドを使ってくださる企業を広く探索・募集しているのですが、「Bridgestone Open Innovation Hub」にたくさんの企業を招いてデモを行ったことで、そのうちの何社かとは「共感から共議へ」とステージをステップアップさせることができました。

▲ゴム素材の研究開発の知見を活かした「ラバーアクチュエーター」。軽くて力持ち、やわらかい、衝撃に強いといった特徴を有しており、ラバーアクチュエーターを活用したソフトロボットハンドの開発を進めている。

また、自動運転分野で共創しているティアフォー様とは、「Bridgestone Innovation Park」内にあるテストコース「B-Mobility」を共同実験の場として活用しているほか、「Bridgestone Innovation Park」内の共創オフィスを活用し日々議論を重ねております。両社が日々対面で仕事をすることで、スピーディーかつ円滑にコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進められています。

▲「B-Mobility」での自動運転の実証実験の様子

――北條さんはENEOS社との共同プロジェクトにも参加されているとお聞きしていますが、現在はどのような状況でしょうか?

北條氏 : 今回の募集テーマとは直接関係しませんが、ENEOS様とはタイヤの水平リサイクルに関して共創に取り組んでいます。私たちがタイヤ分解油を作り、ENEOS様が化学原材料に戻すという循環を作るためのプロジェクトです。私たちとしては分解油を化学原材料に戻す技術・ノウハウを持ったビジネスパートナーが必要だったのですが、当社とENEOS様とは「低炭素・循環型社会への貢献」という共通のビジョンがあり共創関係に至っています。

――オフィスを使ってブリヂストンさんと一緒に仕事をしたり、共同研究をしたりすることもできると。

山本氏 : はい、可能です。パートナー企業との共創が始まっているプログラムもあり、オフィスの使用がだんだんと活発になってきております。企業だけでなく大学などにも期間を区切って使っていただくケースもあります。たとえば当社のデザイン部門は武蔵野美術大学と共同研究を続けており、「Bridgestone Innovation Park」内にある「ラフプロトスタジオ」で未来のモビリティ関連のモック作りを一緒に進めています。是非Bridgestone Innovation Parkで一緒にお仕事や共同研究を実施していきましょう!

▲株式会社ブリヂストン 事業開発戦略企画部 事業開発共創戦略課 主幹 山本きく乃氏

間宮氏と共に「Bridgestone Open Innovation Hub」の運営およびパートナーとの共議・技術説明・ファシリテーション等を担当。

北條氏 : 「Bridgestone Innovation Park」内の実験室には、いろいろな企業と一緒に共同研究ができるエリアもあります。1カ月、2カ月単位での共同研究・共同実験もできるので、この施設が完成して以降、私たちも積極的に活用するようになりました。以前の研究室や実験室は、社外の方々と一緒に仕事ができるほど広くありませんでしたが、ここなら十分なスペースがありますからね。

――2022年4月にオープンした「Bridgestone Innovation Park」ですが、社外の方々からの評判・反響はいかがでしょうか?

間宮氏 : このような施設を作ったことによって、ブリヂストンの共創に対する本気度を表明できていると感じていますし、実際にご来館いただいた方々からも「本気度が伝わりました」と言われることが増えています。

山本氏 : 外から見たブリヂストンは「堅くて真面目な会社」というイメージが強いこともあり、実際にご来館された方々からは「良い意味でブリヂストンのイメージが変わりました」と言われることも多いですね。

――とくに評判のいい施設や設備、コンテンツなどはありますか?

