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【イベントレポート<後編>/JAPAN OPEN INNOVATION FES 2018 in Summer】 約450名のオープンイノベーターが集結!セッションを通じ、共創への理解を深める。

国内最大級のオープンイノベーションの祭典、eiicon主催の「JAPAN OPEN INNOVATION FES」(JOIF)は6月8日、東京ミッドタウン日比谷 BASEQで開かれました。JOIFでは、有識者たちのパネルディスカッションをはじめとして、ビジネスマッチング、スタートアップのピッチ、大企業・スタートアップ・自治体の出展。会場には大企業の新規事業担当者やスタートアップの経営者など約450名が訪れたほか、メディア関係者の来場も多数。注目度の高さが伺えました。

昨日配信したイベントレポート<前編>に引き続き、本日の<後編>ではセッションの模様や会場の様子についてフォーカスし、お伝えします。


オープンイノベーションの第一線で活躍する有識者が集ったセッション

各セッションでは、有識者たちがオープンイノベーションの最前線で行われていることを語り、活発な意見交換や答弁を繰り広げた。来場者たちは熱心に耳を傾け、オープンイノベーションの実際や実行に移す際の手法をなどに理解を深めたほか、イノベーションが起こる未来に思いを馳せた。各セッションの概要は以下の通り。


■セッション1/未来のコト創り「スタートアップと大企業の共生」

【登壇者】

●グロービス・キャピタル・パートナーズ COO 今野穣氏

●株式会社アルファドライブ 代表取締役兼CEO、株式会社ゲノムクリニック 代表取締役Co-CEO麻生要一氏

●東京急行電鉄株式会社 事業開発室 プロジェクト推進部 イノベーション推進課 加藤由将氏

●モデレーター:eiicon founder 中村亜由子氏


セッション1では、オープンイノベーションの必要性や現状における成否、課題点などがディスカッションされた。麻生氏は「オープンであることはイノベーションを起こすための要素であり、新規事業を生み出し続けるためには意志が重要」と述べた。成果が出ているかまだ判断する時期ではないが、オープンイノベーションの先進国であるアメリカと比較し、今野氏は「海外と違い、日本ではベンチャー企業がトップ企業になるとは考えにくい。大手企業に変化が見られた時に成果がわかるのではないか」と予測した。また、課題については人事評価とし、加藤氏は「評価の仕方が変われば働き方も変わるはず」と強調した。


■セッション2/アクセラレータープログラム実談 ~日本郵便が仕掛けたPOST LOGITECH INNOVATION 2017の裏側~

【登壇者】

●日本郵便株式会社 事業開発推進室 主任 福井崇博氏

●株式会社オプティマインド 代表取締役 松下健氏

●モデレーター:株式会社サムライインキュベート 共同経営パートナー&Chief Strategy Officer長野英章氏


セッション2では、昨年に実施された日本郵便のアクセラレータープログラムについて、企画の立て方や運営方法の実際が紹介された。オプティマインドは同プログラムで最優秀賞を獲得したスタートアップだ。プログラムは成功を収めたが、その要因を福井氏は「テーマ設計と、社長をはじめ経営層、中間層、各部門のキーパーソンに協力を仰ぎ、メンターとなってもらうなどしたことにある」と分析した。長野氏は「メンターがスタートアップと共にプレゼンを行うなど、協力体制は万全で手厚かった」と同意。松下氏は「テーマが明確であり、まさに当社に応募を呼びかけられている気がした」と応募の動機と、テーマ設計の重要性を伝えた。


■セッション3/オープンイノベーション最前線~第一線の活躍を知るメディア陣が語る〜

【登壇者】

●株式会社ism代表取締役 THE BRIDGE Blogger 鈴木碩子氏

●株式会社ニューズピックス BrandDesignStudio Business Manager 山本雄生氏

●モデレーター:株式会社KADOKAWA ASCII編集部 ASCII STARTUP 鈴木亮久氏(ガチ鈴木)


