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【ICTスタートアップリーグ特集 #7:iiba】「子連れにいい場所を地図から探せる」これまでの子育てアプリになかった「iiba」の魅力とは

【ICTスタートアップリーグ特集 #7:iiba】「子連れにいい場所を地図から探せる」これまでの子育てアプリになかった「iiba」の魅力とは

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「共創の場」を提供するプログラムだ。

このプログラムでは総務省事業による研究開発費の支援や伴走支援に加え、メディアとも連携を行い、スタートアップを応援する人を増やすことで、事業の成長加速と地域活性にもつなげるエコシステムとしても展開していく。

そこでTOMORUBAでは、ICTスタートアップリーグの採択スタートアップにフォーカスした特集記事を掲載している。今回は、評価経済×トークンエコノミーを基盤とした子育て系口コミ情報プラットフォームを展開する​​株式会社iibaを取り上げる。現在、子連れにいい場所がわかるマップアプリ「iiba」を提供する同社が目指す「子どもを産んでよかったと思える社会」や、今後の事業の展望について、代表取締役の逢澤氏に話を聞いた。

▲株式会社iiba 代表取締役 逢澤奈菜 氏

ーーーー

<スタートアップ解説員の「ココに注目!」>

■写真右/石川貴章(株式会社eiicon Platform事業部 PlatformSalesG マネージャー)

・子育てという社会課題をテーマに、子連れに"いい場所"が見つかる/知らせるマップアプリを開発・提供するスタートアップ企業です。同社は「子育てをもっと楽しく、便利にする」をコンセプトとして、「親の負担」という"課題"を解決するソリューションを開発中と聞いております。遊び場や飲食店、授乳室やトイレに至るまで、子連れにいい場所をマップ上で発見できたり、ユーザーが発見した情報のシェアができる機能があるので、マップをみんなで創造していくことを目標にしているとのことです。

・社会課題はマクロな視点だけでとらえるものではなく、地域性や文化、気候といったローカルな視点が重要とされる中、ユーザーがクエストをしながら創り上げていく、革新性があるとも捉えることができるでしょう。社会課題は経済、政治といった外部環境とは切っても切れない関係性であるのは事実ですが、iiba創業者の逢澤社長の持ち前の突破力でキャズム越えできることを期待しています。

大病と子育てにより「残りの人生は社会に貢献したい」と思うように

ーーまずは起業した経緯を聞かせてください。

逢澤氏 : 起業を考えるようになったのは、子育てが一段落した時のことです。結婚、出産、子育てと大きなライフイベントを立て続けに経験した私は、残りの人生を使って社会に貢献したいと考えるようになりました。若い時に大病を経験したことも相まって、残りの人生で一つでもみんなが抱えている不満を解決したいと思いました。

そんな時に、一番身近にあった課題が子育てでした。子育て中に感じた課題と、それを解決できるアイデアをリストアップし、最終的に選んだのが「子連れにいい場所がわかるマップアプリ」だったのです。

結婚を機に上京した私は、東京のおでかけスポットに疎く、おでかけのたびにネットで調べていました。もっと簡単におでかけスポットを探せるサービスがほしいと思い、地図から子連れにいい場所を探せるアプリ「iiba」を思いついたのです。

ーーいくつかアイデアがあった中で、なぜそのアイデアを決めたのでしょうか?

逢澤氏 : ニーズを探る段階で、多くの方から共感をいただいたからです。SNSで子育て世代の方を見つけては80人くらいに話を聞いたのですが、多くの方が同じ悩みを抱えていることを知りました。

加えて、Instagramで私がいいと思ったおでかけスポットを投稿しはじめたところ、1ヶ月で1,000のフォロワーが集まったのです。このアイデアなら多くの方の悩みを解決できると思い事業化に踏み出しました。

これまでの子育てアプリになかった「地図から探せる」魅力とは

ーーこれまでの子育てアプリと「iiba」の違いを教えてください。

逢澤氏 : 「iiba」の最大の特徴は、子連れにいい場所をロケーションべースで探せる点です。これまでは、記事などでおでかけスポットを探したら、地図で調べ直さなければなりませんでした。私たちのサービスなら、地図から情報を探せるため調べ直す手間が省けます。

また、みんなで情報をシェアできるのも大きな特徴です。これまでの子育てサービスは、企業などが一方的に発信しているものがほとんどでした。しかし、私たちはみんなが共有した情報をもとにして作っている上に、常に最新の情報が表示されます。そのため、「今はクローズしている施設が表示された」ということがありません。

▲2023年10月にiOS版をリリースし、約1カ月で1万ダウンロードを突破。同11月にはAndroid版の提供を開始した「iiba」。(画像出典:ICTスタートアップリーグ iibaページ内の資料より)