山本氏 : やはりここ(Bridgestone Open Innovation Hub)は評判がいいですね。共創のための対話をしやすい「砕けた雰囲気のある場所」として設計されているので、多様なアイデアが生まれやすいと感じる方が多いようです。

▲ブリヂストンのコア技術や製品を実際に見て触ってアイデアを膨らませる場「Bridgestone Open Innovation Hub」

間宮氏 : 入口からこの部屋に至る通路は、プロジェクションマッピングによる映像を体験いただけるスペースになっています。映像の仕掛けとして「常識の壁を壊す」というイメージを体験できるので、ぜひ実際に見ていただきたいですね。

山本氏 : この部屋のテーブルの上にも双六が置いてありますし、話のきっかけやネタになるような仕掛けを随所に施しています。実際に目で見て手で触れたり、臭いを嗅いだりできるような製品・展示物も多く配置しているなど、ワクワクを感じられる作りになっています。

庄田氏 : この部屋の下にはカフェテリアがあって、その奥にはフォーラムエリアと呼ばれる講演会などに活用できるスペースがあります。大学の先生に講演してもらうなど、いろいろな使い方ができるところもこの施設のいいところだと思います。

▲東京都・小平市にあるイノベーション拠点「Bridgestone Innovation Park」

お互いのビジョンを確認し合うステージからの参加も可能

――「Bridgestone Innovation Park Sustainable Program」におけるブリヂストン側の受け入れ体制について教えてください。

間宮氏 : 今回募集テーマのような「タイヤから出る臭い・粉塵・汚れの回収/検出」に対して、ここから始めたいという具体的な提案をお持ちの企業に関しては、北條や庄田のような専門部署がご対応することになります。

一方で、従来の共創に向けた受け入れ体制は、まずは施設内の「Bridgestone Innovation Gallery」にて、ブリヂストンの事業概要や歴史、DNAについてご理解いただきます。その後、「Bridgestone Open Innovation Hub」へお越しいただき、「ブリヂストンと何ができるんだろう」という企業に関しては、私と山本が中心となり、ブリヂストンのビジョンと応募企業のビジョンを相互に確認し合うところから議論を始めます。

――それでは最後になりますが、応募企業の皆さんへのメッセージをお願いします。

間宮氏 : 私たちのビジョンと皆様のビジョンを掛け合わせつつ、社会課題の解決にも可能な限りアプローチしていきましょう。お互いがWin-Winの関係性を築くことはもちろんですが、社会全体にも良い影響を与えられるような共創ができるといいですね。

北條氏 : 今回のプログラムで取り上げるテーマは、タイヤメーカーである私たちが未来志向で前向きに取り組むべき課題です。多くの方々との共創を通じてタイヤが環境に与える影響・負荷をしっかりと把握し、そのための解決策を見つけていきたいと考えています。

庄田氏 : サステナブルなソリューションカンパニーを目指すにあたり、ブリヂストン一社の技術力ではまだまだ足りていない分野・領域が数多く存在しています。私たちも今回のプログラムを契機に、多くの社外の皆様と「より環境に優しいタイヤ」を作るための技術共創に取り組んでいきたいと思っています。

山本氏 : ビジョンドリブンで共創を進めることで、今までになかった潜在的な価値を生み出せると信じています。今回のプログラムでは「環境」がテーマの切り口となっていますが、今後も幅広い分野で様々なステークホルダーの皆さんと一緒に社会を変えていくような取り組みを推進していきたいと考えています。まずはそのための第一歩として、ぜひ多くの皆様にエントリーいただければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

取材後記

今回のプログラムでは『タイヤからの臭い・粉塵・汚れを回収・検出することで次世代の環境貢献につなげる』がテーマとして掲げられているが、インタビュー中に語られていたように、タイヤ業界とは縁遠いと考えられる幅広い業界・業種の企業に共創のチャンスがあるようだ。

また、ディスカッションのためのオープンスペースはもちろんのこと、共創オフィスや共同研究室、モビリティを使った試験ができるテストコース、デザインスタジオ、カフェテリア、フォーラムエリアなど、他に類を見ないほど充実した施設が整った「Bridgestone Innovation Park」の存在も非常に魅力的である。

タイヤ業界のトップを走るブリヂストンと共に、社会や環境を変える取り組みにチャレンジできることもあり、多くの企業にとってエントリーを検討する価値があるプログラムと言えそうだ。

※「Bridgestone Innovation Park Sustainable Program」の詳細は以下URLよりご覧ください。

https://eiicon.net/about/bridgestone2023/

(編集:眞田幸剛、取材・文:佐藤直己、撮影:古林洋平)

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