オープンイノベーションの現場について取材などを通じ目にしている3人が、近年の状況や今後の展開予測などをテーマにした。山本氏は「オープンイノベーションは2016年から出始めたが当時は言葉だけ。2017年から大きく状況が変わった」とその全体感を紹介した。鈴木碩子氏はアクセラレータープログラムの隆盛を指摘し、「大企業に限らず、地方自治体や非上場企業も活発に行っている」と伝えた。一方で、アクセラレータープログラムを含め、オープンイノベーションの成果が伝えられていない状況にあるという。ガチ鈴木氏は「成果をぜひ公表してほしい」と、セッションを締めくくった。


■セッション4/ソーシャルオープンイノベーション ~オープンイノベーションは社会課題を解決する処方箋になりうるか~

【登壇者】

●エイチタス株式会社 代表取締役社長 原亮氏

●元大阪市 経済戦略局 理事 現Human Hub Japan代表 吉川正晃氏

●モデレーター:株式会社Ridilover 代表取締役 安部敏樹氏


セッション4では、ソーシャル、社会課題に焦点を当て活発な議論が展開された。ソーシャルイノベーションについて、吉川氏は「すべてのビジネスはソーシャルであると考えられる。本来的には、ソーシャルとビジネスの区別はない。オープンイノベーションの盛り上がりで、一般企業の参入も増えている」と伝えた。原氏は「社会課題が多様化し、官がすべてに対応することは不可能となっている。多くの人が関りを持ち、社会のあり方を変えていく必要がある」と提示。安部氏は「国の予算は多く社会課題に使われている。今後、伸びていく産業の一つと考えられる。また、課題先進国の日本は世界中から注目されており、解決できればそのモデルも輸出できるのではない」と、ビジネスとしての有用性の高さを強調した。


■セッション5/グローバルから見た、日本にあるイノベーション勝機

【登壇者】

●コニカミノルタ株式会社 BICJapan 所長 波木井 卓氏

●株式会社本田技術研究所 執行役員CEO, Honda R&D Innovations, Inc

●モデレーター:Plug and Play Japan Venture Partner/取締役 矢澤 麻里子氏


オープンイノベーションの概念はアメリカなどから持ち込まれた。イノベーションについて日本は遅れているとされるが、米国・欧州との違いはどこにあるのか。――杉本氏はマインドセットの違いが大きいとし、「日本の企業はベンチャー企業に頼ろうという発想がなく、M&Aされたという話もほとんど聞かない。しかし、海外では『外から持ってくる』ことが当たり前になっている」と述べた。日本が遅れている部分として、矢澤氏は「まだまだ語学の壁がある」と指摘した。一方、日本が勝てる部分として波木井氏は「モノづくりの分野の技術力、品質管理は強みがあり、勝機はある」と強調。また、材料の分野でもブレークスルーが出るのではないか、との話も出された。


JOIF会場には大企業からスタートアップまで約450人が集結

JOIFの会場となったBASEQ(東京ミッドタウン日比谷内)には、およそ450名の参加者が集結。受付で配布されたネックストラップに印刷されているQRコードを読み取って特設サイトにアクセスすれば、参加者を閲覧して面談設定できるという新たなマッチングの仕掛けも用意し、大いに活用された。

また、来場者からは、「大企業の担当者の来場が多くあり、連携に向けて現実的で実りのある話ができた。他のイベントとは『濃さ』が違った」、「オープンイノベーションに関心がある企業が揃い、これまで出展してきた他のどの会場よりも、ポジティブなディスカッションができた」、「マッチング用の特設のブースがあり、落ち着いた雰囲気の中、じっくりと話ができた」などの声が聞かれ、会場では新しい出会いやマッチングが活発に創出された様子がうかがえた。


取材後記

最前線で活躍する識者が、さまざまな角度からイノベーション・オープンイノベーションを語った。一つの事象を複数の観点から見ることで、本質的なものが少しずつではあるが捉えられてきたようにも感じる。日本とオープンイノベーションということに目を転じてみると、モノづくりはもちろんのこと、社会課題・ソーシャルの分野で先進性を発揮していけるようにも考えられた。課題先進国の日本では、社会課題と向き合い力を入れるのは、ある意味で義務とも言えるのではないか。強みのあるモノづくりと結びつくことで、さまざまなイノベーションを起こせる可能性は十分にある。

(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:加藤武俊)