富士フイルム株式会社は、6月19日に骨髄由来の間葉系幹細胞を用いた再生医療製品の実用化を目指す再生医療ベンチャーのPuREC株式会社と、同社の第三者割当増資を引き受け、3億円を出資する契約を締結。また、今回の出資にあたり、同社と再生医療製品の開発・製造受託に関する業務提携契約も締結した。

富士フイルムは、今回の資本・業務提携により、PuRECが低フォスファターゼを原因とする先天性骨形成不全症(*1)を対象に研究開発を進めている再生医療製品の開発・製造・販売ライセンス導入の優先交渉権を取得する。また、PuRECより、再生医療製品のプロセス開発や薬事コンサルティングなども受託していく。

間葉系幹細胞は、骨や脂肪などの細胞に分化する能力を有し、組織修復や免疫調整など多様な効果が期待されている幹細胞で、脳梗塞や軟骨損傷などさまざまな疾患での臨床応用が検討されている。間葉系幹細胞は、骨髄や脂肪などから分離して取り出されるが、取り出された細胞には、間葉系幹細胞以外の細胞や、多様な性質を持った間葉系幹細胞が混在しているため、細胞品質を一定に保つことが困難だった。

PuRECは、島根大学発の再生医療ベンチャーで、同大学の松崎有未教授が開発した、特殊な間葉系幹細胞「REC(Rapidly Expanding Cells)」の作製技術を活用した再生医療製品の実用化に取り組んでいる。「REC」は、分化能・増殖能・遊走能(*2)に優れた間葉系幹細胞で、2種類の抗体を用いて、骨髄より採取した細胞から分離して作製される。現在、PuRECは、「REC」を研究用途向けに販売しているほか、低フォスファターゼを原因とする先天性骨形成不全症に対する再生医療製品の研究開発を進めている。

富士フイルムは、日本初の再生医療製品を開発・上市した子会社の株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(以下、J-TEC)や、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーである米国子会社FUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(以下、FCDI)を中核に、自社再生医療製品の研究開発を加速させるとともに、再生医療受託事業の拡大も進めている。今回のPuRECとの資本・業務提携により、同社の「REC」の作製技術にアクセスするとともに、同社が研究開発を進めている、低フォスファターゼを原因とする先天性骨形成不全症を対象とした再生医療製品の開発・製造・販売ライセンス導入の優先交渉権を獲得する。さらに、PuRECより再生医療製品のプロセス開発や薬事コンサルティングなどをJ-TECにて受託することで、再生医療受託事業を拡大させていく。

富士フイルムは、幅広い製品開発で培い、さらに進化させてきた高機能素材技術やエンジニアリング技術と、J-TECの治療用細胞の生産技術、FCDIの世界トップのiPS細胞関連技術・ノウハウ、富士フイルム和光純薬やFUJIFILM Irvine Scientific, Inc.の培地技術などを活用して、事業拡大を図るとともに、再生医療の産業化に貢献していくという。

*1 血中のアルカリフォスファターゼ(酵素の1種)の活性低下により、骨の石灰化が障害される遺伝性疾患。その症状が生まれつき認められ、骨の形成が進まず全身に障害がおよぶ病気が、低フォスファターゼを原因とする先天性骨形成不全症である。

*2 遊走能とは、炎症部位など特定の場所に細胞が集積する能力。


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(eiicon編集部)