ーー現在は、どのような事業フェーズでしょうか。

逢澤氏 : 現在は仮説検証の段階です。様々な仮説を持っているため、それが本当かどうか検証していかなければなりません。これから乗り越えなければならない課題もいくつかありますが、そのひとつがスポット数です。現在は2,000箇所のスポットが掲載されていますが、それだけではまだユーザーの期待に応えられません。

せっかく私たちのアプリに期待して使い始めても、掲載スポットが少なければユーザーはすぐに離れてしまいます。また、掲載スポットが関東エリアの1都3県に集中しているため、もっと全国の掲載スポットも広めていかなければいけません。

ーーどのように掲載スポットを増やしていく戦略なのでしょうか。

逢澤氏 : 現在は全国のアンバサダーの方たちにお出かけスポットを掲載してもらっています。いかに良質なスポットを知っているアンバサダーを増やせるかが、重要になっていくと思います。

また、将来的には一般のユーザーの方も自由に投稿できる機能も公開する予定です。今は掲載スポットの質も重視しているため、投稿機能は公開していませんが、いずれは評価システムと共に投稿機能も公開したいと思っています。

ーー評価システムについても聞かせてください。

逢澤氏 : たとえば多くの人が訪れたスポットは大きく評価され、あまり人が訪れなかったスポットは小さくなり、最終的には表示されなくなるようなシステムです。既存のおでかけメディアでは、どのスポットも同様に紹介されていますが、本当に人気かどうかは気になりますよね。

掲載スポットの数だけでなく、質にもこだわりたいと思っているため、実際に多くの人が訪れているスポットが優先的に見つかるようなサービスにしていきたいと思っています。

子どもが18歳になるまで使えるアプリを目指して

ーー現在、仮説検証のフェーズとのことでしたが、マネタイズの予定も教えてください。

逢澤氏 : 様々なマネタイズを計画しており、それらを順に実現していく予定です。直近で計画しているのはユーザーの方々への月額課金で、これが最も難しいと思っています。財布の紐が固い子育て世代に、お金を払ってでも使いたいと思ってもらえるサービスにするのが重要で、これが実現できるかがシリーズAの資金調達に大きく影響するはずです。

また、その後は法人向け、自治体向けにもサービスを展開していくつもりです。たとえば子育てサービスの中にも企業の福利厚生として展開しているサービスが増えているため、私たちも企業の福利厚生として提供していきたいと思っています。

自治体の中には、地域の子育て環境を充実させたいと大きな予算を組んでいる自治体も増えています。国としても18歳までを対象に子育て支援金を出しているため、子どもが18歳になるまで使ってもらえるようなサービスにしていきたいですね。

ーーどのように18歳まで使えるようなサービスにするのでしょうか。

逢澤氏 : 今、「iiba」は子連れにいい場所を掲載するマップアプリとなっていますが、将来は塾や予備校など、子育てで利用する場所を探せるサービスにしていくつもりです。受験のために様々な塾の情報を探している方も多いため、幅広い子育てスポットを探せるようにしたいですね。

ーー最後に、今後のビジョンをお願いします。

逢澤氏 : 今は孤独に子育てをする「孤育て」が増えており、そのような環境ではまわりが全て敵に見えてしまいます。テックの力を使って、子育て世代が社会に歓迎され、応援されていると感じるような環境を作っていきたいと思っています。全ての親が「子どもを産んでよかった」と思ってもらえる社会を作るのが私たちのビジョンです。

中には「テックに頼るのは甘え。子育ては苦労してこそ」という考え方の方もいます。その方たちの言い分もわかりますが、それで親子が不幸になっていい道理はありません。おでかけ先を調べたり、選んだりするのに使う無駄な時間はテックで短縮し、もっと楽しい時間を増やして幸せに子育てできるような社会を作っていきたいですね。

取材後記

これだけテクノロジーが発達した現代においても、子育てにおけるストレスは解消されていない。逢澤氏の言う通り「孤育て」が増えたことによって、昔よりもハードな環境で育児をしている親も少なくないだろう。まずはおでかけの「負」の解消に取り組んでいるiibaだが、さらに育児全体の負を解消し、誰もがポジティブに子育てに向き合える社会を作ってくれることを期待したい。

※ICTスタートアップリーグの特集ページはコチラをご覧ください。

(編集:眞田幸剛、取材・文:鈴木光平、撮影:加藤武俊)

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  • 眞田 幸剛

    眞田 幸剛

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2023年度から始動した、総務省によるスタートアップ支援事業を契機とした官民一体の取り組み『ICTスタートアップリーグ』。これは、総務省とスタートアップに知見のある有識者、企業、団体などの民間が一体となり、ICT分野におけるスタートアップの起業と成長に必要な「支援」と「競争の場」を提供するプログラムです。TOMORUBAではICTスタートアップリーグに参加しているスタートアップ各社の事業や取り組みを特集していきます。